前回記事では、WRO(World Robot Olympiad)2018の国際大会をレポートしました。今回は、その前に行われる日本国内の予選大会について紹介します。

世界挑戦への扉である予選会

WRO(World Robot Olympiad)は、いまや世界60の国や地域が参加する世界最大級のロボットコンテストです。WROは、2004年にシンガポールのサイエンスセンターの呼びかけで、世界13の国や地域ではじまりました。

日本国内では、国際大会に派遣するチームを決めるため、国内で予選会を開催。世界を目指す場合には、地域で開催される予選会を勝ち抜き、日本の決勝大会で上位に入る必要があります。今回は、この世界挑戦への扉である予選会について、筆者が主催する小・中学生を対象とした東京予選会を中心に紹介します。

*予選会が開催されるのはもっとも参加チームが多いレギュラーカテゴリー(ミドル、エキスパート)のみ。オープンカテゴリーとFootball、ARCの予選会はありません。

画像: 世界挑戦への扉である予選会

予選会は、北海道から沖縄まで、全国41箇所で開催されています。

北海道から沖縄まで、2018年には41地区で予選会が開催

予選会はWRO Japan公認予選会として、WRO Japanが提示する規準に準じた形で、各地の団体が主催します。現在は、北は北海道から南は沖縄まで、全国41箇所で公認予選会が開催。公認予選会の主催は、大学や高校、塾といった教育を提供する団体と、子どもたちに技術教育を提供し、産業活性化を図る技術系団体です。

東京地区で小中学生の予選会を開催するNPO法人組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会(略称:SESSAME)も技術系団体であり、企業や教育機関の枠を超えた技術者コミュニティです。

SESSAMEは、WROがはじまった2004年からWRO Japanに関わってきました。それまでは、現場のエンジニア育成や大学生や高専生などを対象に活動していましたが、2004年から未来を担う子ども向けの技術体験の機会を提供開始。

最初はSESSAMEメンバーの子どもを対象に、初代マインドストームを使って、親子教室をはじめました。当初は東京地区で予選会を開催するほど参加希望者は少ない状態でしたが、2005年、2006年と回を重ねるごとに、東京から参加したいという希望者が増えてきました。2007年からは、東京大学本郷キャンパスや東海大学高輪キャンパスを使って予選会を開催しています。

画像: SESSAME開催のロボ・キャンプ

SESSAME開催のロボ・キャンプ

2011年からはスポンサー企業の協力のもと、予選会を開催。競技の審判など技術系はSESSAMEが担当し、設営は誘導などは企業のボランティアが担当するなど、分担協調しながら予選会を実現しています。

画像: お茶の水で開催した2017年の東京予選会

お茶の水で開催した2017年の東京予選会

昨年2018年8月には、日本工学院専門学校蒲田キャンパスで東京予選会を開催しました。昨年の東京予選会は、参加希望者が多くなることが見えていたので、参加を希望する団体にて予選選考会を開催してもらいました。できるだけ多くの子どもたちに、挑戦の機会を提供したいと考え、学校や塾といった単位で一次予選的に予選選考会を開催。予選選考会もWRO Japanに挑戦したものと同等に扱い、WRO Japanが公式参加を認定したWROへの参加証を発行しています。

この予選選考会の効果か、昨年の東京予選会は、全体的にレベルの高い大会となり、大きく盛り上がりました。

画像: 日本工学院専門学校蒲田キャンパスで開催した2018年の東京予選会

日本工学院専門学校蒲田キャンパスで開催した2018年の東京予選会

予選会をベースに人材育成

WRO Japanの公認予選会を主催する団体の多くは、予選会という競技の機会以外にも人材育成の機会も提供。東京予選会を主催するSESSAMEでは、お茶の水ロボットクラブというイベントを毎月開催しています。

画像1: 予選会をベースに人材育成

お茶の水ロボットクラブでは3種類の内容を毎月用意しています。1つは、WROでも利用するレゴ社のマインドストームの最新バージョンである「EV3」のタッチ&トライ。参加費無料で40分ほどロボットプログラミングを体験できます。単純に数秒進むプログラムから、センサーを使ったぶつからない車をつくるところまでプログラミング体験します。

もう1つはスキルアップ練習会として、ワンコイン(500円)で3時間、設定された課題にチャレンジするもの。ロボット教室やプログラミング教室とは異なり、教えないことを条件としています。スタッフはPCやマインドストームのトラブルシュートはサポートしますが、基本は子どもたちが試行錯誤し、悩み困っているときにだけ声を掛けて、いろいろな可能性についてコメントする程度のサポートしかしません。ここで知り合った子どもたちが、ペアを組んで東京予選会に出場した実績もあります。

※マインドストームとPCは各自持ち込みとしていますが、旧型のマインドストームとPCの無償貸し出しもしています。

最後の1つは、PETSのタッチ&トライを無料で30分ほど体験。PETSは、タブレットやPCを使わずにプログラミング体験ができるロボットで、4,5歳の子どもからプログラミング体験ができます。お茶の水ロボットクラブは、3年生未満の子どもの参加希望が多く、マインドストームのタッチ&トライは3年生以上が対象なので、未就学児や1、2年生には、このPETSを使いはじめました。

お茶の水ロボットクラブは、予選会や決勝大会が開催される8月と9月以外は毎月開催。PETS体験した子どもが、マインドストームEV3のタッチ&トライやスキルアップ練習会に参加して、その後WROにチャレンジしてもらえたらと願っています。

画像2: 予選会をベースに人材育成

自分の住む地域から世界へチャレンジ

今回は東京での取り組みを紹介しましたが、東京以上に人材育成に取り組んでいる地区も多くあります。お住いの地域の予選会主催者情報などを参考に、体験や予選会の参加などを検討してみてはいかがでしょうか。

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