2018年10月中旬から12月中旬までヨーロッパに滞在するため、この機会に訪問した子ども向けの体験型教育プログラムや施設やSTEM教育関連のトピックスについてレポート。
初回はデンマーク・コペンハーゲンにある子ども向けの博物館「Experimentarium(エクスペリメンタリウム)」についてまとめます。

エクスペリメンタリウム

1991年にコペンハーゲンにオープンしたエクスペリメンタリウムは、子どもと大人が一緒に、サイエンスとテクノロジーの世界を探求できる施設です。

もともとは市内中心部にありましたが、2017年1月に移転。今はコペンハーゲン中央駅から、電車とバスを使って30分ほどの場所にあります。

画像: エクスペリメンタリウムの入り口

エクスペリメンタリウムの入り口

中央ドアから建物に入ると、正面に大きな渦巻き状の階段が迎えてくれます。この先にどんな世界が待っているのか、早くのぞいてみたい気持ちになりますね。

画像: エントランスにある大きな渦巻き状の階段

エントランスにある大きな渦巻き状の階段

展示スペースは2階と3階で、屋上にもコンテンツがあります。訪れた10月中旬はデンマークの学校が秋休みということもあり、多くの親子連れで混み合っていました。

コンテンツの対象年齢は3歳以上から10歳以上と区分けされているので、幼稚園と小学校の子どもたちがほとんどでした。

さまざまな分野を複合的に学べるテーマ型コンテンツが充実

1階で受付をして先ほどの階段を上ると、最初に目にするのは「The Port(港)コーナー」の大きな貿易模型です。こちらは対象年齢6歳以上となっており、物理や地理、自然科学が学べます。

デンマークとアジアのそれぞれの物流網が再現されており、ボールを物資に見立て、レールの上を転がしたり、可動式の船で運搬しながら輸出入の仕組みを体験します。

ボールにはバナナやぬいぐるみ、パソコンなど物資のイラストが描かれており、青はデンマーク、オレンジはアジアと、生産国ごとに色分けされています。

それぞれの物資を正しい目的地に輸送するために、港には仕分けを指示するためディスプレイが用意されており、そこに表示された指示にしたがってボールを分類する必要があります。

ここでは親子が一緒に内容を確認しながら仕分けしている姿を多く見かけました。

もちろん、ボールをひたすら船に乗せてアジアからデンマークに運び続けるもよし。遊び方は子どもたち次第です。

その隣では水中模型を使って船が浮く仕組みを知ることができ、積荷のバランスをどう配置するかを模型で試すコンテンツ、1トンの物資をどの手段で運ぶと効率的かの体験、嵐のときに船の上はどんな状態になるかの映像シミュレーションなどがありました。

また港にやってくる物資についても学べ、たとえば石油がなくなると生活から何が消えるのかを開閉式のイラストパネルでわかりやすく知ることができます。

港をテーマに、そこにまつわるあらゆるものを同時に学ぶことで、ひとつの現象に特化しない、より総合的な視野を身につけることができます。

対象年齢ごとに目線を合わせ、必要な知識は対話で伝える

次に対象年齢が3歳以上となっているThe Beach(浜辺)コーナーです。ここでは海や水辺にまつわる実験や体験をしながら物理や環境、自然科学が学べます。波を起こして波形の変化を見たり、ハンドルを回して水槽の中に渦巻きを作る、磁石で魚釣りを体験してみるなどです。

その中で一際目を引いたのは、水中の人体模型を水面に引っ張り上げて救助するコンテンツです。試してみたところ、全体重をかけて引っ張っても肩より下の部分は水面下に潜ったままで、一向に上がってきませんでした。水難事故の怖さを今更ながらに疑似体験できました。

また、同じコーナーの一角で救命救急のワークショップも行われており、3歳から5歳くらいまでの子どもたちが心臓マッサージや救急電話の実技などを学んでいて、その姿は真剣そのもの。人工呼吸をするときに顎を持ち上げるのはなぜか、自分自身の呼吸で確かめながら解説していて、かなり本格的でした。

大切な命を守るために必要なこと。それを年齢に関係なく直接目線を合わせながら対話して伝えていく講師の姿と、好奇心の延長線上で正しい知識を学ぼうとする子どもたちの姿が印象に残りました。

画像: 一人ずつハート型のクッションを使い、講師と一緒に心臓マッサージの動作を行う

一人ずつハート型のクッションを使い、講師と一緒に心臓マッサージの動作を行う

頭脳を刺激し、アウトプットするところまでサポートする

3階は対象年齢が8歳以上のものが増え、通常の科学館のように物理や化学、数学、自然科学が学べるコーナーが充実しています。

画像: シャボン玉を使った実験コーナー

シャボン玉を使った実験コーナー

アイデアカンパニーのコーナーでは、アイデアの発想力を高めるためのコンテンツが用意されていました。身の回りのものが動物や植物などから連想して作られていることを学んだり、連想ゲームのようにお絵かきを楽しむワークショップが行われていました。

画像: アイデアカンパニーのコーナーで配布されているテキストとワークショップ教材

アイデアカンパニーのコーナーで配布されているテキストとワークショップ教材

コペンハーゲンではエクスペリメンタリウムだけでなく、ルイジアナ美術館やデンマーク建築センターなどでも子ども向けのワークショップを常設していました。多くの刺激を受けたら、それをアウトプットする機会を作るということが大切と考えられています。

子どもたちが好奇心を養う機会を提供

エクスペリメンタリウムではこのように、物理や自然科学、算数、スポーツ、イノベーションなどを複合的に組み合わせたコンテンツを用意し、子どもたちが好奇心を養う機会を提供しています。

その上で特筆すべきなのは、実社会とのつながりについての学びも含まれているということです。社会の仕組みはどうなっているのか、今得た知識は何につながってどのように活用できるのか。その応用力についても学べる場所になっていると感じました。

最新のサイエンスとテクノロジーに触れるだけでなく、日常生活に近いところにどう影響を与えるのかを理解し、成長していく中で考える機会を作っていくことが大事だと感じました。

基本情報

名称: Experimentarium

開館時間:
月火水金 9:30-17:00
木 9:30-20:00
土日 10:00-17:00
※12/23-25および12/31-1/1は休館

料金:
3歳未満は無料、3-11歳は115DKK
大人 195DKK
※年間パスポートあり

住所:
Tuborg Havnevej 7
2900 Hellerup, Denmark

(上記情報は2018/11/1現在のものです。詳細は施設の公式ページをご覧ください)

公式サイト(英語):https://www.experimentarium.dk/en/

記事全文ページのみ
コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.