『ルビィのぼうけん』シリーズ第三弾『インターネットたんけん隊』の発売に合わせて来日したリンダ・リウカスさん。その単独インタビューに成功したのでその内容をお届けします。

『ルビィのぼうけん』第三弾がいよいよ発売!

世界20カ国以上で発売され、大反響を巻き起こしている『ルビィのぼうけん』シリーズ。第一弾「こんにちは!プログラミング」、第二弾「コンピューターの国のルビィ」に続き、いよいよ第三弾『インターネットたんけん隊』が、日本でも発売になりました。

それを記念して、著者であるリンダ・リウカスさんが、フィンランドから緊急来日!去る12月16日に、親子向けワークショップと、2020年度からのプログラミング教育必修化を見据えた、教員向けカンファレンスが開催されました。

親子向けワークショップでは、体を動かしながらプログラミングの考え方のひとつである「ループ」を体感したり、「センサー」を使った新しいコンピューターのアイデアを考えてみたり。楽しみながら、かつ想像力を働かせながら、親子で熱心に取り組んでいましたよ。

画像: 『ルビィのぼうけん』第三弾がいよいよ発売!

さて、『ルビィのぼうけん』第三弾のテーマは「インターネット」について。私たち親世代が子どもの頃は、まだまだ遠いどこかの話だったインターネットも、今や私たちの日常生活の中に溶け込み、もはやなくてはならないものとなっています。

そんなめまぐるしく時代が変化していく中で、私たち親は今、子どもたちのためになにができるのでしょうか。『ルビィのぼうけん』に込められた思いとともに、著者であるリンダ・リウカスさんに話を聞きました。

子どもたちがテクノロジーに興味をもてるアプローチを

画像: 子どもたちがテクノロジーに興味をもてるアプローチを

――本日ワークショップをしてみて、日本の子どもたちの反応はいかがでしたか?

リンダ そうですね。今回は3つのアクティビティをしましたが、臆することなく、とてもよく食いついてきてくれたと思います。とくに「センサー」のアクティビティでは、次々と多彩なアイデアを出してくれましたし、「家族のネットワークを描く」というアクティビティでは、それぞれ違う発想でネットワークを書いていたのが印象的でした。一人一人が意欲的に取り組んでくれたと思います。

――リンダさんは世界中でワークショップをされていますが、世界の子どもたちと日本の子どもたちで、なにか違いは感じますか?

リンダ 国による違いは感じませんね。どこの国でワークショップをしても、食いつきがよく、豊かな発想力をもっているという点では、まったく違いはありません。ドバイの子も、日本の子も同じです。

――男の子と女の子では、どうですか?

リンダ 男女差でいうと、実際に“なにをつくりたいか”という視点で、少し違いを感じるかもしれません。たとえば男の子になにをつくりたいかを問うと「ゲーム」や「ロボット」といった答えが鉄板ですが、女の子は、より人間的な発想をする子が多いような気がします。

今日のワークショップでも、「センサーを使ってどんなコンピューターをつくるか」というお題に対して、「体が不自由な人が、ベッドから落ちてしまったときに、その重さをセンサーがキャッチして、助けを呼ぶ」と発表してくれた女の子がいました。これも、“困っている人を助けたい”という人間的な感情が根底にある、女の子らしい視点だなと感じました。

もし「プログラミングに対する興味」という点で違いが出るとしたら、それは、国でも性別でもなく、子どもたち個人の性格かもしれません。

これまで「プログラミング」というと、どうしても「ロジカルに考えたり、数学が好きな子がやるもの」というイメージがありました。しかし、これからの未来を生きる子どもたちにとっては、プログラミングを通して得られる「問題を解決する力」「考える力」は必須の力です。数学が好きな子だけではなく、それ以外の子どもたちにも広く興味をもってもらう必要があります。それには、これまでの数学的なアプローチとはまったく違う、新しいアプローチの仕方が必要だと感じています。

――それで、『ルビィのぼうけん』が生まれたのですか?

リンダ 人は、幼少時代にたくさんのものを見て、感じて、刺激を受けながら自己認識が確立されていきます。ですから、プログラミングやテクノロジーについても、まずは、幼少期のうちからこのような世界があるということを、見せていくことが大切だと思っています。そこで私は、子どもたちが大好きなストーリー形式を取ることで、小さな子どもでも数学が苦手な子どもでも、抵抗感なく楽しみながらテクノロジーの世界に入っていける本をつくりたいと思いました。

私がこの絵本で目指しているのは、この絵本をきっかけに、まったくテクノロジーに興味がなかった子どもたちにも、興味をもってもらうこと。もともとはプログラミングを学ぶつもりも、プログラマーになりたいわけでもなく、はじめはなんの絵本かもわからずに手に取った子どもたちにも、この絵本を入り口としてテクノロジーの世界に興味をもってもらえたらうれしいですね。

内容が理解できなくても、繰り返し読み、まずは絵本の世界を楽しむこと!

