日本人が海外旅行に行くときや、海外から来た外国人のインバウンドなどで需要が高まっている自動翻訳機。今回はAmazonでAmazonチョイスになっている商品やテレビCMなどで有名な機器を中心に6機種を比較テストしてみました。そこから見えてきたのは「翻訳機を信じると大恥をかく」ということです。
画像: テストした機器

テストした機器

翻訳機で日本語を英語に訳すと海外で大恥をかく??

便利そうな翻訳機ですが、キチンと使いこなさないと、実は大恥をかく可能性があります。どのくらい翻訳機が思ったことを伝えてくれるのか。実際に話題の翻訳機6機種を使って比較テストを行ってみました。

テスト内容間違って翻訳されそうな日本語を英語に翻訳して、どれだけ意図が伝わるかをテスト。
採点基準
  • 意図が恥ずかしい感じで間違って伝わる・・・1点
  • やや恥ずかしく伝わる・・・2点
  • 正しい文法ではないが伝わる・・・3点
  • 模範ではないが正しい解答と言える・・・4点
  • 模範解答・・・5点
上記基準で採点し、合計点で比較。
テストした翻訳機
  • EasyTalk(イージートーク)・・・Amazonベストセラー機種
  • POCKETALK(ポケトーク)・・・翻訳機の代名詞的な存在
  • ili(イリー) ・・・ネット環境がなくても使えることで知名度の高い翻訳機
  • Langie(ランジー)・・・翻訳機として認知度の高い機種のひとつ
  • ez:commu(イージーコミュ)・・・グッドデザイン賞受賞の翻訳機
  • MINITALK(ミニトーク)・・・・Amazonチョイスの人気機種
画像: 翻訳機で日本語を英語に訳すと海外で大恥をかく??

翻訳機で日本語を英訳したテスト結果ランキングは?

5段階基準で14問、最高得点70点で算出しました。結果は以下の表の通りです(比較テストの表は巻末に記しています)。

【第1位】ez:commu(フューチャーモデル)・・・30点

グッドデザイン賞を受賞している翻訳機。1対1の翻訳だけでなく、複数人でのグループ翻訳などにも対応しています。Wi-Fiだけでなく、SIMでの通信にも対応しているため、外出先などWi-Fiがない場所でも使えます。SIMをセットで販売しているものもありますが、SIMの取り付けや通信設定は、自分で行う必要があります。メーカーページによると「AI自動翻訳機」というカテゴリーなのですが、どのようにAIなのかの詳細は見つけることができませんでした。対応言語48言語。(Amazon参考価格20980円)。

ez commu

商品が届いたとき、ホーム画面が中国語に設定されていたので驚きましたが、今回のテストではバランスよく翻訳しました。

【第2位】ポケトーク(ソースネクスト)・・・29点

テレビCMなどでも知られる認知度の高い翻訳機。初代タイプと、現在販売中のポケトークWがありますが、今回は最新のポケトークWでテストしました。SIM内蔵で通信設定済みなので、すぐにWi-Fiのないところでも使えるのが便利です。一時期は電波法違反の機器として報じられましたが、今はアップデートされ問題なく使えるようになっています。対応言語74言語(Amazon参考価格32270円)。

ポケトーク

1位との差はわずか1点。誤差程度と言えるでしょう。

【第3位】Langie(COMET)・・・28点

翻訳機として認知度の高い機器。丸い液晶画面などデザイン的なのが特徴です。対応言語53言語(Amazon参考価格20880円)。

ランジー

デザイン性を重視した丸い液晶がクセモノでした。文字が隠れて読めなかったり、液晶の周りの装飾が邪魔で文字が入力しづらかったり、今回テストした機器の中で一番操作しづらかった機種でした。

画面の上のほうにWIFIのアクセスポイント(SSID)が表示されるはずが、液晶が円形のため文字が隠れて一部しか読み取ることができませんでした。

【第4位】 EasyTalk(エクス・インプライズ)・・・26点

Amazonでベストセラーとなっていた機種。画面が大きめで使いやすく、今回のテストで液晶での設定はもっとも操作しやすかったのが印象的。SIMカードにも対応していますが、SIM通信設定は自分で行う必要があります。対応言語38言語。Amazon参考価格19800円)。

