前編に引き続き、小学生がプログラミング能力を競うイベント「GPリーグ」の競技委員長、竹林暁さんにお話を伺いました。後編では大会の概要や、それぞれの種目においてどのようなことを学んでほしいと考えているのかを語ってもらいました。
画像: 【GPリーグ竹林暁競技委員長インタビュー】[後編]「プログラミングはゴールではない」小学生がプログラミングなどのスキルを競い合うGPリーグとは

コンピュータ内のプログラミングは甘やかされた世界?

――大会の概要についてお聞きします。2018年の開催規模はどの程度でしょうか?

竹林 2018年は東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県の一都三県で開催しました。対象は小学生。

それぞれの地域にある情報系の大学に幹事校になってもらい、それぞれ200人ほどの参加者を募集しました。

画像1: コンピュータ内のプログラミングは甘やかされた世界?

地区予選当日は、少しビギナー向けの講義をしたあとにペーパーテストで予選を行って、そこから1チーム4人、十数人の代表を選び、また半日講義をしてからスタートします。

事前に講義を行うのは、この大会はショーではなく、あくまで学習の一環であるというのが理由です。全員が出場できるわけではないので、予選に参加してくれるなら、なにかしら学んで帰ってもらおうと思っているからです。

――ペーパーテストは、どのような問題が出題されるんですか?

竹林 たとえば「コンピュータは2進数で動いていますか?それとも10進数で動いていますか?」のような知識を問うような簡単な選択問題から、大学の先生でも手こずるような変数を使った複雑な問題まで、さまざまです。

それでも、平気で100点を取る子どももいるので、レベルはかなり高いですね。

――そのあと、地区ごとに分かれて試合が始まるわけですね。競技ではどのような種目が行われるのか、教えてください。

竹林 4つの種目の合計ポイントを競う形式になっています。まずは3つの個人戦があって、

  • 表現系
  • アルゴリズム系
  • 制御系

の3種目があります。そして最後に競うのが、

  • チーム戦のゲーム攻略系プログラミング

です。

画像2: コンピュータ内のプログラミングは甘やかされた世界?

それぞれの種目

――それぞれの種目の中身についてお伺いします。まず1つめの表現系の競技について。

画像: プログラミングコロシアム第2クール グランドファイナル COZMO対決 www.youtube.com

プログラミングコロシアム第2クール グランドファイナル COZMO対決

www.youtube.com

竹林 「Scratch」というプログラミング言語を使って、出題されたテーマに沿った表現をしてもらいます。Scratchでは、最初から用意されているイラストもあるので、それを使ってもさまざまな表現ができる。

ここでテーマをどれだけうまく表現できるか、どんな技術を使うかを、審査員が判定する。この種目のポイントは、技術力だけではなく、発想力が求められるところです。

たとえば、ある試合で「お祭り」というテーマが出題されました。ほとんどの子どもが、「お祭りに行こう」というストーリーをつくって、移動すると花火が上がっているーーというようなプログラムを作成していました。

ところがある子どもは、10匹くらいのたくさんの猫が動き回って踊っている、という表現をした。たぶん「猫の盆踊り」という解釈だったと思うんですけど、これはなかなか思いつかない。

――そういった発想力も評価されるわけですね。

竹林 プログラミングの技術はイマイチでも、アイデアが抜群な人っているんですね。この種目では、そういう人に活躍してもらいたい。

実際の仕事の場面でも、できるプログラマーは、お客さんの言ったことをそのままこなすのではなく、プロダクトがもっとよくなるアイデアを付け加えて返すということがあります。

――なるほど。では次のアルゴリズム系の競技について、お願いします。

竹林 これは、世間一般で言われるところの“プログラミング能力”が要求される種目です。立方体のブロックで構成された世界を冒険する「マインクラフト」のゲームの画面上で、エージェントと呼ばれるロボットをプログラミングで動かして、目標を達成するという競技です。

たとえば、画面上に表示される迷路を、どれだけ早くクリアできるかを競った試合もありました。プログラミングのやり方によっては、繰り返しや条件分岐をうまく使うことで、短いコードを書いたり、一度の入力で済ますことができる。その能力が問われる種目になっています。

画像1: それぞれの種目

――3つめの制御系の競技は、どういったものでしょうか。

竹林 この種目はドローンやロボットを使って課題を行います。たとえばドローンを指定したスタート地点からゴールまで動かす際に、どれだけうまく制御できるかを競う種目です。

