2018年8月に東京某所で開催された、遊びから「プログラミングの楽しさ」を理解してもらうためのイベント「遊んで学んで」。前回はイベントの概要を紹介しましたが、今回は具体的にそれぞれのコンテンツについて見ていきましょう。

micro:bitでプログラミングできる遊べるコンテンツ「遊んで学んで」

今回のイベントタイトルにもなったのが、この「遊んで学んで」という体験型コンテンツ。

プロジェクターで壁一面に投影された海に、潜水艦や海の生物が泳ぐ、大規模なコンテンツです。海の生物は、あらかじめ塗り絵用の台紙を用意し、まずはそこに自由に色や模様をつけてもらいます。そしてその絵をスキャンすると、スクリーンの海でその絵が泳ぎ出します。魚だけでなく、イカやタコもいます。

このような展示は、チームラボが提供している「お絵かき水族館」が有名ですが、実はそんなに大規模な仕掛けがなくても簡単につくれます

画像: スキャンした塗り絵がスクリーンの海を泳ぐ

スキャンした塗り絵がスクリーンの海を泳ぐ

塗り絵をスキャンし、それがスクリーンの海を泳ぐという仕掛けは、イベントにくる未修学から低学年の子どもたちのために追加しました。

しかしこのコンテンツの根幹にあるのは、このような楽しい体験が「自分でつくれる」ということを体感してもらうことにあります。本当の目的はスクリーンに魚を映し出すことではなく、スクリーンの海を航行する潜水艦の操縦コントローラを、子どもたちがつくることなのです。

画像: このコントローラをつくることが本当の目的

このコントローラをつくることが本当の目的

このコントローラは、micro:bitという小型のマイコンボードを使っています。micro:bitには、傾きセンサーなどがついており、Scratch風のグラフィクカルなツールでプログラミングが可能です。通信部分については技術的にみるとけっこう面倒なことをしてはいるのですが、コントロール部分についてはScratchがわかればプログラミングできるようにしてあります。

実はmicro:bitを使わなくても、パソコンやスマホ上にボタンを表示すれば、コントローラとして使うこともできるのですが、画面上に配置したボタンをクリックするのはつまらないと思いました。実際に物理的にボタンを押せたりするほうが、もっとおもしろくなると思ったのです。

この「遊んで学んで」を開催する前に、会津若松のデジタル未来アート展で3週間展示をしました。その際に、それをひもとくワークショップをして、子どもたちに作り方を理解してもらい、プログラミングを体験してもらいました。

基本的には「遊ぶ」よりも「つくる」ほうが絶対に楽しいという自信が私の根底にあります。しかし、大人が真剣につくったものを子どもが簡単につくれるわけはありません。そこで、子どもでもわかるような技術を使った体験型コンテンツとして、「遊んで学んで」をつくったのです。

画像: 会津若松のデジタル未来アート展のワークショップ

会津若松のデジタル未来アート展のワークショップ

飛び道具「ドローン」もプログラミングで飛ばす

今回紹介するもうひとつのコンテンツは、ドローンをScratchでプログラミングして自律航行させる「ドローンサーカスプログラミング」。小学校中学年以上の子どもたちを対象にしたコンテンツです。

ドローンは、最近のプログラミング可能なデバイスの中でも、もっともインパクトがあるデバイスと言えます。しかし、ドローンに搭載されているプロペラは凶器にもなるため、大きな怪我をするリスクがあり、危険なデバイスにもなります。

また、航空法や条例によって、飛ばせる場所が限られています。てのひらに乗るような小さなドローンでも、たとえ航空法には抵触しなくても、条例や公園などの利用規則で飛ばせないことが多いのが実情です。なので、対象となる小学生から中学生などが、ドローンを安全に楽しく学べる環境をつくりたい、とこだわったのがこのコンテンツです。

安全面では、3m×3mのテントをベースに、ネットを張り、外にドローンが飛び出さないように蚊帳を用意。プログラミングする子どもは、ドローンテントの中には入らず、外でプログラミングします。ドローンテントの中でドローンを扱うのは、大人のスタッフです。

画像: ドローン用の蚊帳を用意しているところ

ドローン用の蚊帳を用意しているところ

ドローンは飛ばすだけでも楽しいものです。しかし、子どもたちに未来を体感してもらうために、自律航行のプログラミング体験を提供しました

今回利用したTelloという小型ドローンは、これまでのものと比べて安定性が飛躍的に上がっています。初心者のスマホ操縦でも安定して飛行が可能です。しかし、プログラミングで自動航行するには、プログラミングスキルが求められます。プログラミングによる自動航行で、ドローンが自律的に動いている姿は未来を感じます

画像: 遊んで学んで ドローンサーカスプログラミング設営テスト youtu.be

遊んで学んで ドローンサーカスプログラミング設営テスト

youtu.be

プログラミングでドローンを自動航行する場合、プログラミングでクリアするミッションの設定が、楽しさに大きく影響します。そこで今回のイベントにおけるミッションは、少しずつ難易度を上げ、達成感を持続できるようにしました。

最初は離陸し、少し先に進んで着陸するミッション。このプログラムをベースに、高度を上げ下げすることや方向転換する命令を追加しながら、ミッションをクリアしていきます。

次に、「ドローンサーカスプログラミング」という名のとおり、サーカス的な芸をドローンにプログラミングすることでクリアしていきます。「輪くぐり」は、一つの輪をくぐることから、連続して輪をくぐる。さらには旋回し方向展開しながら複数の輪をくぐり、着地点に向かうミッションです。

さらに、これを簡単にクリアした子どもにはもっと難易度を上げ、達成感を得られる追加ミッション(芸)を用意しています。「ホバリング風車」そして「風船割り輪くぐり」です。

「ホバリング風車」は、適切な高度や位置でドローンをホバリングさせた状態で風車を回転させてベルを鳴らします。ベルがいい感じで、チン♪チン♪チン♪と鳴った際には、ずっとホバリングしていたい気持ちになります。「風船輪くぐり」は、輪くぐりのオプション的なミッションですが、輪に風船をくくりつけ、その風船を割ります。風船が割れたときの子どもや見学者の驚きと喜びは、素敵な一体感を醸成します

画像: 遊んで学んで ホバリング風車 youtu.be

遊んで学んで ホバリング風車

youtu.be

とは言え、この「ドローンサーカスプログラミング」に問題がないわけではありません。TelloをScratchでプログラミングしようとすると、センサーの制御ができないので、決め打ちの距離(cm単位)で制御する必要があります。この精度がゆるく、制御の誤差が大きくばらつきます。また、Wi-Fi経由でつなぐので、ドローンへの制御コマンドがきちんと通らないこともあります。

このコンテンツは、筆者が主宰する「お茶の水ロボットクラブ」でも提供しており、実施経験を上げ、子どもたちの満足度を上げる取り組みをしています。

遊んで学んで、つくることができると認知させる

今回紹介した2つのコンテンツには共通点があります。子どもたちにITを活用したコンテンツやデバイスを一方的に提供するのではなく、自分たちでプログラミングできるようにするということです。

子どもたちがこれらのコンテンツを体験することで、これから接するいろいろなデバイスやサービス、コンテンツが自分たちでもつくれるんだと考えてもらいたい。使うことより、つくっているほうが楽しい……そんな気持ちになってくれれば、これほどうれしいことはありません

次回は、遊んで学んでのイベントで提供した他のコンテンツの詳細について紹介を予定しています。

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