EasyTalk

「お腹がとてもいっぱい」を逆の意味の「Very hungry」と訳したり、90分を9〜10分(9 to 10 minutes)などと取り違えたり、根本的な誤訳が他機種に比べて若干目立ちました。

【第4位】ili(イリー)・・・26点

Wi-Fiがない場所でも使えるオフライン翻訳機ということで話題になった機種です。SIM通信やWi-Fi通信の機能は備えていません。液晶画面もなく、音声だけで利用します。対応言語3言語。(Amazon参考価格11800円)。

画像: ili(イリー)

ili(イリー)

iliは液晶がない分コンパクトなのですが、やはり文字がないと、使っていてかなり不便さを感じました。自分が話した日本語が、正しく入力されているかを確認するためには、音声でしか確認できません。日本語で話したあと、本体のボタンを押すことで音声入力された言葉を機械が喋ってくれるのですが、かなりまどろっこしいです。また、訳されている英語が正しいのかを確認するのにも、ヒアリングするしかないなど、なかなか難易度が高いと感じました。

【第5位】SOKUTSU MINITALK T9・・・23点 

Amazonチョイスで選ばれてた機種。カメラを使って撮影したテキストを訳す機能なども付属していますが、SIM通信には対応していません。対応言語106言語。(Amazon参考価格23699円)。

SOKUTSU MINITALK T9

全機種をテストしてみて感じたこと

上記のように順位をつけてみましたが、70点満点のテストで、最高得点の1位でも30点と満点の半分にも届きませんでした。つまり、どの翻訳機も「訳しづらい翻訳に関しては、どんぐりの背比べで、翻訳機は「万能ではない」ということです。

しかし、英語が喋れない人たちにとって、翻訳機を持ち歩かないわけにはいきません。では、翻訳機で大恥をかかないためには、どのようなことに気をつけていればいいのでしょうか。

翻訳機で大恥をかく理由【その1】正しい英語に訳してくれるとは限らない

翻訳機がいくら優秀になっても誤訳されることは、たくさんあります。なんだか、うまく伝わっていない?と思ったら、辞書ソフトを使ったり、英語に訳されたものを日本語に訳しなおしてみたり、日本語を違う言葉で言い換えて見たりしましょう。

たとえば今回テストした翻訳機では、「お腹がとてもいっぱいです」は「I’m full.」が正解なのですが、なぜか「お腹が減った」の意味の「I am very hungry」や「Very hungry」と訳した機種が2機種ありました。

画像: お腹がとてもいっぱいです

お腹がとてもいっぱいです

では、なぜこのような、誤訳がされてしまうのでしょう? 

翻訳機で大恥をかく理由【その2】日本語の誤認識を確認しないと恥をかく!

たとえば英語では「thirsty」という単語があり、この単語ひとつで「喉が渇いた」という意味になります。翻訳機は「喉が渇いた」という日本語が登録されているのですが、「とても、喉が渇いた」ならば「very thirsty」と訳しやすいのですが、「喉がとても渇いた」と話すと、翻訳機の多くが「渇いた」を「乾いた」と認識してしまいます。そのため「乾いた」=「dry」となってしまうのか、今回のテストでは6機種中5機種が「My throat is very dry」と、まるで、喉の皮膚が乾燥症にでもなったかのように訳されてしまっています。

翻訳機が日本語を正しく認識しているか確認しておかないと恥をかく可能性大です。

画像: 翻訳機は、「喉がとても渇いた」と話したら「のどがとても”乾いた”」と認識してしまった

翻訳機は、「喉がとても渇いた」と話したら「のどがとても”乾いた”」と認識してしまった

翻訳機で大恥をかく理由【その3】標準語を使わないと変なふうに訳される

翻訳機は基本的に日本語の標準語を訳すように設計されています。「自分は、そんなに訛っていない」という方も多いと思いますが、問題なのは訛りやイントネーションではなく、標準語にない単語などを使ってしまうことです。

たとえば関東でよく使われる「横入り」(人が割り込むこと)は、今回調査した翻訳機では、すべての機種で正しく訳されませんでした。他にも「えずく」なども、関西以南では耳慣れた言葉ですがやはり今回の翻訳機ではいずれも正しく訳せませんでした。また関西以南では「塩辛い」ものも「辛い」ものも「からい」と表現しますが、これも、そのまま「からい」と翻訳機で訳すと、当たり前ですが「hot」や「spicy」と訳されてしまいます。