画像2: それぞれの種目

他の種目は、いわゆるパソコンの中の世界だったわけですが、ここでは実際にハードウェアを動かすことになる。

ソフトウェアの場合は、100ミリ動かせという指示をすると、何回やらせても永遠に100ミリしか動かない。たまに99ミリになっちゃった、なんてことはないわけです。でも、ハードウェアではそういった誤差が生まれる。そもそもドローンごとに個体差があったり、風が吹けばドローンの動きは変わるし、ちょっと壁にぶつかってプロペラが曲がり、今までと違う動きになったりすることもある。

アプリやソフトウェアって、プログラムで指示したとおりに動くのだから、考え方によっては“甘やかされた世界”なんですね。でも現実では、そうはいかない。ドローンを飛ばして指定のポイントに下ろす。これだけでも大変です。

まず何秒上げるのか。0.1秒違うだけで、変化は大きい。仮に1秒で1メートル進むとして、2メートル飛ばした場合、単純に計算して2秒かかると考えてしまいそうですが、1メートル飛ばした時点で勢いがついているわけですから、実際はもっと短くなるわけです。そういった物理的なことも頭に入れる必要があるわけです。

――この種目ではどんな能力が問われるのでしょうか?

竹林 現実対応能力やトラブル対応力ですね。「ティンカリング」という言葉があるのですが、いわゆる試行錯誤をする能力。プログラミング技術だけでなく、失敗を恐れない、めげないメンタルをもった子が活躍できる種目になっています。

画像3: それぞれの種目

――最後は、チーム対戦の種目ですね。

竹林 これだけ少し毛色が違うのですが、4人がリレー形式でゲームのステージをクリアしていくというものです。今大会では、人気ゲーム『ロックマン』とコラボをしていて、ステージ内でロックマンを召喚、いろいろな武器を使って攻撃することで障害物を壊すというギミックもあります。

「HackforPlay」という、プログラミングでキャラクターを動かして、進めていくプログラミングツールがあります。この「HackforPlay」上でロックマンを動かして、ステージをクリアするのです。

4つのステージが用意されて、ひとり1ステージずつ担当。クリアするごとにバトンタッチをして、全ステージクリアのタイムを競う内容です。ステージが進むごとに難しくなって、第4ステージなんかはかなり難しくなっています。

――うまい子を後ろに配置するなど、戦略も重要になりそうです。

竹林 そのとおりです。操作できるプレイヤーはひとりですが、後ろからアドバイスするのはOKなので、みんなで解くことができる。この種目では、チーム戦ならではのドラマチックな展開もあり得ます。たとえば、最初の子がつまずいて、1分でクリアしたいところを3分かかってしまう。「しまった!」みたいな顔で落ち込むわけです。でも次の子が頑張ってトップに躍り出たり。

つい先日の試合でも、アツい展開がありましたよ。最終戦の前で、1位のチームと最下位チームの差が15点。この「HackforPlay」は、1位になると20点を獲得できて、ゴールできなければ無得点です。つまりすべてのチームに優勝の可能性が残っていたんですね。

そうしたら、最下位のチームがいいタイムでゴールして、大逆転!……と思ったら、上位だったチームが1秒後にゴールして、さらに逆転、優勝という結果になりました。観戦する父兄たちも大歓声を上げて、逆転したら「うわー!」と盛り上がり、また逆転されると意気消沈。参加する子どもたちだけでなく、見ている側もおもしろい競技だと思います。

――こういった場所で、いろいろな才能が発掘される可能性があるわけですね。

竹林 将来的にはいろいろな人材を輩出することになるでしょうし、技術を大切にする企業なんかから青田買いされることもあり得るでしょう。ほかにもここで出会った子たちが、ベンチャー企業をつくって成功する、なんてこともあるかもしれません。子どもたちにとって、人生を一緒に戦っていく仲間を見つける機会になればいいな、と思っています。

画像4: それぞれの種目

アイデアや表現力、トラブル対応力やプログラミング能力……。子どもたちのさまざまな才能が開花する可能性を秘めたイベント「GPリーグ」。2018年冬にも次のリーグが開催予定なので、参加することで子どもたちの新たな一面が見られるかもしれません。

GPリーグヤマハ発動機プログラミングコロシアム2018 ウィンターシリーズ

・静岡県大会
 日程:予選12月8日(土)、決勝12月9日(日)
 会場:静岡大学 浜松キャンパス 特設会場

・大阪府大会
 日程:予選12月22日(土)、決勝12月23日(日)
 会場:大阪電気通信大学 寝屋川キャンパス 特設会場

・広島県大会:
 日程:調整中
 会場:調整中

記事全文ページのみ

This article is a sponsored article by
''.