「オシマル」というゲームをつくったのは小学5年生の宮城采生さん。彼にはじめてあったのは、2018年のアプリ甲子園のファイナリストとしてでした。なぜ、このようなゲームをつくろうと思ったのでしょうか。インタビューしました。

一人のゲームクリエイターとして

画像: 一人のゲームクリエイターとして

2018年のアプリ甲子園。ファイナル・プレゼンテーションで、小学5年生の宮城采生(みやぎ・さえ)さんが登壇しました。宮城さんは「平和でハッピーになれるものを作ることです」とゲームのコンセプトを語ります。

アプリ甲子園ファイナリストは10人。ほとんどが、中学生・高校生でした。開発したアプリ「オシマル」は動物のキャラクターのパズルゲームで、敵味方に別れて、動物ブロックを押し合いをさせるもの。小学生なのに、App Storeに並んでいてもおかしくないレベルのアプリを制作できていることに驚きました。

そこで、宮城さんにインタビューを決行。「大人顔負け」「小学5年生だからすごい」という面だけでなく、一人のゲーム製作者として、話が聞きたいと思ったのです。宮城さんにはゲーム製作者としての視点が、もう既に備わっていると感じたからです。

ゲームの中で誰も傷つけたくない

画像: ゲームの中で誰も傷つけたくない

ーーアプリ甲子園でファイナリストに「オシマル」が残りましたね。それについて、その後反響はありましたか?

宮城 あのアプリ甲子園のおかげで、みんなに遊んでもらえるようになって、反応をもらえるようになりました。それはやっぱり嬉しいですね。

ーー「オシマル」は動物のキャラクターが押し合うゲームですが、どういうコンセプトでつくったのですか?

宮城 個人的な好みかもしれないですが、僕は人や生き物を殺し合うようなゲームが苦手で、できるだけ明るい平和な世界観のゲームをつくりたいなって思っているんです。だから、「オシマル」の場合、誰も傷つけない傷つかないように、動物たちが戦うのではなくて、押し合うゲームにしたんです。「人が楽しんで遊んでくれること」と「明るい世界観」、この2つをコンセプトとして大事にしています。

ーー 「オシマル」のルールは覚えるのが簡単ですが、やり込んでいくと奥が深いと感じました。ルールはどうやって思いついたのですか?

宮城 今回のゲームは2作目なんですが、1作目のゲームでは単体のキャラクターを動かすだけのゲームでした。そこで2作目の「オシマル」では、集団のキャラクターを動かしたいなって思って。そこから、どういうふうに動かしたらいいかなと考えたり、あとは他のゲームをやったりして、そこからアイデアを取り込んだりして、つくっていきました。

ーーゲーム自体のアイデアはどうやって思いついたんですか?

宮城 スマホにとにかくアプリをいっぱいインストールして、いっぱい遊んで、そこからヒントをもらっています。「オシマル」はクラッシュ・ロワイヤルとかTIME LOCKERのアイデアを取り入れています。あと、読んだ小説からもヒントを得ています。

お父さんとUnityの公式リファレンスを読み解く

画像: お父さんとUnityの公式リファレンスを読み解く

ーーそもそも、なんでゲームをつくろうと思い立ったんですか?

宮城  お兄ちゃんが、LINEのスタンプをつくったり、パソコンを使っていろいろなものをつくっていたんです。そばで見ていて、自分にもなにかできるんじゃないかと思って。それで、ゲームをつくろうと思い立ったんです。

ーーなるほど。お兄さんがいろいろやっていたから、自分もなにかできるんじゃないかと思ったんですね。でも、小学生の子が、いきなりゲームをつくろうとはなかなか思わないですよね。

宮城 ゲームをつくろうと思ったのは、小学校3年生のころですね。最初はScratchやSwift Playgroundsといったアプリでプログラミングをしていたんですが、本格的なゲームを作るためには、それだけでは思ったことが実現できないと思って、Unity(※)でC#(※)を使う勉強をしました。

(※)Unity
ゲーム開発プラットフォーム。プロのゲーム製作者たちも使用している。
(※)C#
オブジェクト指向のプログラミング言語の一つ。

ーーUnityはプロのゲーム開発者が使っているアプリだと思うのですが、難しくはなかったですか?

