2018年10月中旬から12月中旬までヨーロッパに滞在するため、この機会に訪問した子ども向けの体験型教育プログラムや施設やSTEM教育関連のトピックスについてレポート。第2回はスウェーデン・ストックホルムにある国立科学技術博物館「Tekniska Museet(テクニスカ)」について紹介します。北欧でSTEM教育に興味があるということを話すと、誰もがオススメしてくる施設です。

「テクニスカ」とは

1936年にオープンして以来、スウェーデン最大のサイエンスミュージアムとして年間30万人が訪れています。2017年には、創造的で革新的な子ども向け展示や施設に贈られる“チルドレン・イン・ミュージアム・アワード”を受賞しました。

画像: テクニスカのエントランス。最新の企画展がフィーチャーされている

テクニスカのエントランス。最新の企画展がフィーチャーされている

テクニスカがもつビジョンは「"every little genius' favorite place"(すべての小さな天才たちが大好きな場所)」。子どもから大人まで、誰もが科学技術に興味をもつきっかけが得られるように設計されています。

ストックホルム市内中心部からバスで15分ほどの場所で、近くには民族学博物館や警察博物館、海洋博物館もあり、週末や学校が休みの日には多くの家族連れで賑わいます。まずは現在行われている特別展示を中心に、テクニスカの魅力についてひもといてみましょう。

いろいろな視点からひとつの産業のことを学ぶ

エントランスでも大きくフィーチャーされていた、今年10月からスタートした企画展「Play Beyond Play – enter the world of computer games」。スウェーデンにおけるゲームは、世界中からも注目を集めている産業のひとつです。バトルフィールドやキャンディークラッシュ、マインクラフトなどの人気ゲームを輩出し、モバイルアプリやビデオゲーム業界を大きく牽引してきました※。特にマインクラフトは、プログラミング教育の現場において欠かせないツールとなっています。

企画展では自国の成長産業でもあり、個人にとっても身近なゲームの世界に飛び込み、ノスタルジア、娯楽、進歩するデジタルテクノロジーといった複合的な視点から理解を深めることがでるような内容になっていました。

※スウェーデンにおけるゲーム産業の統計データ「Swedish Game Developer Index」の最新版
https://static1.squarespace.com/static/5a61edb7a803bb7a65252b2d/t/5bc097ec104c7bc0b225a67d/1539348506035/GDI_2018_ENG.pdf

歴史的なゲームから最新の医療研究まで。あらゆるVRが体験できる

入り口正面には1991年に発売されたVRアーケードマシン「Virtuality 1000CS」の実機が展示されています。大人にとってはノスタルジア。子どもたちの目にはどう映るのでしょうか。訪問したときはクローズしていましたが、当時のスペースインベーダーが今でもプレイできるそう
です。

画像: CYBER1000CS

CYBER1000CS

その横では同時代のビデオゲーム「Dactyl Nightmare」をヘッドマウント型のVRデバイス「Oculus Rift」でプレイできる展示がありました。この展示では、なんでも当時14歳だった少年が大人になってから開発したエミュレータが使われているとのこと。VRに魅了されて勉強はしたものの、産業が小さく就職機会に恵まれないまま大人になり、近年のコンシューマ向けVRデバイスの普及をきっかけにエミュレータを開発したのだとか。まさに小さな天才のその後のストーリーですね。

他にも展示フロアのアチコチに、19世紀のVRグラスや1999年に使われていたモーションキャプチャ用の「CyberGlobe」といった、ゲームの歴史がちりばめられています。

また、新しいテクノロジーとしてフォーカスされているVR体験ブースでは、新しいアプリが体験できるようになっています。そのひとつが、ヨーテボリにあるサルグレンスカ大学病院で試験されている、認知行動療法のためのソフトです。水辺に広がる森林とその中で過ぎてゆく時間。ベッドに横たわってリラックスしながらVRの世界に没入できます。

ゲームができる仕組みと、そのために必要な技術を知る

次はゲーム開発を支える技術を知るコーナーです。ゲーム内のキャラクターに動きを加えるために欠かせないモーションキャプチャを使って動きがどうつけられていくのか、そのためにはどんなセンサーやソフトが用いられているのか、動画で段階ごとに細かく説明しています。

画像: モーション編集の解説動画

モーション編集の解説動画

同じく、効果音やBGMなど、音のつくり方についても実際の事例とともに解説。アプリケーションを使って、最適な映像と効果音を組み合わせるような体験もできます。

一角には人気ゲームのキャラクターのコスプレ(コスチュームプレイ)写真と衣装を展示。ゲームとその周辺に広がる日本発の文化として紹介されていました。

いいアイデアを生み出すための実験場

そして次に紹介するのが、入場したら子どもたちが真っ先に向かう人気のエリア「MegaMind – a quest for the curious」。テクニスカではあらゆる疑問や課題を解決できるのは「いいアイデア」であるとし、それらを生み出しやすくなるような刺激を脳に与えるような仕掛けを用意しています。

一人でコツコツとクリアするものもあれば、みんなで競ったり協力するものなど、大小30種類近くのアトラクションが用意されていました。

画像: MEGAMIND入り口。廊下には音を使った仕掛けがあります

MEGAMIND入り口。廊下には音を使った仕掛けがあります

ここで大事なのは集める・つなげる・作り出す・インスピレーションを得る・実装するといった5つの要素。子どもたちは全身を使って遊びながら、これらに必要な経験を得ることができます。

5つの要素のうち、実装するに該当するのが「The Future Labs」です。イノベーションのために大切なのはSTEAM教育であるとし、週末と学校の公休日にオープン。ストローを使った立体構造を作成したりするなどのワークショップが行われています。

画像: ラボスペースにはストローを用いて制作された作品が展示

ラボスペースにはストローを用いて制作された作品が展示

テクノロジーへの理解を深め、今後のアイデアにつなげる

画像: テクニスカエントランスすぐ、100 INNOVATIONSの展示

テクニスカエントランスすぐ、100 INNOVATIONSの展示

今回紹介した以外にも、スウェーデンの革新的発明を集めた「100 innovations」や、スウェーデン人発明家で起業家でもあるクリストファー・ポーレムの発明品の展示、エネルギーを学ぶコーナーや1948年から7年かけて作られた鉄道模型まで、見どころはたくさん。たとえば100 innovationsでは、どれがもっとも重要な発明であるかのアンケートをして、その結果もパネル展示されています。

いずれもテクノロジーに興味を示しやすいような柔らかなインターフェイスをもち、理解を深めたいときには情報を与え、さらには自分の意見やアイデアへと昇華しやすい仕掛けづくりがされています。それぞれの経験や知識によって、楽しめる深さや角度が異なります。

テクニスカの本当の魅力は、小さな子どもから中高生、さらには大人まで、あらゆる世代が同じコンテンツを一緒に楽しめることなのかもしれません。

基本情報

名称: Tekniska Museet
開館時間:
月火木金土日 10:00-17:00
水 10:00-20:00(17:00-20:00は入館無料)
料金:
6歳以下は無料、7歳からは1人150SEK
住所:
Museivägen 7, bus 69 to Museiparken
Stockholm, Sweden
(上記情報は2018/11/20現在のものです。詳細は施設の公式ページをご覧ください)

公式サイト(英語)

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