2020年のプログラミング教育必修化に先駆けて、栃木市立国府南小学校では4~6年生向けのプログラミング授業が行われました。ここではその取り組みについて、体験談を交えて紹介します。前編は授業の導入からタブレット・プログラミングまでを振り返ります。

一足先にプログラミング教育の授業を

2020年から小学校で必修化となるプログラミング教育。実施まで1年半と少々となりましたが、保護者の方はもちろん、学校の先生方の中にも具体的にどのようなことが行われるのかイメージしにくいと感じている方もいらっしゃるでしょう。

それもそのはずで、全国一斉に実施されることは決まっていますが、どのような方法でプログラミング教育を行うかは各自治体に委ねられています。そのため、一律にまとまった情報が得にくい面があるのです。

ここでは皆さんの具体的なイメージへの足がかりになればと思い、プログラミング教育、STEM教育のいくつかの要素を詰め込んで行われた授業の様子を紹介します。

画像1: oneclass「プログラミング体験授業」-小規模特認校の体験型の授業- www.youtube.com

oneclass「プログラミング体験授業」-小規模特認校の体験型の授業-

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oneclassという試み

栃木県の南部に位置する栃木市立国府南(こうみなみ)小学校。この全児童数39名の小さな学校は、通学区域外の入学・転入希望者でも通える「小規模特認校」として認定されています。

小規模校ならではのきめ細やかな指導や特色ある教育活動など、魅力のあるカリキュラムを用意して希望者を募っており、そのひとつとして「oneclass」という取り組みができました。

画像1: oneclassという試み

oneclassは「学校、地域、各分野のプロフェッショナルがひとつのクラスとなり、子どもたちの創造性と問題解決力を育てる」とのコンセプトで、さまざな分野のプロフェッショナルを講師として迎えて体験型授業などを展開する任意の団体です。

そのoneclassの代表である青柳氏から、同じく栃木県で現役のプログラマーであり、プログラミング教材「のせラジ」を展開している筆者にアプローチがあり、2018年7月31日に小学4~6年生に向けてプログラミング授業をすることになりました。

今回は90分という限られた時間の中で、次のようなたっぷりとした構成を組んで臨みます。

  1. プログラミングで何ができる?
  2. アンプラグド・プログラミング
  3. タブレット・プログラミング
  4. のせラジカー・キットの製作
  5. フィジカル・プログラミング

ここでは実際にどのような授業を行ったのか、その流れに沿って紹介します。

画像2: oneclassという試み

プログラミングで何ができる?

まずプログラミングというものになじみのない子どもたちに、「プログラミングをすることで、どんなことができるのか」という事例を紹介します。「プログラミングは楽しい」と感じてもらえるようなネタをチョイス。

最近、話題性のあるコンピューターのひとつと言えばスマートスピーカーですが、地方都市ではまだ実物を体験したという子は多くはありません。そこでスマートスピーカーである「アレクサ(Amazon Echo)」が子どもたちの目の前に登場して話します。

ほとんどの子どもははじめて目にする「アレクサ」ですが、アレクサが「私を知っていますか?」と問いかけると、多くの子どもたちは「知っています」「テレビで見たことある!」と声を上げていました。

授業をしたのは2018年 サッカーワールドカップが終わって間もない時期で、大活躍した大迫選手の対戦相手(高校当時)が試合後のインタビューで「大迫、半端ないって!」と言ったエピソードがおもしろい、とテレビなどで話題になっていたころです。そして、同校で人気のサッカーが大好きな○○先生も、熱心にワールドカップを応援していたとのこと。

そこで、「サッカーが大好きな○○先生のワールドカップの応援と言ったら……、○○半端ないって!」と学校外の人は知らないはずの話題をアレクサにプログラミングして仕込んでみました。

「なんで○○先生を知っているの!?」という驚きで盛り上がったところで、「プログラミングってこんなことができるんだよ」とアレクサに仕掛けがあることを種明かし。

次に後半のフィジカル・プログラミングで使う「のせラジ」というロボット工作用の教材を使った「バグパイプロボ」を披露。

このロボットは、ペットボトルに溜めた圧縮された空気が、風船の切れ端を震わせてバグパイプのように大きな音が出る構造で、8つの異なる長さの風船をそれぞれプログラミングした通りに動かすことでメロディーを奏でることができます。

見た目からは想像できないほどのバカでかい音で音程の外れた演奏がコミカルで人気のあるロボット。今回も「プログラミングがわかるとこんな楽しい(ふざけた?)ことができるんだ」ということを感じてもらえたでしょうか。

画像: プログラミングで何ができる?
画像: 【のせラジ】バグパイプ・ロボ - 国際ロボット展 2017へ出展 youtu.be

【のせラジ】バグパイプ・ロボ - 国際ロボット展 2017へ出展

youtu.be

アンプラグド・プログラミング

ここでは「コンピューターに指示を伝えるプログラミングは、やってもらいたいことを友達に伝えるのとはちょっと違うぞ」ということを体験。アンプラグド・プログラミングという手法を使いますが、「アンプラグド」とは「プラグを差していない = 電気を使わない」という意味で、コンピューターを使わないプログラミング体験のことを言います。

まず、クラスの中からロボットさん役を1人、お客さん役を1人選びます。

今回のロボットさんの役割は「待機位置から立ち上がる → お茶を入れる → お客さんにお茶を出す → 待機位置に戻る」という一連の動作をすることです。そのためには「ロボットさんにどういう指示を与えればいいのか」をみんなで考えて、順番に1人1コマンドずつの指示を出して目的を達成することを目指します。

最初はロボットへの指示というものがどういったものかわからずに戸惑っていた子どもたちも、順を追うごとに、より適切な指示を出せるようになっていったのが興味深い。

そして、お客さん役の子の前にお茶を置いたところで「おー」と声が上がり、このときの一体感と達成感の混ざり合ったような雰囲気はとてもすてきでした。

このあたりは、普段から学校のレクリエーションとして取り入れても面白いのではないでしょうか。

タブレット・プログラミング

次はタブレット画面上でキャラクターを動かすプログラミング体験。一般にプログラミング学習というと、このようにパソコンやタブレットの画面の中で操作・表現するものが多いのではないでしょうか。今回はiPadを利用しているので、次に紹介するフィジカル・プログラミングに対する言葉としてタブレット・プログラミングと呼びます。

今回はアップル社のプログラミング学習アプリ「Swift Playgrounds」を使いました。

iPadの画面上に登場するキャラクター(バイトくん)が迷路の中を指示通りに歩いて宝石をとっていくという、パズル要素をもったコンテンツに触れてもらいます。

具体的なプログラムとしては、「moveForward(前へ進む)」「turnLeft(左を向く)」などの簡単なコマンドでバイトくんが進んでいきます。それぞれのコマンドの意味をイメージできるように、子どもたちには「Forwardってわかる? サッカーでフォワードって聞いたことない?」などと身の回りのことに関連付けて話します。

画像1: タブレット・プログラミング

先のアンプラグド・プログラミングで、コンピューター(ロボット)に指示を出すということを経験しているので、コマンドと実行した結果のイメージが頭の中に出来上がっているのか、多くの子どもたちがさほど迷うことなく、いくつかのステージを進めていました。

このコンテンツはアップル社から無料で提供されており、ステージごとに説明やヒントもあるので、家でも子どもと一緒に楽しめると思います。

画像2: タブレット・プログラミング
画像3: タブレット・プログラミング

後編では、いよいよ「のせラジ」を使って、実際に手を動かしてものを作って動かしてみます。

(写真提供 : oneclass、ブレーメンデザイン)

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