ここでは、家でできる簡単な実験を通して、生活にあるいろいろな不思議を研究してみます。今回はヨーグルトを使った「発酵」についてです。

親子で学んで、きれいになれる!ヨーグルトと甘酒のおやつでお肌もツルツル!?

近ごろ、お化粧品のカウンターや美容院で「肌がきれいですね」と言われるようになりました。季節的には乾燥が気になる時期なのに、そういえばカカトのひび割れもこのところだいぶ気にならなくなったかも。お手入れも変えてないし、なぜだろう?

唯一新しい習慣になったのは、お料理に興味津々の小学生の息子におねだりされて購入したヨーグルトメーカー。肌の状態が改善されたのは、発酵のおもしろさに親子で夢中になり、数日おきに醸して毎日食べているヨーグルトと甘酒のおかげかも!

おもしろくておいしくて肌にいい発酵食品を、おうちで研究してみませんか?

「発酵」ってなんだろう

菌やカビなどの微生物を利用して、食品を加工する「発酵」。私たちが普段から口にする、さまざまな種類の食品に「発酵」という手法が使われていることは、もう皆さんご存知でしょう。有史以前から、たまたまその辺にいた菌が増えることで、食べづらい素材が食べやすくなったり、毒素を出す有害な菌の繁殖を抑えて保存期間を延ばしたりできることに気づいた人々が、その現象が再現しやすい状態を試行錯誤しつつ活用してきた「発酵」は、世界各地で自然発生した食品加工技術でした。

画像: 「発酵」ってなんだろう

すでに「発酵」が微生物の働きによるものだと判明し、意図的に微生物を移動して繁殖させる環境をつくることのできる近代に生まれ育った私たちは普段あまり意識していませんが、「発酵」を引き起こす微生物は、地域によってたいへん細かく種類が別れています。それは、菌やカビなどの単純なイキモノは突然変異と繁殖のスピードが早く、それぞれの環境固有の種にどんどん分かれて行ったためで、たとえば「乳酸菌」と言っても、その中にはたくさんの種類が存在しているのです。

ヨーグルトの種類に「ブルガリアヨーグルト」とか「カスピ海ヨーグルト」など、地名がつけられているのは、それぞれの種菌がその地方固有の種だから。こどもと一緒にヨーグルトをつくるなら、まず世界地図やGoogle earthで種菌の生産地を見てみるのもたのしいですよ。自由研究のネタとしても、そこから始めれば「研究」っぽさがアップすること間違いなし!

ヨーグルトをつくってみよう!

では実際にヨーグルトをつくってみましょう。2000円代から手に入る市販のヨーグルトメーカーを使えば、ヨーグルトづくりは実に簡単です。熱湯消毒し、牛乳を入れた付属の容器、または牛乳パックのままの牛乳にヨーグルトの種菌を入れ、種菌の繁殖に合った温度で一定時間保温するだけ。通常は7時間程度で出来上がります。

画像: ヨーグルトをつくってみよう!

種菌は顆粒状のものも販売されていますがやや高価なので、スーパーマーケットなどで販売されているプレーンヨーグルトを使えばOK。ブルガリアヨーグルトなら40度で7時間ほど保温すると、ラクトバチルス・デルブリュッキー・亜種・ブルガリクスの働きでブルガリアヨーグルトができますし、カスピ海ヨーグルトなら27度で7時間ほどで、ラクトコックス・ラクチス・亜種・クレモリスの働きで、独特の粘りのあるカスピ海ヨーグルトができるというわけです。

ヨーグルトメーカーには、それぞれの機種に合わせた細かいレシピが載っているので、実際につくるときにはそちらを参照してくださいね。温度調節機能がないヨーグルトメーカーの場合、カスピ海ヨーグルトはつくれませんので気をつけましょう。

甘酒をつくってみよう!

