日本メディアリテラシー協会の代表理事を務める寺島さんいわく、子どもだけでなく大人にもメディアリテラシーの能力は必要だと言います。なぜ大人にも必要なのでしょうか?OECDが発表したPISAの結果をひもときながら、解説します。
  • デジタルは“悪”なのか
  • 新聞各紙が大々的に報道した「PISAショック」
  • 保護者にもメディアリテラシー能力が必要

これまでの【寺島絵里花の子どもメディアリテラシー講座】はこちら

デジタルは“悪”なのか

画像: デジタルは“悪”なのか

連載の第1回目で、スマホやタブレットを我が子から遠ざけたいと願う保護者が多いことをお伝えしました。デジタルと子どもの距離感は、日本において否定的な意見が多いのが現状です。犯罪に巻き込まれるリスク、ネット依存、ゲーム中毒、SNSいじめなど、子どもがスマホやタブレットをもつと「危険」というイメージが蔓延っています。

しかしながら本当にそのままでいいのでしょうか。テクノロジーが普及した今、距離を縮めることが“善”ではなくても、“悪”のままでいいのかについては考えていかなくてはなりません。子どもとデジタルの距離を離しても、解決する問題ではないと筆者は考えています。

そして去年(2019年)末に、デジタルと子どもの関係について、驚くべき結果が出たことをご存じでしょうか。新聞やニュースなどでは、12月に連日報道されていましたが、年明け早々の講演会でその話をしても、ほとんどの保護者が知らなかったため、今回はそのお話をわかりやすくお伝えします。

新聞各紙が大々的に報道した「PISAショック」

画像: 新聞各紙が大々的に報道した「PISAショック」

それは「国際学習到達度調査(PISA※)」の結果について。経済協力開発機構、通称OECD
が2000年から3年ごとに、15歳の生徒(日本は高校一年生)に実施している学力調査で、2018年度に開催され2019年に結果が発表されました。

※PISAは、Programme for International Student Assessmentの略称。
※OECDは、Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略称。

その結果、日本は読解力で平均点が落ち、順位も前回の8位から15位に下がったことが、各紙面でも大々的に報道されました。とくにPISAショックといった言葉が使われ、それについての是非はともかく、教育業界は大きな話題となりました。

画像: OECDの加盟国におけるPISAの比較 文科省「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント www.nier.go.jp

OECDの加盟国におけるPISAの比較

文科省「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
www.nier.go.jp
画像: OECDによる全参加国・地域におけるPISAの比較 文科省「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント www.nier.go.jp

OECDによる全参加国・地域におけるPISAの比較

文科省「OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
www.nier.go.jp

OECDには、加盟国とそうでない国があり、加盟国においては36か国得点差は僅差でした。読解力について言えば、日本はOECD諸国のなかでは7位、全参加国および地域のなかでは11位と、統計的な有意な差はないように思います。

数学的リテラシー、科学的リテラシーはいずれも上位にランキングされ、識字率の高さなどは日本人として誇れることなのではないでしょうか。メディアで報道されているPISAショックといった言葉に惑わされずに、冷静に判断していく必要がありそうです。今回のPISA調査では、デジタルと子どもたちについておもしろいデータが出たので次回は、そのことについて書いていきたいと思います。

保護者にもメディアリテラシー能力が必要

画像: 保護者にもメディアリテラシー能力が必要

親御さんは「日々の習い事をどこにすべきなのか」「通塾はどうしようか」「成績表や内申点」についてはとてもよく把握しており詳しいのですが、たとえば「学習指導要領がどのように変わるのか」「日本や世界の教育の変化はどのようなものなのか」といったことに関心をもっている人は多くありません。

こういった話も、ある意味メディアリテラシー能力が必要で、教育における情報の取り方や取捨選択も必要な時代だと感じています。

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