コペンハーゲン市内から約1時間の場所にある、世界で一番美しいといわれるルイジアナ美術館では、一般市民がアートを楽しめる場所として、さまざまなミュージアムや企業との企画展を開催してます。コレクションも豊富。しかも広い立地を生かして、同時に複数の企画展が催されています。ここではそれらの展示とコラボした、子ども向けのワークショップ(STEAM教育)についても紹介します。

誰もがアートを楽しめる空間として誕生

画像: ルイジアナ美術館の庭園からエーレスンド海峡を望む

ルイジアナ美術館の庭園からエーレスンド海峡を望む

コペンハーゲン中央駅から電車で45分、そこからさらに徒歩で15分。エーレスンド海峡を望む丘の上にあるルイジアナ美術館は、かつては個人の邸宅。1958年にクヌード・ヤンセンにより現代美術館としてオープンしました。

広大な敷地内には庭園を囲むように複数の建物が連なります。東西南北の4つの館のほか、ギャラリーやコンサートホール、子ども館、カフェ、そして大きなブティックがあります。庭園には彫刻が点在しており、自由に散策できます。私が訪れた時期は秋だったので、紅葉する木々の下でピクニックをしたり、芝生の上でのんびり読書する人もいました。

多様なジャンルの作品でテーマを深掘りする

訪れたのは2018年10月。1969年に人類が月面着陸してから50周年という節目を迎えるにあたり、南館の企画展では「The Moon - From Inner Worlds to Outer Space(月-内なる世界から外部空間へ)」が開催されていました(2019年1月に終了)。

画像: 企画展のエントランス。メイン会場となる南館につながる廊下から展示ははじまっている

企画展のエントランス。メイン会場となる南館につながる廊下から展示ははじまっている

世界中からアートだけでなく、映画や音楽、文学、自然科学などの約200作品が集められ、「月光」「セレノグラフィー」「神話」「月面着陸」「宇宙の植民地化」「アントロポセン(人新世)」といった6つのテーマで分類。来場者は多様な作品を通じて月に魅了され、探究し、人類との関係性についてひもときます。

たとえばセレノグラフィーのエリアでは、1700年代にガリレオ・ガリレイが描いた水彩画とNASAによる最新の月面イメージが一緒に展示されています。300年以上のときを経て人類がどこまで月に近づいたのか、鮮明に感じることができました。

また月面着陸のエリアでは、アポロ11号に搭乗したニール・アームストロングとバズ・オルドリンによる写真と、その打ち上げに出席したアーティスト、ロバート・ラウシェンバーグが制作したコラージュ作品を展示。対称的な視点から歴史的事実と向き合う機会となりました。

過去に触れるだけではありません。MIT教授のネリ・オックスマンが提案するバイオ素材でできた宇宙服からは、地球だけでなく宇宙空間も含めてひとつの環境と捉え、エコロジーを考えていく必要があるのだと感じました。

企画展に関連する子ども向けワークショップが盛りだくさん

南館以外にも、訪問時にはコレクションの中から男性性に関する作品ばかりを集めた「Men and Masculinity(男性と男性性)」、建築家シリーズとしてチリのELEMENTALスタジオを紹介する「Elemental(エレメンタル)」が行われていました。

展示を見ながら建物内をぐるりと回っていくと、カフェを抜けた先に子どものためのワークショップスペースがありました。その名も「Børnehus(ボーネフス)」。デンマーク語でボーネは子どもを指します。子ども向けのおもちゃを販売するデンマーク生まれのボーネルンドのボーネと同じですね。

画像: ボーネフスのエントランス

ボーネフスのエントランス

ボーネフスを利用できるのは4歳から16歳までの子どもたち。ワークショップは企画展や常設展に関するものが用意されており、参加は基本的には無料です。

「The Moon」のワークショップでは、理想のロケットを工作したり、オリジナルな惑星をデザインするなど、主に小学生たちがものづくりを楽しんでいました。必要な道具は貸してくれるので、絵の具で服を汚したくないときにもエプロンを着用できます。

他にも「Elemental」にちなんだ、家のデザインに関するワークショップもありました。エレメンタル社はチリの首都サンチアゴが拠点の建築スタジオ。金銭的にゆとりがない中で都市計画は進められるのか、持続可能な住宅街を住民と一緒に作れるのだろうか、といった課題を提示しています。

難しいテーマですが、子ども向けのワークショップはあります。立ち並ぶ狭小住宅をイメージしたペーパークラフトを用意。自分の家をデザインし、住みたくなる街自体もデザインします。

完成した作品はドーナツの箱のように見えるかわいらしい段ボール箱で持ち帰れます。駅から美術館に歩くとき、大人がこの箱をいくつも抱えていてなんだろうと思っていたのですが、その謎が解けました。

画像: 持ち帰り用の箱がドーナツショップみたい

持ち帰り用の箱がドーナツショップみたい

ちなみに箱に書かれているパンドゥロ社は、スウェーデンのクラフト素材の販売会社。ボーネフスのスポンサーです。

アートの楽しみ方やスキルそのものを磨く機会を提供

企画展を見ながら想像力を働かせて、その直後にワークショップに参加して頭の中に広がるイメージを形にする。ルイジアナ美術館ではこのように、インプットとアウトプットの連続性を大切にしています。

それは子どものためだけではありません。大人向けのワークショップもあります。一定期間通ってスキルを身につけられる講習や、数時間で完結するアートディスカッションのクラスもあります。これらはいずれも有料となっています。

誰もがアートを楽しめる空間を用意するだけでなく、アートの楽しみ方やスキルそのものを磨く機会も提供する。これこそがルイジアナ美術館の大きな魅力のひとつといえます。

基本情報

  • 名称:Louisiana Museum of Modern Art(ルイジアナ美術館)
  • 開館時間:火-金 11:00-22:00、土日祝 11:00-18:00、月は休館
    (※閉館日が設定されていますので、公式サイトにてご確認ください)
    (※カフェおよび子どもウィングは閉館30分前にクローズします)

基本料金

  • 18歳以上1人あたり125デンマーク・クローネ
  • 学生(学生証の提示)110デンマーク・クローネ
  • ルイジアナ会員は無料、会員のゲストは最大4人まで105デンマーク・クローネ
    (※15人以上には団体割引があります)
    (※事前にチケットサイトで購入できます:https://ticket.louisiana.dk/

住所

  • Gl Strandvej 13, 3050 Humlebæk, Denmark
    (上記情報は2019/7/20現在のものです。詳細は施設の公式ページをご覧ください)

公式サイト(英語):https://www.louisiana.dk/en

この記事が気に入ったら「いいね!」をクリック!プログラミング教育・STEM教育などの情報をお届けします!

記事全文ページのみ

This article is a sponsored article by
''.