大人も子どもも楽しめるサイエンスミュージアムは、日本国内外に数多くあります。ここではさまざまなサイエンスミュージアムについて、実際にいろいろな博物館や展示会を巡っている筆者が紹介。第3回は、東京都江東区にある、日本科学未来館(Miraikan)を訪ねます。
画像: 企画展「『工事中!』〜立入禁止!?重機の現場〜」も展示中。最先端の科学技術が集まる場所「日本科学未来館」【日本と世界のサイエンスミュージアム】

館長は宇宙飛行士の毛利衛

JR新宿駅から、りんかい線 東京テレポート駅まで30分弱、駅から歩いて15分ほどで「日本科学未来館」(愛称 Miraikan、みらいCAN)に着きます。英語での正式名称は「National Museum of Emerging Science and Innovation」と言い、直訳するなら「国立・新興科学と革新の博物館」とやや固くなりますが、今まさに発展が進んでいる新しい分野を扱う展示が多いことからも納得がいきます。

宇宙飛行士の毛利衛さんが館長をされていることでも知られていますが、日本航空宇宙学会や宇宙エレベーター学会などもこの建物で開かれ、最先端の研究者が集まる場所にもなっています。

画像1: 館長は宇宙飛行士の毛利衛

2〜6Fは常設展示フロアとなっており、主に1Fは企画展、7Fは貸出展示やワークショップなどに利用されています。また気づきにくいですが、常設展示フロアの奥には研究エリアがあり、最先端の研究も行われています。

画像2: 館長は宇宙飛行士の毛利衛

企画展「『工事中!』〜立入禁止!?重機の現場〜」

そんなMiraikanの1Fでは、5月19日まで企画展「工事中」を開催中です。本展では、工事に用いられる重機だけでなく、材料、建築工法、先端分野といった土木技術全般について俯瞰的に知ることができます。また、日本の建設機械の60%強はレンタルによって利用されているそうなのですが、そういった事情までも扱っているのはおもしろいところです。ちなみに展示機材の一部も、レンタル会社から借り受けています。

会場に入るとすぐに並ぶ大型重機に圧倒されます。ここに展示されている重機や建設機械を運転して作業にあたるには「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」や「車両系建設機械運転技能講習」といった普段まったく耳にしないような資格を取得する必要があります。

また、工事現場へ公道(道路)を自走して移動するには、大型特殊自動車免許も取得する必要があります。そういった特殊な車両は、工事現場で活躍しているだけでなく、自然災害からの復興も支えています。

画像1: 企画展「『工事中!』〜立入禁止!?重機の現場〜」

工事現場で稼働している際には近づけことができない大型重機ですが、ここでは目の前でじっくり観察することができます。「工事」と一言にまとめるとイメージしにくくなりますが、建物やトンネルなどといった目的物がもつ機能や、建設される場所、地盤、気象環境など個々の工事現場ごとに少しずつ異なり考慮しなくてはいけないことが多数あり、まったく同じものは2つとありません。

そういったさまざまな条件や環境に合わせて開発されてきた重機は、外観のデザインもさることながら、運転席も安全確実に作業するために徹底的に洗練されていて、さながらロボットのコクピットのようでもあり、機能美すら感じさせます。

画像: 四足クローラ方式双腕型コンセプトマシン運転席

四足クローラ方式双腕型コンセプトマシン運転席

ビルの建設工事を毎日続けて見ていると、建物の地盤に杭を打つなどで整える基礎工事がしばらく続いた後、建物本体の工事に着手すると、みるみる成長するかのように建設が進むのを感じることがあります。これは工場などで予めコンクリート部材(部品)を製作しておき、建設現場に運び込んでつなぎ合わせる「プレキャスト工法」を用いているからだそうです。展示では今まさに建設中の、新国立競技場の建設の記録ビデオで、その工法の様子が見れるようになっています。

画像: 鉄筋コンクリート

鉄筋コンクリート

展示物のひとつに、工事現場の手順やスケジュールを一覧で管理する「工程表」があります。この記載方法は、1903(明治36)年にアメリカでヘンリー・ガントが提唱したものです。各工程をWBS(Work Breakdown Structure/各担当者の作業内容まで詳細化したもの)で分解したものを、予定期間や順序を棒グラフで記す、実際の進捗との差異を視覚的にわかりやすく表現するものです。

筆者は普段ソフトウェア開発に携わっていますが、この表は英語名ガントチャートの呼び名で、ソフトウェア開発でも日常的に用いるものです。ものづくりという行為には分野を問わず通ずるものが多いと強く感じます。

画像: 工程表

工程表

最近は、xR(VR/AR/MR)と呼ばれる分野に注目が集まっていますが、土木技術分野でも利用方法の研究が進んでいます。VR(仮想現実)を用いて重機を遠隔操縦することで危険な場所や人が入りにくい場所の工事を安全に行う方法や、AR(拡張現実)/MR(複合現実)を用いて地下に埋まっている配管、通信線などの場所を確認することで誤った場所を掘削しないようにするなど、事故防止と効率的な工事の為に不断の努力が続けられています。

また炭素繊維(カーボンファイバー)といった軽量素材を重機の部品として用いる研究についても紹介されています。ちょっと未来にも感じられるかもしれませんが、将来月面基地を建設することになれば、建設機材を地球からロケットで打ち上げる必要があります。その際には徹底した軽量化が必要になるので、こういった研究が欠かせません。

画像2: 企画展「『工事中!』〜立入禁止!?重機の現場〜」

企画展は5月19日まで

工事現場で用いられている重機から、材料、工程、最先端の研究までの土木技術について俯瞰できる企画展は他に類もなく、今まさに建設が進んでいる新国立競技場も展示のひとつとして扱われるなど、Miraikanらしい企画展となっています。企画展は、会期末に近づくほど混雑しがちですのでお早めに。

画像: 企画展は5月19日まで

基本情報

  • 名称: 日本科学未来館・企画展「『工事中!』〜立入禁止!?重機の現場〜」
  • 住所: 東京都江東区青海2丁目3-6
  • 公式サイト:
    https://www.miraikan.jst.go.jp
  • 展示ゾーン
  • 開館時間: 午前10:00〜午後5:00
  • 見学目安時間: 1〜1.5時間
  • 入場料: 大人 1,600円〜小人 500円(常設展含む)
  • オーディオガイド: なし
  • 駐車場: 周辺の駐車場を利用
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