10月21日、経済産業省、総務省、文部科学省、国土交通省などが後援する「U-22プログラミング・コンテスト2018」の最終審査会が行われました。同コンテストは1980年から優れた人材の発掘・育成を目的に開催している作品提出型のコンテストです(関連記事)。
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最終審査会当日は、今年度U-22と連携した全国小中学生プログラミング大会との合同パネルディスカッションも実施。「IT×教育 質問・相談室」と題して、有名IT企業の社長とプログラミング教育の専門家が、小学生から社会人まで幅広い年齢層からの質問に回答。「プログラミングができる子がモテる時代が来る」「営業部員もプログラミングを学ぶべき」など、さまざまなトピックについて語りました。ここではその様子をほんの少しレポートします。

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【登壇者】
≪パネリスト≫(左から)
青野慶久氏(サイボウズ株式会社代表取締役社長)
田中邦裕氏(さくらインターネット株式会社代表取締役社長)
石戸奈々子氏(慶應義塾大学教授・NPO法人CANVAS理事長)
清水亮氏(株式会社UEI代表取締役社長兼CEO)
≪モデレーター≫(一番左)
遠藤諭氏(株式会社角川アスキー総合研究所取締役主席研究員)

「35歳定年説」はもう古い!

画像: 遠藤諭氏

遠藤諭氏

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遠藤 1つ目は、「プログラマーが35歳までという噂は事実なのでしょうか?」という質問です。

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清水 僕が子どものころは、たしかに誰もが「プログラマーは35歳まで」って言っていました。でも当時でも30代以上のプログラマーがいましたから、この説はかなり前時代的ですね。実際、僕は40代になった今でもまだプログラムを書き続けています

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石戸 最近では、82歳の若宮正子さんがつくったスマホアプリ「hinadan
」(※ひな壇の正しい位置に雛人形を配置するゲームアプリ。6万ダウンロードを超えた)がブレイクして、“日本最高齢のエンジニア”として話題になりました。今は自己表現の手段として、80歳を超えてからプログラミングに挑戦する人も出てくる時代になっていますね。

画像: hinadan

hinadan

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清水 以前と比べて、働き方も大きく変わってきています。たとえばうちの会社では、プログラムを書く時間よりも、人工知能が学習している時間のほうが長い。みんな1日7時間も働いていません。だから、週休3日にしたほうがいいんじゃないかと考えているところです。

プログラミングが得意な子がモテる時代に?

画像: 石戸奈々子氏

石戸奈々子氏

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遠藤 次は、小学生からの質問です。「夏休みの自由研究としてプログラムをつくって提出しましたが、先生からは『発表するところがない』と言われてしまいました。自由に研究成果を発表できるところはないのでしょうか?」これは問題ですね……教育に携わっている石戸さん、いかがですか?

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石戸 夏休みの宿題として、プログラムを提出する子が増えているのは事実です。しかし、すばらしいプログラムを組んだとしても、先生がプログラムを実行できなければ、このようなことになってしまうんですね。ソースコードを印刷して提出したという子もいます。

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田中 プログラミング教育が必修化されると、学校側もプログラミングが得意な子をないがしろにできなくなると思います。「運動ができる子」ではなく、「プログラミングができる子」がモテる時代の到来ですよ。僕の学生時代は、いくらプログラミングができてもオタク扱いで、ちっともちやほやされなかったですけど(笑)。

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石戸 ただ、もう学校だけが発表の場ではないので、あらゆる媒体を活用してください。インターネットを使えば個人でも発信できますし、こういったプログラミングの大会にエントリーするのもいいでしょう。

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青野 今回のU-22プログラミング・コンテストもすごく応募数が増えました。今年からは最初の突破した人にもCertificateという認定証を発行するようにしているので、ぜひ頑張ってCertificateを獲得して、周りに自慢してほしいですね。

営業部員にもプログラミングスキルが必要な時代

画像: 青野慶久氏

青野慶久氏

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遠藤 次は社会人の女性からですね。「IT企業の開発部門ではない事業部門の社員はどうやってプログラミングを学習すべきか?」という質問です。

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青野 うちの会社では、営業部員がプログラミングを学ぶシステムがあるので、顧客への提案能力が上がります。たとえばお客さんから「画面のこの辺をこうしたい」と言われたときに、目の前でコードを書いてしまう。すると「営業なのにプログラムが書けて、しかもこの場で見せてくれるんだ」と驚かれて、いい印象をもたれるんです。

