STEM教育ではとても重要なサイエンスミュージアム。アメリカ・サンフランシスコにある「エクスプロラトリアム」は、体験型の科学館の祖とも言えるミュージアムです。では具体的にはどんな展示があるのでしょうか。

海運の要のサンフランシスコにある巨大なミュージアム「エクスプロラトリアム( Exploratrium )」

サンフランシスコといえば、1937年(昭和12年)に完成し、吊橋としては世界第10位の長さを誇るゴールデンゲートブリッジが有名です。この橋が水面から67mもの高さを必要としたのは、サンフランシスコ湾が海運の要衝で、巨大な貨物船や客船が橋の下を通る必要があったからです。それは今も変わりませんが、積載方法が「ばら積み」からガントリークレーンを使う「貨物コンテナ」が主流になったことでサンフランシスコ市北側の海運倉庫は使われなくなりました。現在は市場やIT企業なども入るオフィスなどに転用されています(Pokemon GOを開発している、Niantic, Inc.もこの辺りにあります)。

画像: Then and Now | Exploratorium | 50th Anniversary www.youtube.com

Then and Now | Exploratorium | 50th Anniversary

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その海運倉庫だった巨大な建物の一つに、1969年(昭和44年)の開館から、ちょうど50周年を迎えた「エクスプロラトリアム( Exploratrium )」が入っています(現在の場所には2013年(平成25年)に移転)。

素粒子物理学者であり牧場主でもあったフランク・オッペンハイマーの「実験の図書館」というアイデアを元にした体験型博物館で、STEAM教育(STEM教育にArtを加えた教育法)が提唱されはじめた2009年(平成21年)ごろよりも遥か70年も前に、「世界を探索するために、芸術と科学は相互補完的な方法である (art and science as complementary ways of exploring the world)」というコンセプトにもとづいて設立されました (蛇足ですが、フランク・オッペンハイマーは、原爆の父として知られる、ロバート・オッペンハイマーの弟でもあります)。

画像: 海運の要のサンフランシスコにある巨大なミュージアム「エクスプロラトリアム( Exploratrium )」

STEMで重要な「体験する」に重きを置いた展示ばかりが並ぶ

エクスプロラトリアムの敷地面積は約20,000平方メートルで、そのうち展示面積が約7,000平方メートルあります。小学校の教室が約63平方メートルなので、およそ110室分の広さの中に650以上の展示がひしめきあっています。展示テーマは入り口から順に6つに分かれてはいますが、ほぼすべてが体験型展示で、混雑することもあるので、順番を気にせずに空いてるものからチャレンジしていくのがオススメです。

  1. 人間の現象 …… 思考感情、社会的行動の実験
  2. つくってみる …… ワークショップ
  3. 視覚&聴覚 …… 光、視覚、音、聴覚の実験
  4. リビングシステム …… DNAと細胞から生物と生態系に至る生命を探求
  5. アウトドア展示 …… 風、潮、自然現象の探求
  6. 景色を楽しむ …… サンフランシスコ湾エリアの歴史、地形、生態学

1つの項目で2個以上の体験ができる

画像: プリズムを使った光の分光スペクトル実験

プリズムを使った光の分光スペクトル実験

体験型展示は国内の博物館でも珍しくはありませんが、ここでの展示方法が特徴的なのは1個の事象(tえば光のスペクトルといったもの)を説明するために、必ず複数の展示があることです。1個ではそんなものかとしか思えない事象でも、ボタンを押す、ハンドルを回すといった簡単な操作で2個、3個と体験することで、体感的に理解できるようになっています。そのおかげで、英語の説明をまったく読まなくても、楽しみながら科学的概念を学べます。

三原色(赤・緑・青)のライトを使った色合成

科学とアートを組み合わせる

エクスプロラトリアムでは、「アーティスト・イン・レジデンス」が実施されています。アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストをある地域などに招いて制作活動をしてもらう仕組みです。制作スペースがある美術館などで行われることはありますが、科学博物館では非常に珍しいものです。これは先述の通り「世界を探索するために、芸術と科学は相互補完的な方法である」として、アーティストにも関わってもらうことで、科学を主とする立場の発想だけに囚われない展示物を制作するために実施しているものです。

また、展示物についての書籍も出版しており、それを元に誰でも制作できます()。国内でも青森県むつ市にある「むつ科学技術館」で同じような展示を見たことがあるので、広く利用されているようです。

画像: 屋外にある日時計。自分の影が時間を指す

屋外にある日時計。自分の影が時間を指す

毎年見ても見飽きない

ところで、この博物館をはじめて訪問したのは4年前でした。1週間の出張で1日空いた日に、どこに行こうかとユニオンスクエア近くの路上で地図を眺めていたら、道に迷ってるのかと地元の方が声をかけてくれました。「博物館が好きなので、どこに行こうかと見繕ってる」と話したら、徒歩圏内の美術館などを一通り説明してくれた後に「エクスプロラトリアムは子ども向けの博物館だけど、大人も楽しめるから絶対行ったほうがいい」と何度も念押しされました。それ以来、1年おきに訪問していて今回が3回目。3回目でも5時間半ほどたっぷり楽しめたので、皆さんもぜひ機会をつくって訪問してみてください。

基本情報

  • 名称:エクスプロラトリアム (Exploratorium)
  • 住所:アメリカ カリフォルニア州サンフランシスコ市ピア15 (Pier 15, Embarcadero at Green Street, San Francisco, CA 91111, USA)
  • 公式サイト:http://www.exploratorium.edu
  • 展示ゾーン
    • 開館時間: 午前10:30〜午後5:00(木曜のみ午後10:00まで)
    • 見学目安時間: 3.5〜4.5時間
    • 入場料: 大人 $29.95(約3,300円)〜小人$19.95(約2,200円)
    • オーディオガイド: なし

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