宮城 最初は分からないところが多かったです。でも、自力でUnityの専門書を読んで行くうちに、使い方が分かってきました。専門書に書いているあることを、まずその通りやってみて、徐々に覚えて行くような感じです。それだけでは、開発するには不十分で、「Unity公式リファレンス」
を読む必要があるんですよね。このWebサイト、プログラム的な難解さとは別に、機械翻訳された専門用語なので、とにかく難解なんです。それに英語だけのページも多いんです。そういうときには、お父さんに手伝ってもらっています(※)。

(※)宮城さんの父親はコンピューターの専門家ということではなく、またエンジニア系ではなく文系なので、基本的には調べるところで協力してもらっているとのこと。

ーーお父さんに手伝ってもらうこともあるんですね。

宮城 一人で無我夢中でやっていると、迷子になるので、お父さんには、調べ方の方針を相談しています。「どう考えて、どこまで調べたのか?」「なにがわからないのか?」「予想と違っているのはどこか?」ということを整理してもらっています。

ーー「オシマル」をつくっていく中で、どういうところが大変でした?

宮城 画面をタッチしたときに、動物キャラクターを配置する部分のプログラミングするのが大変でした。はじめは、以前からやっていた方法で「画面をタッチした位置の座標を取得、World座標に変換、多数のオブジェクトをポインタにつけたコライダーで串刺し、分岐する」というやり方を試していましたがうまくいかなかったんです。動物ブロックが重なるところとか、動物ブロックがすり抜けていくところの 物理挙動がおかしくなってしまって。

そこで、「オシマル」では、今まで使ったことがなかったレイキャスト(※)という手法を使いました。その方法で解決できることがわかるまで、かなり時間が掛かりました。

(※)レイキャスト
レイキャストとはある地点から透明な線を特定の方向に引いて、そのRay上のどこかでコライダがあるか検知をするものです。例えば、ゲームであれば銃から弾を発射して敵に攻撃する場合などに用います。

ーーアプリをつくる魅力はどこにありますか?

宮城 自分でつくっているものが完成していくときと、できたものを他の人に遊んでもらっているときがいちばん楽しいです。

ーープログラミングをすることは好きですか?

宮城 うーん、実は特別に好きではないです。「プログラミングをやるぞ!」という思いがあって始めたのではなく、ゲームを作ろうとして自然に学んだという感じです。ゲームを作りたいというモチベーションは生半可なものではないですが、プログラミング自体には、そこまでの熱意はありません。

ーー小学校の周りの友達はアプリ開発やプログラミングをやっているんですか?

宮城 ぜんぜん、やっていないです。Unity、C#とか言っても、話通じないんですね。小学校の授業だと、調べ物学習に少し使うぐらいで、コンピューターを使うことって、ほとんどないです。つまらないと思っています。

ーーそんな友だちにアプリの開発を教えるとしたら、どんなことからはじめますか?

宮城 最初は僕のつくったアプリで遊んでもらって、それからScratchを触ってもらうかな。僕のつくったゲームをプレーしてもらって、それから、コードの中身を少しずつ見せて行こうと思います。

次のゲームに向けて

ーーゲームクリエイターの他に夢はありますか?

宮城 小学校1年生くらいまでは、学校の先生になりたいと思っていました。でも、今はとにかく、ゲームクリエイターになりたいです。

ーー次のゲームのコンセプトは何ですか?

宮城 まだ決めきれてはいないんですが、マリオカートみたいに「爽快感」「気持ちよさ」みたいなのを感じられるゲームに挑戦したいなと思っています。2019年のアプリ甲子園は中学受験が控えているので出れそうにありませんが、中学になったらまた出たいと考えています。

ーー今日はありがとうございました。

画像: 次のゲームに向けて

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核となるアイディアを固めて、デザインを考え、そのため必要なツールやプログラミング言語を選択する。それを実現して行く姿にゲームクリエイターだと感じました。

将来、宮城さんが日本を代表するゲームクリエイターになる姿の片鱗を感じました。

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