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遠藤 開発側のことを理解していない営業部員だと、できないことを「できます!」って言って帰ってきてしまいますからね(苦笑)。

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青野 逆に「一度会社に持ち帰ってから相談します」だと、帰ってSEに相談して、またクライアントのところに戻って……と、効率も悪い。その手間を省くためにもやはりこれからのIT企業では「開発部門ではないけれどプログラムが書ける人」が求められる時代になると思います。

嫌われがちなJASRAC、じつは便利な存在だ

画像: 清水亮氏

清水亮氏

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遠藤 小学生男子から、「自分が好きな音楽をコンテストに応募する作品に使ってもいいのでしょうか?」という質問が来ています。これはどうしましょう?

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清水 そもそも、自分のつくった作品をよくするために、好きな曲を使いたいと思うのは普通ですよ。たとえばこういうコンテストでの発表ならJASRACにお金を払えばいいだけの話。そして、子どもの自由な表現を支えるのは大人の仕事です。僕がとあるプレゼンテーションで映画の曲を流したい、と思ったことがあって。JASRACに問い合わせたら「1000円払えばいい」って言われたんです。世間では嫌われがちだけど、お金さえ払えばいいんだから、すごい便利な存在なんですよ。

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石戸 子どもたちは、つくったものをインターネットで配信する過程で、リテラシーも学んでいきます。教育というシーンに限って言えば、自由にコンテンツを利用できるように環境を整えてほしいところですね。

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清水 この「音楽を使ってもいいのか」って質問もそうですが、日本人って必要以上に自主規制、萎縮してダメになっちゃうことが多い。以前、ある企業と共同研究してそこの新入社員とアイデアを出し合ってみたら、「これは特許に引っかかりませんか?」なんてことばかりを気にするんです。スタートするときは、ある程度自由な発想で考えないといいものは生まれません。つくったあとで、もし誰かに権利を請求されたら、「自分は目をつけられるほどいいものをつくったんだ」ぐらいに思ったほうがいいと思います。

敵にミサイルを当てるために必要な演算とは?

画像: 田中邦裕氏

田中邦裕氏

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遠藤 いよいよ最後です。「今みなさんが小学生だとしたら、どのようにプログラミングを学びたいですか?」という質問ですね。僕はゲームからモチベーションの連鎖を生み出すのがひとつの道だと思っています。ゲームで遊ぶ。負けて悔しいからプログラムを解析し始める。いじりながらどんどん言語を習得していく。こうやって一度でもプログラミングに触れると、遠ざけることは少なくなるのではないかなと。

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清水 xとかyを見ると「数学はイヤ!」って思考停止する人っていますよね。それは目的もなく、数式を覚えようとするから。今の数学の教え方って、“いい計算機になるための教え方”なんですが、人間は覚える機械じゃないから。数学ってしょせん道具なわけで、たとえばミサイルが敵を追いかけるためにどうするかって考えたら、「外積(ベクトル同士のかけ算)」が必要になる。そうやってプログラムをつくろうとしてから、必要なことだけ覚えていけばいいわけです。

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遠藤 たしかに、プログラムをつくりながら数学を覚えていくのは理に適っている気がします。自分が思っていることをプログラムに実行させるには、何を使えばいいのか。プログラミングから入ることで、何のために三角比があって、何のために微積分があるのかも自然に分かってきます。

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清水 そもそも、公式を暗記してテストにパスするっていう仕組みが、「クイズ王を育てたいのか」って話だから。

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石戸 プログラミングの必修化にあたっては、科目が新設されるのではなく、すべての科目の中にプログラミングが入っていく仕組みになっています。プログラミングを使って算数や国語を学ぶことになるので、2020年以降は、清水さんのおっしゃったような“必要なことを自ら学んでいく教育”に近づいていくと思います。

プログラミングを始めるベストな入り口とは?

さまざまな話題が展開されるなか、清水氏を除く登壇者が口々に「これはいいよ!」と勧めていたのが、プログラミング用パソコン「IchigoJam」でした。手のひらサイズで、テレビとキーボードを接続すればすぐにプログラミングを始められる。1,500円という、買い求めやすい価格も魅力です。

なお、清水氏は「IchigoJam」で使われている言語(BASIC)は不便という理由で『Raspberry Pi』を挙げていました。

パネルディスカッションでは「プログラマー以外も、プログラミングスキルが必要な時代が来る」という話も出ていただけに、子どもたちにとって触れやすいツールを用意することが重要となりそうです。

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