活字離れが叫ばれている昨今、たまには誰かのぬくもりを感じる「本」を探しにおでかけしてみませんか? 今回オススメする古本屋さんは東京・吉祥寺にある「Main Tent」です。店主がオススメする一冊『こねこをだいたことある?』も紹介。
  • 吉祥寺駅前の喧騒をぬけると表れる絵本の古本屋「Main Tent」。
  • レジカウンターには絵本蒐集家で店主でもあるフランソワ・バチスト氏の肖像も。
  • 店内には国内外の約5000冊近い絵本。同じ絵本はできるだけ置かない工夫を凝らしている。
  • 本と本の隙間に隠れた店内の小物は20年以上かけて集めたチトさんの厳選したアイテム。
  • 店長オススメの一冊は、いろいろなものに触れよう『こねこをだいたこと ある?』

これまでの【子どものための古書探し】はこちら

画像: ライオンのぬいぐるみが2匹。名前は「ライオネル」&「リッチー」

ライオンのぬいぐるみが2匹。名前は「ライオネル」&「リッチー」

扉を開ければショーが開幕

朝夕めっきり冷え込んで、木々の葉はあっという間に色付いていきます。実りの秋には本のイベントがあちこちで催されました。本好きには嬉しいシーズンから、そろそろ冬ごもりの準備をする時期でしょうか。となると欠かせないのが「おもしろそうな本」。まだ読んだことない、見たことのない世界と出会うにはどのような方法がよいでしょう。答えは「おもしろそうな古本屋さん」へ訪れること、これに勝るものはありません。

イルミネーションやクリスマスツリーが飾られた華やかな吉祥寺駅前の喧騒をぬけた道を行くと、本が並ぶ一角が現れます。今回は、唯一無二の世界観をもつ、絵本の古本屋「Main Tent」を紹介します。

“チト”は、「フランソワ・バチスト氏と名付けられました」

入口には「きちじょうには えほんの ふるほんやが あります」の看板。均一棚には、児童書と絵本が陳列されて、表紙が見える絵本は鮮やかで目を引くところ。まずはここで、とじっくり腰を据えそうになるのですが、店内の奥に見えるランプの灯りと赤いカーテンが「もっとおもしろいものがあるよ」と手招きしてくるよう。ドキドキしながら「Main Tent」の扉を開けていきます、

画像: サーカスが開幕するよう。カーテンも手作りのイッピン

サーカスが開幕するよう。カーテンも手作りのイッピン

するとサーカスの一団が現れたかのようではありませんか。レジカウンターには絵本蒐集家、フランソワ・バチスト氏の肖像も。フランソワ・バチスト氏とは、つまりはダンサーでもある店主、冨樫チト氏のことなのですが、なぜ「フランソワ・バチスト氏」なのか名前の由来を聞きました。

「チト、というのは本名なんですよ」と、岩波文庫『みどりのゆび』を取り出すと、とあるページを開いてくれました。

画像: 岩波文庫『みどりのゆび』

岩波文庫『みどりのゆび』

『みどりのゆび』の主人公は不思議な力を持つ少年の“チト”。ご両親はこの本から、名前を決めたんだそう。

画像: 物語の冒頭の「この子は、フランソワ=バチストという名前をつけてもらいました」という一節

物語の冒頭の「この子は、フランソワ=バチストという名前をつけてもらいました」という一節

物語の冒頭で、「この子は、フランソワ=バチストという名前をつけてもらいました」という一節が登場するではないですか。「だから、フランソワ・バチスト氏」と、チトさんは不敵に微笑んでいました。なんだか怪しくて魅力的な店づくり。まさしく店主の人柄から生まれるもののようです。

本物にじかに触れる、こだわりの本棚

店内には国内外の約5000冊近い絵本。同じ絵本はできるだけ置かない工夫を凝らしているとのことで、つまりは一度に5000の世界に触れられるということ。さらには、チェコやハンガリーの絵本市にも訪れ、直接仕入れも行っているそう。絵本には詳しい自信をもつチトさんではありますが、それでもまだまだ知られざる作家がいるのだとか。

