“フィンランドスタイル”のアフタースクール「KIDS PORT Fin」に、インターンとして入ってきたEmma。話は彼女が高校時代に日本で留学したときに遡ります。そこで彼女はある衝撃を受けることに……。

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子どもに質問をする

フィンランドで育ち、高校時代に日本での留学経験があるEmmaにとって、日本の高校の授業で最初に味わった衝撃は「どうして先生が一方的に話すの!?」だったそうです。

前々回の「子ども一人一人を受け入れる」のパートで触れましたが、フィンランドの教育は社会構成主義を基本としており、先生と生徒という立場の違いはあっても、互いに一人の人間。先生にも伝えるべき知識や情報はあるけれど、生徒にもその知識や情報を受け取るための過去の知識や情報があるという考えをもとに、多くの先生たちが教育を実践しています。

私もフィンランド滞在時代に多くの小学校の授業を見学し参加する中で得たことのひとつとして、“子どもは聞かれたら答えるし、聞かれることで大切にされていると感じ、自信をもって学べるんだ!”ということでした。

“●●って知っている?”
“知ってる、△△で見たことがある!”
“●●はどうだった?”
“〜〜だった!”
“なんで●●は〜〜だと思う?”

こういった形で、先生は授業のテーマとなる対象について生徒がどこまでどんな形で知っているのかを探りながら、授業の進め方や知識の伝え方を柔軟にアレンジしていきます。もちろん、質問をすることで授業が想定しない方向に進んでしまい目的が達成できくなるリスクはあります。そこで、Emmaが大学で学んだ質問のバリエーションを、レベル別に紹介します。

  • レベル1-記憶を確かめる質問例 “太陽は、地球にどんな影響を与えるもの?”
    →日本の小学校のテストで問われる質問と酷似しています。
  • レベル2-応用力を問う質問例 “どうして北海道より沖縄のほうが、気温が高いの?”
    →レベル1をクリアした上で、自ら思考して説明をするスキルが問われます。
  • レベル3-評価力を問う質問例 “地球にとって太陽は、なぜ大切なの?”
    →レベル2よりさらに、答えのバリエーションが広がります。さまざまな角度からの解答が出てくるので、授業の中では複数の生徒の解答を聞くことで周囲の子どもも学べます。
  • レベル4-創造力を問う質問例 “太陽がなかったら、私たちはどうなるかな?”
    →太陽や地球、そして宇宙環境のことを理解し、さらに創造的思考力を使わなければ答えられない質問です。

※レベル1-4は明確な境界線があるわけではありません。

子どもにフィードバックする

先ほどの「質問をする」と深く関連をする習慣です。質問をし、返ってきた答えにフィードバックをするのがフィンランドの多くの先生が大切にしていることなのです。

現在のフィンランドの小学校では年1回の通信簿も双方向で行われており(下図参照)、日本の小学校と比較し項目が少なく、さらに教科学習とその他生活や行動面についての項目が等しいことが特徴です。この通信簿を作成する過程でも双方向のコミュニケーションが行われています(“先生はこう思っているけど、自分ではどう評価しますか?”“私はこう思います”)。

画像: フィンランドの通知表

フィンランドの通知表

フィンランドの教育現場における“フィードバック”と、日本の小学校の通信簿や多くの企業の査定における“評価”は、大きく異なると個人的に感じています。後者が「決められたモデル(理想の生徒像や社員像)との相違点を指摘し、“正すため”のもの」に対し、前者は「その人自身が学校や組織で、より生き生きとするために“どうしたらもっと効果が高まるのか”を示唆するもの」と考えます。

たとえば学校の先生が生徒の作文に対するフィードバックをする際、フィンランドの先生は下記の流れで生徒とコミュニケーションをとります。

  1. 作文の中に見出すことのできる“感情”や“思考”など、その生徒の創造性についてポジティブなフィードバックをする。その生徒らしさを認めるところからスタート。
          ↓
  2. 次に、子どものメタレベルの思考を確認するために作文の内容を確認。子どもは質問されることで、今まで気がつかなかった自分の思考に気づき、内容に対する思考が深まる。先生もこの段階で誤解や認識不足が補える。
          ↓
  3. そして、文法や語彙の間違いを指摘し作文としてより完成度の高いものにするために、生徒の言語スキルのためのフィードバックをする(この際、多くのフィンランドの先生たちが意識していることは、文法・語彙の間違いがあまりに多い場合は、頻発する間違いのみを指摘することだそう。指摘が多すぎるとモチベーションが下がるのは大人も子どもも、どんな文化でも同じ)。
          ↓
  4. 最後に、「次回までの課題」を出す。3で指摘された文法や語彙の修正だけでは意義を感じる子どもは少ない。1で認められた思考や創造性を大切にし、2で深まった内容への洞察を反映させることで、修正課題へ取り組む際に前向きになれる。

 

今回は作文へのフィードバックを例にとりましたが、フィンランドでは大学入試も、日本のセンター試験のように選択式の問題がほとんどなく論述式がメインなので、小学生のころから自分の思考を文章にして主張するスキルを育むことを大切にしています。

次回も、フィンランドの先生たちが大切にしている習慣について共有します。

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