さて、「発酵」に利用する微生物がもともとは地域固有の種だというのは先にお話しましたが、日本古来の加工食品である味噌や醤油、味醂などをつくるための種菌、いわゆる「麹」もまた地域固有の微生物、コウジカビの一種です。

食品加工に使われている「麹」には「黒麹」「白麹」「赤麹」などいくつかの種類がありますが、中でも「黄麹」と呼ばれているニホンコウジカビ=アルペルギルス・オリゼーは自然界では日本にしか存在しないため、日本の国菌とも言われています。石川雅之の人気漫画『もやしもん』(講談社刊)で菌側の主役となっている黄色い菌のキャラクター「A・オリゼー」がこの「黄麹」で、日本酒や味噌、醤油、味醂などの「発酵」=「醸し」に使われています。この「黄麹」は一般の家庭でも扱いやすいよう、お米を媒介として繁殖させ、日持ちするように処理して「米麹」としてポピュラーに販売されていますので、おうちで甘酒をつくるときには、この市販の「米麹」を使えば簡単です。

米麹で発酵させる甘酒は、「酒」という名前はついていてもアルコールは発生していませんから、こどもも一緒にたのしめます。おうちでつくるものに1%以上のアルコールが発生したら、それは密造として犯罪になりますが、もちろんその心配もありません。米麹を全量使ってつくる「全麹甘酒」もできますが、これを市販の米麹でつくろうとするとかなり高くついてしまいますので、今回は炊きたてごはんと米麹を使って甘酒をつくってみましょう。

甘酒も、つくるのは簡単。ヨーグルトメーカーに付属の容器か、ヨーグルトメーカーにすっぽり入るサイズの容器を熱湯消毒したら、炊きたてのごはんを適量入れ、お水を注いでかき混ぜて60度以下の温度まで下げ、そこに米麹を投入してかき混ぜたら、ヨーグルトメーカーで60度で6時間ほど保温するだけ。60度にならないヨーグルトメーカーの場合、もう少し時間がかかることもあります。米麹の量は適当に軽くふたつかみくらい。多い分には構いませんが、あまり少ないと発酵が進みにくくなります。また、温度が60度以上あるところに米麹を入れるとコウジカビが死んでしまいますので、きちんとお水で温度を下げてあげてください。

画像: 甘酒をつくってみよう!

甘酒ってどうして甘くなるの?

6時間経ったら、きれいなスプーンでちょっと味見してみましょう。甘さと、麹のよい香りがふんわりと立ったら大成功。お砂糖を使わない甘酒が甘く、滋味を感じるのは、お米を炊くことでα化されたごはんのデンプンがコウジカビの出す酵素アミラーゼによって分解され甘いグルコース=ブドウ糖となるとともに、ごはんのタンパク質が同じく酵素プロテアーゼによって旨味を感じるアミノ酸に変化しているからです。

これらの酵素は、どちらも人間が持っているもので、ごはんをよーく噛むと口の中で甘くなってくるのは、唾液の中のアミラーゼによるもので、ごはんのタンパク質をヒトが栄養として取り込めるのは、胃液の中のプロテアーゼが働いているからです。

つまり、米麹を使った甘酒は、コウジカビがごはんを、ヒトが栄養として取りいれられる状態まで「消化」してくれた状態とも言えます。甘酒が「栄養たっぷり」とか「飲む点滴」と言われるのは、この「即吸収できる状態」であるためです。

毎日飲めばお肌はツルツル!?

この手づくり甘酒、ミキサーなどにかければ、市販の甘酒のように飲み物として飲みやすいドロっとした液体になりますが、せっかくヨーグルトもつくったことですし、ヨーグルトと1対1で合わせて、ヘルシーなおやつとしていただくのもオススメです。麹の独特の香りが苦手な子でも、ヨーグルトと合わせると食べやすいでしょう。また、ごはんを炊くときにもち麦を加え、もち麦ごはんを米麹で醸すと、プチプチとした食感もあり、食物繊維もグンとアップしますので、腸内環境を整える乳酸菌やタンパク質が豊富なヨーグルトと合わせていただくことで、より健康効果が期待できます。

甘酒には、皮膚のコラーゲンが摂りすぎた糖質と結びついて皮膚の状態を悪くする「糖化」を防ぐと言われているコウジ酸も含まれていますので、お肌のために甘いものを控えている方でも甘みをたのしめるのも嬉しいですね。ちなみに著者はこのもち麦甘酒入りヨーグルトにハマり、約1ヶ月毎日いただいていたら、顔だけでなく気になっていた乾燥肌がずいぶん改善されたような気がしますよ!

なじみのある食材が、他のなじみのある食材へと変化する「発酵」の不思議を学習しながら、赤ちゃんから年配の方まで食べられる栄養たっぷりのおやつもつくれる。そのうえお肌の調子やお通じも改善されれば言うことなし!

たのしくておいしいキッチンの自由研究をどうぞ試してみてくださいね。

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