画像: 丁寧に作家別に紹介、分類されている

丁寧に作家別に紹介、分類されている

さらに店内の本棚はこだわりの逸品で、たものきやケヤキで作られた特注品。「本来、古本屋がやるようなことではない」と冗談めかしながらも、「子どもたちには、本物にじかに触れてもらいたい」という思いを明かしてくれます。

画像: こだわりの木でつくられた特注の本棚

こだわりの木でつくられた特注の本棚

大人目線、子ども目線の遊び心

本と本の隙間に隠れた店内の小物はチトさんの厳選したアイテムで、かれこれ20年以上かけて集めたもの。国にも問わずさまざまなデザインが絶妙なバランスで配置されています。

画像: 絵本のうえに鎮座する猫のぬいぐるみ、名前は「ヨジゲン」。由来は絵本『トンカチと花将軍』(作:舟崎克彦)に登場する猫。

絵本のうえに鎮座する猫のぬいぐるみ、名前は「ヨジゲン」。由来は絵本『トンカチと花将軍』(作:舟崎克彦)に登場する猫。

子どもならではの視点で仕掛けられたアイテムも満載。“目”のモチーフを集めた「少し怖い空間」を演出したり、レジカウンターには「キケン!ノゾクナ!」と書かれた丸い穴を用意したり。もちろん、「ノゾキアナ」の誘惑に勝てるわけもなく覗き込むと……とこれは実際に確かめてもらう楽しみといたしましょう。

画像: 詩集や大人向けの読み物も

詩集や大人向けの読み物も

種をまかないと芽は出ない

「思いついたから」とチトさんは、2015年にお店をはじめたきっかけを振り返ります。「絵本の古本屋は他にないと思った」と。実際にはすでに専門店もあることを知ったといいますが、全国各地にダンスの仕事をしながら自然と本を買い集めていたそう。

画像: 小さくなった鉛筆を持ち込むと瓶の中で保管される

小さくなった鉛筆を持ち込むと瓶の中で保管される

オープンへの確信がないまま、自宅の蔵書が3000冊を超えはじめたころ、「本棚が置いていない場所が軋みだし、そこでとうとうお店を探しはじめた」そんなエピソードも披露してくれました。

画像: イベントで作成した理想の図面。「秘密の部屋」と子ども心をくすぐる場所も

イベントで作成した理想の図面。「秘密の部屋」と子ども心をくすぐる場所も

「種をまかないと芽は出ないですよね」と言うチトさん。今後のさらなる構想プランも。すこし日常とは異様な不思議な空間。これから絵本を通じ、どんな世界をみせてくれるのか考えるとワクワクさせられます。

オススメの一冊 いろいろなものに触れよう『こねこをだいたこと ある?』

最後に店主のフランソワ・バチスト氏こと、冨樫チトさんからオススメの1冊を選んでいただきました。

画像: 店主、フランソワ・バチスト氏こと、冨樫チトさん

店主、フランソワ・バチスト氏こと、冨樫チトさん

『こねこをだいたこと ある?』は、版画の美しい絵とともに読者へ季節や日常のあれこれに「○○したことある?」と問いかけてくれます。「かがくのとも」の絵本ではなく冊子の体裁ですが、それでも詩的な文章と季節を描いた版画の美しさに、大人でも見惚れてしまう一冊。

画像: 「Main Tent」ロゴ入り手提げ袋と『こねこを だいたことある?』

「Main Tent」ロゴ入り手提げ袋と『こねこを だいたことある?』

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基本情報

店名:Main Tent / メインテント
Twitter:https://twitter.com/maintent102
住所:〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-7-3 フェリオ吉祥寺102
ウェブサイト:http://maintent-books.com/
営業時間:平日 10:30~17:00 休日 10:30~19:00
定休日:水曜日(2020年3月末まで火・水曜日定休)
※営業時間等の変更はHPやTwitterでお知らせ。

店長オススメの一冊

『こねこを だいたことある? かがくのとも 1985年1月号』
長谷川 摂子 文
降矢 洋子 絵
出版社: 福音館書店
初版年月日: 1985年01月01日
シリーズ:かがくのとも

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