新型コロナウイルスが、教育界にも暗い影を落としています。今回はそれに対するYES International Schoolの取り組みと、感染症の数学についてお話しします。
  • 全国一斉休校の衝撃
  • 学童保育Trilingual Kids開所
  • 新型コロナウイルスの算数
  • 子どもたちに正しい知識を

これまでの【竹内薫のトライリンガル教育】はこちら

全国一斉休校の衝撃

画像: 全国一斉休校の衝撃

2月27日の夜、YES International Schoolは、深夜まで運営会議が続いていました。ご存じのように、総理大臣が全国の小中高校を春休みの終わりまで休校にするよう要請したからです。ウチはインターナショナルスクールであり、法律上はフリースクールのため、文科省の管轄下にはありませんが、それでも総理大臣の要請となれば、理由が理由だけに、学校の形態で授業を継続するのは難しいですね。

3月19日の終業式までおよそ3週間。少人数クラスの小規模スクールではありますが、いったいどうすればいいのでしょうか。

実は、すでに2月25日以降、教職員の感染防止策として、朝夕の通勤ラッシュを避けるべく、時差通勤は実施していました。スクールまで歩ける教職員3名で、朝8時にいつも通りに学校を開けて、夜も7時まで学童のお預かりをしていたのです。しかし、さらなる対策を余儀なくされました。

今回の総理大臣の要請は、集団で室内で授業をすることによる「クラスター発生」の予防策と考えられます。インフルエンザや普通の風邪も、学校で子どもが感染ってきて、親がかかることは多いですよね。家庭内は基本的に濃厚接触なので、今回の措置については、理解できます(総理大臣の要請には、批判もたくさんありますが、休校措置を取らなくても同じように批判されたと思いますので)。

とはいえ、このような休校要請に土日を入れて三日で対処するのが不可能に近いというのも事実です。きわめて難しい判断を迫られましたが、厚生労働省が全国の保育園と学童保育、児童クラブに出した通知が、ひとつの判断材料となりました。

働く親御さんのために子どもたちの行き場を確保する必要があるため、感染防止策を徹底した上で、児童の「お預かり」は続けよ、という通達ですね。ただし、おじいちゃん、おばあちゃんなどに預かってもらえるご家庭などは、なるべく保育園や学童保育を使わないでくださいね、満員になるとクラスターが発生する確率が高まりますから、という含みがあるのだと我々は解釈しました。

学童保育Trilingual Kids開所

画像: 学童保育Trilingual Kids開所

学内協議の末、政府の方針に従い、「学校」機能は休止した上で、「学童保育」機能は(夕方からではなく)朝から開所する方針を固めました。つまり、YES International Schoolの生徒には、自宅待機か学童保育かを選択してもらうことにしたのです。ただし、教職員が朝夕のラッシュにかからないよう、原則として、開所は朝9時半、閉所は16時としました(実際には、個別のご家庭の事情に配慮し、歩いて出勤できる職員で対処可能な範囲で対応しています)。

3月2日から、通常の半数くらいの生徒が学童保育に切り替えて通ってきてくれています。また、いつもは夕方の学童保育にだけ来るお子さんが、朝から通ってきてくれています。もともと小規模なので、ここのところ、毎日十数名のお子さんが通ってくれていますが、問題となるのが、自宅待機を選択されたご家庭のお子さんの学力の担保です。というわけで、またまた会議です。

さまざまな可能性を議論した結果、現状で我々ができることは2つあるとわかりました。一つは(他の学校でもやっているように)宿題を配ること。各教科の教員の手作りプリントを各ご家庭に、週一回、郵送することにしました。私も算数の授業を担当しているので、小学1年生~小学3年生用と小学3年生~小学6年生用のプリントを書き起こしました。イギリス人の英語の先生と、国語の先生もそれぞれ、工夫したプリントを作成してくれました。

もうひとつできること。それは、インターナショナルスクールの特色である英語力を担保するために、ネイティブの英語講師による授業配信ですね。すでに実証実験は終えていたため、テレビ会議システムのZOOMで双方向の遠隔授業をおこなうことは可能なのですが、大きな問題が浮上しました。

これまでの実証実験では、遠隔地と結んで、少人数の生徒さんがYESの授業に参加するものでした。その場合、事前に設定などを済ませておけました。ところが、今回は自宅待機のすべてのご家庭でZOOMの設定をしてもらわないとダメなのです。そして、それが簡単ではありません。インターネット設定に慣れているご家庭は問題ありませんが、慣れていないご家庭の場合、手順書をお送りしても、設定がうまくいかないことが多いのです。そこで、電話で手順を説明することになりますが、それもうまくいきません(パソコン会社の電話相談もなかなか大変なようです)。

そこで、つなげないご家庭が出る恐れがあるため、双方向の授業はあきらめ、授業を録画・編集してYouTubeで配信することにしました。これなら、すべてのご家庭がなんらかの方法で視聴できるからです。そして、お配りするプリントと連動させることにより、なんとか英語力をキープしてもらおうと考えたのです。

 