翻訳機が上手く訳していないな?と思ったら「えずく」なら「吐きそう」と、「横入り」なら「割り込む」などと、言い直して見ましょう。

画像: 「横入り」は関東の方言

「横入り」は関東の方言

翻訳機で大恥をかく理由【その4】イギリス英語に要注意

翻訳機の中には米語と英語がキチンと切り分けて訳せる機器も多いのですが、イギリスの英語に設定しても、米語が出てしまうケースが多くありました。たとえば「地下鉄」なのですが、イギリスでは基本的にundergroundかtubeなどと言うのが一般的なのですが、今回調べた翻訳機ではイギリス英語に設定しても、いずれも「subway」となってしまいました。実際に友人が実際にイギリスのタクシーで「一番近いsubway」までとカタコト英語で伝えたところ、ファーストフードのSubwayの前で降ろされたという珍事がありました。

今回のテストで「地下鉄はどこですか?」という日本語を訳したところ、いずれも「where is the subway」となりました。せめて「地下鉄の駅はどこですか?」としWhere is the subway stationと訳されれば、イギリスでも伝わるとは思います。

翻訳機で大恥をかく理由【その5】主語をはっきりさせよ

翻訳機は、ある程度は主語を補完してくれますが、完璧ではありません。たとえばレストランでオーダーをするときを想定し、「私はスパゲッティで」という言葉を訳してみたところ、今回翻訳機のすべてが「I am spaghetti」に類する翻訳をしました。「小銭がありません」のような、他に訳しようがないような言葉であれば「no change」や、優秀な例では「I don’t have any change」とまで訳してくれましたが、むしろ「私は〜」のようなもので、違う意味になってしまう言葉のほうが要注意です。

他にも「兄がホテルでパスポートをなくしたと泣いている」のような文章も要注意です。これは、句読点をどこでつけるか?というテストなどでよく使われる例文のひとつなのですが、句読点をどこにもつけないと、いくつかの意味に取れてしまいます。

  1. ホテルでパスポートをなくして(どこか違う場所で)泣いている
  2. (どこかでパスポートをなくして)ホテルで“パスポートをなくした!”と言って泣いている
  3. ホテルでパスポートをなくして、ホテルでパスポートをなくしたと言って泣いている

の3パターンが考えられます。今回「兄がホテルでパスポートをなくしたと泣いている」を翻訳してみたところ、いずれも「ホテルで紛失した」と述べているように訳してしまいました。

翻訳機で大恥をかく理由【その6】ネガティブな表現に注意しろ

【その5】でも書きましたが、主語がない日本語を翻訳機は勝手に補完してくれることが多いのですが、正しく補完してくれるとは限りません。そのため、保管された主語によって作成された文章によっては”聞いた人が不愉快になる”文章になる可能性があります。

たとえば今回ディナーに誘われたときを想定して「中華は苦手です」を訳したところ、1機種において「China is poor」と訳されてしまいました。これでは、中国のことを馬鹿にしているから中華料理を食べたくないというように聞こえてしまうかもしれません。また、たとえば「日本人は誰でもお寿司は好きですか?」といった質問に答えることを想定し「人によっては嫌いです」という言葉を翻訳してみたところ、「I hate some people」や機種によっては「I don’t like people」と訳されてしまいました。

「嫌いです」「苦手です」といったネガティブな表現を使う場合は、どのように訳されるのかを想像し、誤解が出ないよう前述の「人によっては嫌いです」なら、「好みは人それぞれです」のような言葉を選ぶようにしましょう。

画像: ネガティブな表現に気をつけましょう

ネガティブな表現に気をつけましょう

大切なのは「キチンとした日本語」

いずれの理由にも共通項があることに気づきましたでしょうか。そうです、翻訳機が訳せないのは「キチンとした日本語ではないもの」なのです。逆に言えば、「キチンとした日本語」さえ話すことができれば、翻訳機はかなり役に立つと言えます。

翻訳機に伝わっていない言葉は、もしかすると、日本人同士でも誤解を生むコミュニケーションの元になっている可能性さえあります。TOEICや英検で高い点数をもっていなくても、海外で下手な英語で渡り歩いている人の多くは、「わかりやすい日本語を話している」という共通点があります。

本連載では、どうやったら翻訳機で恥をかかないようになれるのかを次回から具体的に紹介します。

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