日本では「子どもが暇な時間をもて余さないようになにかしなければ」などと考えられることも多い中、フィンランドでは自由時間は子どもの学びや成長のために重要だと考えられています。

子どもの学びや成長のために重要な「自由時間」

まず、フィンランドの教育や子育てにおいて、「自由時間」は子どもの学びや成長のために重要だと考えられています。特に小学校低学年のうちは、学校の授業は昼の12時前後に終わる日が多く、子どもたちは家庭で自由な時間を楽しんだり、スポーツや音楽・アートのクラブに参加したり(日本の“習いごと”とは少し違い、地域や学校、教会がサポートしてどんな子どもでも参加できるようなクラブがフィンランドには比較的豊富にある)、公的学童保育(学校内にあったり、近隣の教会や公的施設の中にある)でゆっくりと過ごします。

夏休みは6月中旬〜8月中旬までと、日本の夏休みよりも少し長く、基本的には宿題は出ません。子どもはある発達段階に至るまで、抽象的思考よりも具体的思考が中心となっており、具体性が高く、自身とつながりが強いことやものからのほうが「学ぶ」ということがわかっています。そして、自らが興味をもって行動することが、具体的な学びを豊かにするためには必要です。

画像: 大人にも、自由時間は大切。これから夏に向けて太陽を浴びながら家族と、友人と、一人で、自由に過ごす時間が増えます

大人にも、自由時間は大切。これから夏に向けて太陽を浴びながら家族と、友人と、一人で、自由に過ごす時間が増えます

フィンランドでは「子どもの自由時間」が大事と考えられていることに比べて、日本での「自由時間」は、価値の低いものだと認識されているように感じます。「ダラダラしている時間がもったいないから習いごとを入れなければ」「子どもが暇な時間をもて余さないようになにかしなければ」と考える親御さんが、日本では多いかもしれません。

しかし、フィンランドの先生や親たちは、「ダラダラしながら学校での疲れを癒して次の行動の準備をしているかもしれない」「どうしても興味がもてない、楽しめない習いごとを続けることが、子どもにどんな効果があるのか?」「暇になってしまったときに楽しいことを見つけるのも、大切なスキルのひとつ」と、考えているように思えます。

画像: 自由に遊ぶスキルは、保育園時代から。森の中でおもちゃを見つけるのが得意な子どもたち。

自由に遊ぶスキルは、保育園時代から。森の中でおもちゃを見つけるのが得意な子どもたち。

子どもへのポジティブなアプローチ

自主的に楽器の練習をする小学生たち

次に、「子どもへのポジティブなアプローチ」もフィンランドの教育や学校の特徴と言えます。これは子どもに限ったことではなく、フィンランドでは仕事上のつきあいや公共の場所やサービスを受ける場所…どこでも人と人はポジティブなコミュニケーションをとることでいい結果を生む、ということを理解し実践している人が多いと感じました。

画像: 先生たちがコミュニケーションをとる場。話すことで解決する事がたくさんあります!

先生たちがコミュニケーションをとる場。話すことで解決する事がたくさんあります!

「子どもは具体性の高い体験から学ぶ」と前述しましたが、さらにその体験が “ポジティブ” であると、よりその体験が自身にとって心地よいものとして認知されます。以前こちらの記事でフィンランドの小学校の環境がリラックスでき、子どもがいい気分になれるように設計されていることについて触れましたが、物理的環境だけではなく、学びの内容や先生からのフィードバックもすべて連動していることが理想的だと考えられています。

とはいっても多くの場合小さな子どもは大人の望むような行動をしませんし、さらには移民の増加によって子どもや保護者とのコミュニケーションが取りづらくなり、昔と比較して自己中心的な価値観の家庭が増えたことで、フィンランドでも実際には学級崩壊的な現象もあります。その点について何人かの学校の先生たちの考えを伺ったことがあります。そこからわかったことは、

  • 先生たちは子どもとその環境を俯瞰することで事態の改善を図り、子どもの“問題”を、子ども自身の問題・家庭の問題・文化の問題・学校環境の問題・家庭の問題・その他と分けて考え、影響が大きく手をつけられることから改善にとりくむ。
  • すぐに結果が出なくても、子どもの発達段階や児童心理・パーソナリティについて学ぶことで、現実の子どもの成長を受容しやすくなる。
  • 子どものちょっとしたポジティブな変化を見逃さずに喜び、教育・保育の専門知識を持ちながら、一人一人の子どもを意識して見ることで、小さな変化にも気づくようになる。
  • 同僚と共有することで、フィンランドの先生たちは同僚とのコミュニケーションを大切にし、違いから学び合う
  • 先生たち自身がポジティブな姿勢を保っている

ということでした。子どもとはこうあるべき、教育はこうすべき、という思い込みではなく、専門知識や最新の研究結果、他国の事例をフラットに受け入れるフィンランドの先生たちの、前向きな姿勢が印象的でした。

画像: 子どもたちと目線を合わせて

子どもたちと目線を合わせて

画像: 子どもの気持ちを知ることも、先生の大切な情報収集です。

子どもの気持ちを知ることも、先生の大切な情報収集です。

フィンランドの「子ども中心」主義

前回に引き続き、フィンランドで実施されている新しい教育カリキュラム「FNBE(Finnish National core curriculum for Basic Education )」について読み解いてみました。FNBEは、フィンランドのBasic Education(義務教育:プリスクール・小学校・中学校の10年間)について書かれており、学校の先生やマネジメント層だけでなく、保護者や教育関連の学生なども手に取ることができるよう、政府のウェブページからダウンロードできるようになっています。英語版はアマゾンで購入でき、Kindle版もあります。

FNBEを読むと、カリキュラム記述に“free time”という言葉が多用されており、自由時間で見聞きしたことや体験したことを授業の中でアウトプットすることや授業で学んだことに類似あるいは関連したことを自由時間の中で発見することが、子どもによってよい学びとされています。また、“positive emotional experiences”,“positiveidentity” など“positive” という言葉が多用されていることもわかります

どのような組織にも大切にしている理念や価値観があります。フィンランドの教育では「子どもを中心に考える」ということが、日本の教育と比較した場合に際立っているように思います。

フィンランドの4月は春を感じる季節。日が長くなり、夜でも空が明るい

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