以上が横浜校の取り組み。少人数で学童保育を開所し、頻繁に教室の換気をおこない、二時間おきに次亜塩素酸ナトリウムでドアノブやトイレなどを消毒し、子どもたちも教職員もマスクを着用し、雨が降っていなければ、なるべく屋外での運動や写生などを組み入れ、手洗いとうがいを励行し、一日3回、全員の体温測定をしています。さらには、ちょっとでも風邪気味だったり、咳が出たり、熱がある場合は、自宅待機をお願いしています。そして、原則として、YES International Schoolの生徒および学童保育Trilingual Kidsの生徒さんだけを受け入れています。

東京校は、これまでの不登校・ホームスクールのお子さんの受け入れに加えて、4月から学童保育を開所する予定でしたが、一ヶ月前倒しして、通常料金で朝10時から夕方6時(延長で7時)までの受け入れをはじめました。

横浜(既存の生徒さんのみ)と東京(新規受け入れ)で対応が分かれたのには理由があります。新型コロナウイルスは、ライブハウス、スポーツクラブ、屋形船など、換気の悪い閉鎖空間に大勢の人が集まり、唾液や汗が空気中にエアロゾルとして飛散する状況で、クラスターが発生しているようです。そこで、受け入れ児童の人数を抑える必要があったのです。

新型コロナウイルスの算数

画像: 東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」( https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/ )

東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

感染症の不安は、未来がどうなるかがわからない点にありますよね。テレビや新聞で感染者数の推移を予測したグラフを見ることがありますが、あれはいったいどうやって予測しているのでしょうか。

私がまず子どもたちに教えるのは、流行初期における「指数関数的な増大」です。なんだか難しく聞こえますが、小学生でも理解できます。たとえば、一人の感染者が平均して2名に感染させるとしましょう。感染にかかる時間は仮に一週間とします。そして、不自然な仮定ですが、2名に感染させたら、もう感染させないとしましょう。すると、国内の一人の感染者が発生した時点から数えて、一週間目には新たな感染者が2名、二週間目には新たな感染者が4名、三週間目には8名、四週間目には16名、五週間目には32名、六週間目には64名、七週間目には128名、八週間目には256名、九週間目には512名、十週間目には新規感染者が1024名と計算できます。

このように爆発的に感染者が増えるのが「指数関数的な増大」の特徴なのです。もちろん、なんらかの方法で人々を隔離し、感染する確率を小さくできれば、感染者数の増大を抑えられます。

隔離だけでなく、ワクチン接種や、罹患したけど治癒した人の数が増えてくれば、やはり感染者の爆発的な増大は収束します。

では、一人の感染者が一人にしか感染させないとしたらどうでしょう? 同じように計算していくと、一週間目に新規一人、二週間目に新規一人という具合に新規感染者が増えないので、感染が流行しません。一人の感染者が「一人以下」にしか感染させないのであれば、パンデミックにはならないわけです。

この一人の感染者が何名に感染させるかという数値を「基本再生算数」と言います。新型コロナウイルスの場合、まだデータが確定しないようですが、だいたい2から4の間だと言われています。

実際には感染者数の見積もりには微分方程式という(それなりに)高度な数学が使われます。1927年にはケルマック-マッケンドリックモデルという基本的な方程式が発表され、それが発展して、ワクチン接種の効果や、人と人のつながりのネットワークを考慮した計算などもなされるようになっています。

 

子どもたちに正しい知識を

画像: 子どもたちに正しい知識を

新型コロナウイルスについては、トイレットペーパーが不足するとか、アルコール消毒が効かないなど、多くのデマが飛び交いました。

いまこそ、科学的・医学的に正しい情報を子どもたちと共有し、できるだけ感染を防ぎながら、正しく怖がる必要があります。今回の新型コロナウイルスの場合、高齢者と持病持ちの方以外は、死亡率が低いのが特徴です。また、感染が広がるにつれ、死亡率は低下するのが一般的です(死亡率が高いとウイルスは広がることができないため)。ですから、若くて健康な人は、子どもも含めて、過度に怖がる必要はないのです。

では、なぜ政府が神経を尖らせているかと言えば、第一に感染者が爆発的に増えた場合、病院がパンクしてしまい、結果的に重症患者が適切な治療を受けられなくなり、死亡数が一気に増大する可能性があるからです。イベント自粛や休校措置により、感染者数のピークが低く、なだらかになれば、日本の医療現場は持ちこたえられます。

もう一つの理由として考えられるのが、東京オリンピック・パラリンピックの開催でしょう。感染が爆発的に拡大した場合、延期もしくは中止という判断になるかもしれません。去年の消費税アップで冷え込んでいる経済を、東京オリンピック・パラリンピックで上昇基調にもっていこうとしていたところに、今回の新型コロナショックです。株価もどこまで下がるか予測できない中、世紀のイベントが中止になった場合、日本経済は立ち直れないほどの打撃を受ける恐れがあります。

というわけで、子どもの健康面の心配はたしかに必要ですが、過度に恐れる必要はなく、むしろ、日本という国全体の医療体制や経済の問題がからんでいるために、政府が強い要請をおこなっていると理解すべきなのです。

今後、感染者数の推移によっては、北海道だけでなく、他の地域でも非常事態宣言が出される可能性がありますが、冷静に、手洗い・うがい・アルコール消毒・マスク(他に感染さない)・換気・消毒を続け、パニックに陥らないことが大切です。

え? マスクが足りない? 警視庁がキッチンペーパーによるマスクの手作り方法を公開していますので、参考にしてみてはいかがでしょう。

画像: 警視庁警備部災害対策課 on Twitter twitter.com

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