活字離れが叫ばれている昨今、たまには誰かのぬくもりを感じる「本」を探しにおでかけしてみませんか? 今回オススメする古本屋さんは東京・雑司ヶ谷にある「古書往来座」。店主と名物店員が子どもにオススメする本も紹介します。

古本屋と街の「往来」

いつものように本棚の背表紙を見ながら、まだ見ぬ「本」との出会いを探して古本屋さんをうろついていたときのこと。気配を感じて目をやると、通路の端から別のお客さんがやってくるではありませんか。そう、古本屋さんの通路は決して広くはありません。

人ひとりが通れるか通れないか、とすると譲り合いのタイミングをつかまないといけないのですが「よっこいしょ」と野暮なことはなく、不思議なことに相手との立ち位置がするっと入れ替わっています。

「同じ古本屋さん」にいるだけで呼吸が合ってしまうのか。

無意識に第六感センサーが働いているのか。よくよく考えてみると街中や、電車、雨の日でもよく起きている現象でした。まちの古本屋さんは、街の「往来」と同じ空気感をまとっているのでしょう。

子どもたちにオススメの本『星座—夜空の四季』と『くさばな』

今回は、店主瀬戸さんと名物古書店員であるのむみちさんに、子どもたちにオススメの本を聞ききました。すると二人とも「図鑑」をチョイス。

店主瀬戸さんのオススメは、箱入り『星座 夜空の四季』。写真やイラストも豊富で四季折々の星座を見る方法や、星座にまつわる神話、実はよく知らない星座の名前まで網羅されている、さすがの一冊。夏の自由研究にもぴったり。

カメラが苦手な店主・瀬戸さんの代打に立つのは、漫画でおなじみ景浦選手こと「あぶさん」。普段はレジ横でお目付け役の社長業をしているそう

店員であるのむみちさんのオススメの一冊は『くさばな』。イラストと写真がセットで掲載されています。小さい子でも楽しめる一冊。内容も大型図鑑と比べるとシンプルですが、わかりやすく持ち運びにもちょうどいいサイズ。散歩に一押しです。

画像: 「旧作邦画」ファン御用達の『名画座手帳』仕掛け人である、のむみちさん

「旧作邦画」ファン御用達の『名画座手帳』仕掛け人である、のむみちさん

子どものころにプレゼントされたままになりがちな図鑑。けれども「大人になるほど読みたくなる」とのこと。古書を探して、街へ出て、古書を片手に、街へ出る。紹介本を片手に出かければ、大人の目線でも、子ども目線でも、街歩きがもっと楽しくなること間違いなしです。

その名も「往来座」

そんなまちの古本屋さんは、池袋東口から明治通りを雑司ヶ谷に方面へ。すると道行く老若男女みなが「古書往来座」に吸い込まれているではありませんか。文庫がズラリと並ぶ均一棚。かがんでタイトルをじっくり見る人もいれば、写真集を見ながらお友だちと昔ばなしに花を咲かせる人もいます。お母さんに手を引かれた小学生の女の子は、店主が力作した看板細工に夢中……。

和気あいあいとした雰囲気を横目に、扉を開けようとするとなんとボールがガラス戸に突き刺さっている!

文芸、評論、図録、映画、洋書、古道具……エトセトラ

本の見せ方はお店によって千差万別。そんななかでも「遊び心」が満載、というのが往来座の特徴でしょう。

古本屋さんにいくと、レジに座る店主や積み重なった本から「圧」を感じてしまう、という声を聴いたことがあります。しかしここでは、多様なジャンルは細かくわけてあり、空間の中でとても見やすい本棚づくりがされています。

画像1: 文芸、評論、図録、映画、洋書、古道具……エトセトラ

その一方で、一冊でも多くの本を並べるため、木枠の本入れを手作りで取り付ける工夫にも余念がありません。全集や洋書、図録など背の高い位置にある本は、はしごを使うか、店内スタッフへ声掛けすれば手に取ることができます。

画像2: 文芸、評論、図録、映画、洋書、古道具……エトセトラ

そして、必ずチェックしてしまうのが、なぜかある古道具。古書に混じって陳列されて「かわいい」と手に取りたくなるイッピンから「どうやって使うかわからない」というイッピンまで。この日はトレーやブリキ缶に試験管、診察室のガラス台などなど、もちろんどれも一点ものです。

画像3: 文芸、評論、図録、映画、洋書、古道具……エトセトラ

手に取りたくなる、話したくなる

本棚に特別なコーナーを見つけると、「○○好きの○○さんと話したい」という気持ちにかられるときがあります。本をきっかけに、懐かしい知人のことを思い出してみたり、幼かったときの自分について子どもと話したりすると、そこからまたテーマが広がっていきそうではありませんか。

更新され続ける本棚

普段から通いなれているはずなのに、入口付近にある「児童書コーナー」に、はて前からあったかな?と思わず質問すると「前から前から」と笑って答えててくれました。2019年中に小さい子の読み物コーナーをもっと増やすそう。

さらに予定しているのが、過去に人気だった「雑司ヶ谷霊園に眠る人々の本」コーナーの復活。そういえば、「雑司ヶ谷霊園」に夏目漱石や小泉八雲のお墓があるのも、往来座で知ったのでした。

まるで何も変わらないように見えがちですが、古本屋さんは人が出入りするたびにアップデートされ続けているんですね。

画像: 夏目漱石の本ら。初版デザインも。

夏目漱石の本ら。初版デザインも。

古書ならではの楽しみ、おまけの一冊

最後に、古書ならではの貴重な一冊も教えてもらいました。

『知らないとそん・500』は、「ものしりは一生のとく」をサブタイトルに500もの豆知識が掲載されています。83年に発売され子どもの向けに大ヒットした本とのことですが、現在は古本のみの流通で在庫は希少。当時のファンシーなイラストが、とってもカワイイのですが、店頭入荷の1冊も先日売れてしまったそう。

子ども向けの本に価値がでるなんで当時は思いもしなかったはず。あなたの街で、見かけたときはぜひ手に取ってみてはいかがでしょう。今お子さんの手元にある本も、大切に読めばいずれ価値がでる、なんてことも想像してしまいます。

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基本情報

※営業時間の臨時変更、臨時休業あります。詳細はブログをご確認ください

店長オススメの一冊
『小学館の学習百科図鑑 星座—夜空の四季』

  • 共著 富田 弘一郎 斎藤 馨児 原 恵
  • 出版社 小学館
  • 刊行年 1980年

名物古書店員 のむみちさん オススメの一冊
『あそびのおうさまずかん くさばな』

  • 編集: 幼児ソフト企画開発部
  • 出版社:学研
  • 刊行年:2002年

オマケ オススメの一冊
『知らないとそん・500』

* 著者: 間 羊太郎
* 出版社:講談社
* 刊行年:1983年

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