画像: 内容が理解できなくても、繰り返し読み、まずは絵本の世界を楽しむこと!

――ウチにも5歳の娘がいて、『ルビィのぼうけん』シリーズを一緒に読んでいますが、正直まだ難しくて、内容が理解できていないようです。リンダさんご自身は、何歳くらいからこの絵本を読んでもらいたいとお考えですか?

リンダ 本自体は5歳から9歳までを対象年齢としていますが、実際の読者層はもっと幅広い。たとえば、3歳の女の子も手に取ってくれていますし、大企業のCEOが私の絵本を読んで「アルゴリズムについて理解できた」と言ってくれたこともありました。

ただ3歳の子が、はたしてこの絵本を読んでコンピューターサイエンスとはなにかを理解しているかというと、決してそんなことはありません。内容は理解していませんが、純粋に絵本の世界を楽しんでくれています。私は、それでいいと思うんです。

なぜなら内容は理解できなくても、幼少期に絵本を通してテクノロジーの世界に触れたという経験は、その子が成長したときにきっと思い出すと思うのです。そしてそれが、コンピューターサイエンスへの興味につながっていくはずです。ですから、まだ内容が理解できない小さな子どもでも、親子で繰り返し読み、まずは絵本の世界観を楽しむことが重要だと思っています。

今大事なのは、子どものテクノロジーへの興味と豊かな創造性の土壌をつくること

画像: 今大事なのは、子どものテクノロジーへの興味と豊かな創造性の土壌をつくること

――2020年度からのプログラミング教育必修化を前に、日本の親の中にも、子どもへのプログラミング教育熱が高まっているのを感じます。リンダさんの絵本には、実際にコードを書くアクティビティは登場しませんが、コードの書き方を教える必要はないのでしょうか。

リンダ たとえばフィンランドでは、2016年からプログラミング教育が必修化されましたが、その10年前の2006年には、まだiPhoneさえ発売されていませんでした。このように猛スピードで変化していく時代の流れの中で、今の子どもが大人になったときにどんな世の中になっているかなんて、まったくわかりません。コードの書き方だって変わっているかもしれません。私たちが今最初にすべきことは、コードの書き方を教えることではなく、子どもたちのテクノロジーに対する興味を促し、それを使って新しいことを生み出せる「創造性」を育むことです。

子どもたちのほうにまだ準備がないのに、いきなりコードの書き方を教えてしまうと、子どもは「あれをつくりたい、これをつくりたい」という好奇心や想像力がないまま、記憶力でコードを書くことを覚えてしまいます。それは大変危険なことです。

――ではまずは、リンダさんの絵本などを通して子どもの興味関心を促し、子どものほうからその先に進みたいという意欲を示したら……ということですか?

リンダ そうですね。ただそこで気をつけなければいけないのは、ついつい「プログラマー」というと、「コードを書く」という技術にばかり目がいってしまいがちですが、それではダメです。プログラマーになるには創造性が豊かで、テクノロジーというものがどういうものかをしっかりと理解していて、ハードウェアやソフトウェアがどんなものなのか、またネットワークやセキュリティについても学んでいかなければいけません。コーディングだけであれば、繰り返しやれば身につけられる技術ですが、それだけではなく、幅広い知識を身につけることが重要なのです。

――子どもが学びを進める過程で、親はどんな支援ができるでしょうか。

リンダ それは「見守ること」です。日本の親御さんは教育熱心なので、ついついリードしたくなるかもしれませんが、私は「見守ること」が大事だと考えています。

私は日本のテレビ番組「はじめてのおつかい」のコンセプトが大好きなんです。その番組では、子どもが勇気を出して、はじめてひとりでおつかいに行きます。親は、子どもと周囲の大人たちを信じて、送り出します。そして子どもは、アクシデントに見舞われながらも、それを乗り越え、おつかいを果たすわけです。日本の親は、おつかいだとこれができるのに、テクノロジーのことになると、急にできなくなります。でも大切なのは、「教えてあげること」ではなく、子どもを見守り、そして勇気づけることです。

それからもうひとつ、「答えはひとつ」と決めつけないことです。テクノロジーの世界では、問題へのアプローチの仕方はたくさんあり、これが正しい、これは間違いということはありません。問題を解決するための答えは決してひとつではないのです。

――リンダさんのお話をお聞きし、小さいうちにさまざまな世界を子どもに見せることと、私ももう少し子どもを「見守ること」を意識していきたいと感じました。最後に、これを読んでいる日本の親たちにメッセージをお願いします。

リンダ どんな子どもでも、心の中にテクノロジーへの興味をもっています。自分の子どもは文系だから、理系だから、科学が好きだから、社会が好きだから、プログラミングに向いている、向いていないと親が決めつけることなく、お子さんを信頼し送り出してあげてください。

(写真:三條 康貴)

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