新型コロナウイルスの感染は、当然フィンランドにも大きな影響を与えています。教育先進国と言われるフィンランドでは、子どもたちの教育に対して、現状をどう乗り越えようとしているのでしょうか。職業訓練の場である“Me &My City”とあわせて紹介します。
  • 新型コロナウイルスのフィンランドでの影響
  • 小学6年生の職業体験の場“Me &My City”
  • Me &My Cityが他の職業体験と違う3つのポイント

これまでの【フィンランド教育はなぜ子どもを幸せにするのか】はこちら

新型コロナウイルスのフィンランドでの影響

日本では3月2日から小学校が休校となり、私が運営する民間アフタースクールも急遽朝から営業をしていたため、先月は記事をお休みさせてもらいました。

多くの人々の生活や仕事に影響力をもつ新型コロナウイルスですが、フィンランドの小学校でも3月中旬から一斉休校になりました。

※一部、仕事を休めない保護者の子どものために、少人数での“クラス”が実施されていたようです。ヘルシンキに住む私の友人も仕事を休めず、小学生の子どもは登校。2、3人で勉強をするなど先生と過ごしているようです。

現地の記事によると、学校の先生は休校に伴い、“オンライン授業”を続けており、数日間でその準備をするのはハードだったようですが、“完璧な授業でなくてもいい、子どもたちが決まった時間に先生や友だちと顔を合わせること。それが子どもの情緒面の健康を保つために重要”と考え、日々試行錯誤しながら、子どもたちと学びを継続しているそうです。

フィンランドで新型コロナウイルスへの社会的危機の風潮がスタートしたのは、日本よりも数週間遅かったように感じますが、「外出禁止」「ヘルシンキを含む都心部の封鎖」は3月中に実施されました。3月中旬の段階で、「70歳以上の人は、“食糧・医薬品調達のための買い物”と“健康を保つための散歩”以外の外出禁止令」が出ていました。

その成果として、新規の新型コロナウイルス感染者がここ数日(4/11 時点)減少しているようです。フィンランドは人口550万人。日本とは単純に比較のできない事例ですが、社会全体で事態改善のために取り組むのはフィンランドらしいと感じます。

【TC6】自分の仕事をもって自立していく能力(Working life competence and entrepreneurship)

さて、テーマをこの記事の主題である教育に戻します。前回まで、フィンランドのカリキュラムにおいて、“すべての義務教育において大切なエッセンス”として定められている7つのTransversal Competencesの1-6まで共有しました。その中の6番目“TC6: Working life competence and entrepreneurship” の解釈が前回の記事の最後でした。日本語にすると“就業観の育成”という言葉が近しく感じます。

今回の記事では、その【TC6】の事例として、フィンランドがいかに真剣に子どもの就業観育成に取り組んでいるのかをお伝えするため、2014年に訪れた施設の紹介をします。

小学6年生の職業体験の場“Me &My City”

紹介するのは、英語名“Me &My City”(フィンランド語ではYrityskylä )という民間の組織。小学校を卒業する直前の6年生(12歳-13歳)を対象に、学校単位で参加するプログラムを提供しています。子どもたちは、そこで“職業体験”をしながらも、「社会のしくみ」や「働くことの意識」を学び、中学校に入り真剣に将来を考えるきっかけとなります。

画像: Me & MyCity: learning concept www.youtube.com

Me & MyCity: learning concept

www.youtube.com

体験の前に、小学校の授業の中で、クラスメイトや先生と「社会について」「体験できる職業」についての情報を得、学びます。体験できる職業については、電力会社、スーパーマーケット、郵便局などの「職場」、さらに現場エンジニア、社長、マネージャーなどの「ポジション」に分かれています。

※教員向けのインストラクションも整備されています。

次に、子どもたちは「希望の職種」「志望理由」を考えて記入し(小学校によってオペレーションに多少の違いがあります)、先生が子どもたちの記入内容や普段の行動、適性を加味し、Me &My City で就く職種(役割)について決定し、子どもたちは決定した職種について事前準備します。

Me &My City体験当日、現場の職員からの簡単なレクチャーのあと、さっそく体験スタートです。現場の雰囲気や内容は写真を見てもらえばわかるかと思います。

最後に全員で集まり、「体験の共有」をします。また、「同僚」からのフィードバック(例:現場社員から「社長が…...してくれたから、働きやすかった」など)をとる小学校もあるようです。

画像: “今日は、どんなことを学びましたか?”

“今日は、どんなことを学びましたか?”

Me &My Cityが他の職業体験と違う3つのポイント

Me &My Cityのすばらしい点は、以下の3点にあると考えます。

  • 内容が現実に即していること(一般的なイメージや、よいところ・楽しい部分のみを切り取って実施しているわけではない)
  • 実際的でありながらも、対象者(小学6年生)の発達段階や知識にレベルを調整しており、“難しい“と感じすぎない設計となっていること
  • 社会に必要な複数のビジネス、職種が揃っており、仕事を体験しながらも「社会全体」を体感できること

日本にもMe &My Cityのような職業体験の場があればよいのですが、日常の中でも、長期的な視点で家庭や学校・民間企業で、子どもの本質的な就業観育成を意識した取り組みができるではないかと感じています。

次回は、フィンランドが義務教育で重んじている最後のエッセンスについて、そのエッセンスが各教科(国語・算数など)とどのように関連づけられて考えているかについて紹介します。

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