大人も子どもも楽しめるサイエンスミュージアムは、日本国内外に数多くあります。ここではさまざまなサイエンスミュージアムについて、実際にいろいろな博物館や展示会を巡っている筆者が紹介。第2回は、福島県郡山市にある、ふれあい科学館スペースパークを訪ねます。

東北の玄関口、郡山

東京駅から東北新幹線に乗ってわずか1時間半。東北の玄関口である福島県郡山市に到着します。郡山市は東北地方の中では宮城県仙台市、福島県いわき市に次いで3番目に人口が多い都市です。

画像: 東北では3番目に人口の多い都市「郡山」

東北では3番目に人口の多い都市「郡山」

福島県の中央(中通り)に位置する郡山駅は、北海道までのびる東北新幹線、上野から続く東北本線、会津に向かう磐越西線、太平洋に向かう磐越東線、水戸とつながる水郡線が乗り入れる交通の要衝です。

郡山駅の南4kmに位置する貨物列車専用駅「郡山貨物ターミナル駅」は、2011年の東日本大震災の際には石油輸送の受入拠点になった駅でです。

画像: ビッグアイ22F展望フロアから望む郡山駅

ビッグアイ22F展望フロアから望む郡山駅

プラネタリウムはビッグアイの中にある

そんな郡山駅の前には、高さ133m(地上24階/地下1階)の商業ビル「ビッグアイ(大きな眼)」がそびえ立ち、その中に、世界で一番地上から高いところ(104.25m)にあるということでギネス世界記録にも認定されたプラネタリウムがあります。このプラネタリウムを含む、天体や電気などを扱う科学館が「郡山市ふれあい科学館スペースパーク」で、漫画家の松本零士氏が名誉館長を務めているとのことです。

画像: 郡山駅前にある「ビッグアイ」

郡山駅前にある「ビッグアイ」

建物の20〜24階の5フロアを占めており、展示ゾーンが2フロア、プラネタリウムが2フロアと研修施設が1フロアとなっています。入り口となる22階は無料の展望ロビーが併設されていて、郡山の街並みや磐梯山などを見渡すことができます。また無料エリアには、交通の要衝らしく特急車両の模型展示や、明治・昭和初期・現在を一望できる鉄道ジオラマが設置されているほか、SL運転シミュレータ(1回200円)も

画像: 鉄道エリア「ウォールミュージアム」

鉄道エリア「ウォールミュージアム」

郡山市ふれあい科学館スペースパーク

22階中央部の入り口以降が有料の展示ゾーンとなります。エレベーターを降りてすぐ右手にある券売機で展示ゾーンの入場券とプラネタリウムの時間指定券を購入。展示施設は1時間〜1時間半で見学できます。展示エリアについては当日中であれば何度でも出入り可能です。

プラネタリウムの番組は、小学生低学年以下向けから一般向けまであるので、まずはどれを見るか決めてチケットを買っておくとよいでしょう。特別番組が設定されることもあり、執筆時には「アニメソング特集」が案内されていました。

画像: 郡山市ふれあい科学館スペースパークのフロアマップ

郡山市ふれあい科学館スペースパークのフロアマップ

ジュール・ヴェルヌのSF「月世界旅行」の展示

展示エリアの最初のフロアには、電動ジオラマによる天動説から地動説に宇宙観が転換する流れや、フランス人作家ジュール・ヴェルヌのSF「月世界旅行」についての紹介が導入となっています。

画像: [日本語字幕]『月世界旅行』(1902)"Le Voyage dans la Lune / A Trip to the Moon" www.youtube.com

[日本語字幕]『月世界旅行』(1902)"Le Voyage dans la Lune / A Trip to the Moon"

www.youtube.com

「月世界旅行」は、1961(昭和36)年にガガーリンがはじめて宇宙に行く約100年前、1865(元治2/慶応元)年に書かれたもので、その先見性が話題になることが多い作品です。また、エジソンが映画の上映装置を発明した1890年から12年後の1902(明治35)年には世界初のSF映画として制作されています。映画は著作権の保護期間が満了し(パブリックドメイン)、インターネットなどで検索すると見ることができます。

画像: 「月世界旅行」の電動ジオラマ

「月世界旅行」の電動ジオラマ

H-2Aロケットの部品に直接触れる

ロケットの先端にはフェアリングという衛星を守るカバーが取り付けられていますが、ここでは2002(平成14)年2月4日に種子島宇宙センターから打ち上げられた、H-2Aロケット試験機2号機に取り付けられていたフェアリングの実物を直接手で触れることができます。

【コラム】フェアリングとは
ロケットは、打ち上げに際して搭載する人工衛星を乗せる軌道ごとに必要な速度が決まっていて、最低でも第一宇宙速度(円軌道速度) 秒速7.9 kmを超える必要があります。その速度に達するほどの出力があるロケットエンジンの振動や、空気との摩擦熱から人工衛星を守るのがフェアリングの役目で、打ち上げの途中段階で役目を終えて切り離され、海に落下します。ここにあるものは落下後に回収したものです。

ちなみに、どこからが宇宙(空間)かという厳密な定義はまだ定まっていないのですが、国際航空連盟では地表100kmを超える場所としています(カーマン・ライン)。

画像: H-2Aフェアリング(実物)

H-2Aフェアリング(実物)

子どもも参加できる科学実験コーナー

科学実験コーナーでは参加型の内容も用意されているほか、ワークショップコーナーや月面重力(地球の6分1)体験装置、宇宙飛行士の訓練でも行われる無重量(無重力)訓練装置なども用意されています。

実際に触れる鉄隕石

また、隕石の実物に触れたり、天体(星)の明るさや距離を調べる方法について模型を実際に動かしながら解説するなど、見たり聞いたりするだけでなく、体験的に学ぶことを重視していることがわかります。

画像: 鉄隕石

鉄隕石

世界一空に近いプラネタリウム

22階エレベーター出て左側にある階段を登ると、”ビッグアイ”の大きさを体感しながらプラネタリウムの入り口である23階につきます。プラネタリウム「宇宙劇場」のドーム形状は、昔ながらの半球形ではなく、新しいプラネタリウムでよく見かける傾斜型です。最近は星空上映と合わせて2D番組を上映する館も多いですが、この形状のおかげで急勾配座席と大スクリーンをもつIMAXシアターとはまた違った没入感が得られます。

ちなみに上映装置はプラネタリウムの老舗、五藤光学研究所のもので、見た目がメカメカしくてグッときます。

画像: プラネタリウム「宇宙劇場」の上映装置は五藤光学研究所のもの

プラネタリウム「宇宙劇場」の上映装置は五藤光学研究所のもの

科学と歴史を合わせて訪ねるのがオススメ

商業ビルの中に入居する博物館施設の中でも、体験型の設備がここまで揃っているところはなかなかありません。郡山市は猪苗代湖にも接していることから、1879(明治12)年「安積疏水(あさかそすい)」という水路を引く工事がはじまり、これが街の発展を支えたそうです。安積疏水の関連施設は日本遺産にも指定されているので、科学と歴史を合わせて訪ねるのがオススメです。

画像: ビッグアイ22F展望フロアから会津磐梯山を望む

ビッグアイ22F展望フロアから会津磐梯山を望む

基本情報

  • 名称: 郡山市ふれあい科学館スペースパーク
  • 住所: 福島県郡山市駅前2丁目11 ビッグアイ
  • 展示ゾーン
    • 開館時間: 午前10時〜午後5時
    • 見学目安時間: 1〜1.5時間
    • 入場料: 大人 400円〜幼児 無料
    • オーディオガイド: あり(無料) / 2018年12月16日時点では利用不可
  • プラネタリウム
    • 開館時間: 午前10時〜18時頃(曜日により異なる)
    • 見学目安時間: 約1時間
    • 入場料: 大人 400円〜幼児 100円

* 駐車場: 周辺の駐車場を利用

https://valed.press/_ct/17233873

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