世界の中でも、対新型コロナ政策において成功していると見られているフィンランド。あらためて34歳の女性の首相の活躍が注目されています。彼女がどのような行動をしたのか、「Transversal Competences(横断的能力)」の最後の項目と合わせて見ていきましょう。

これまでの【フィンランド教育はなぜ子どもを幸せにするのか】はこちら

日本とフィンランドにおける新型コロナウイルスの現状

日本では日々の新型コロナウイルス感染者数が減少しており、現状の自粛生活にもゴールが見えてきた昨今ですが、子どもたちは2ヶ月以上も学校に行っておらず、自由を満喫しながらもお友達と会えないストレスがあったり、集中力が切れやすくなっていることを感じます。一方で、学校へ行かないことで一人一人の子どもの「らしさ」が行動やアート作品によく現れるようになっていることもあります。

翻ってフィンランドではどうなっているのでしょうか?こちらの記事で、とてもわかりやすく状況が説明されています。

政府は初期対応においての失敗を認めながらも、できることをわかりやすく国民に説明することで理解を得て、そしてその結果がわかりやすく出ることで、あらためて政府と国民の間に強い信頼感が醸成されていることが見てとれます。子どもたちの新型コロナ関連の質問に、首相が直接答えるといったオンライン会議をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

最近連絡をとっているフィンランドの友人たちは、日々の仕事や生活での制限や重荷にかかわらず、「国は、最善のことをしている」と言っていたのが印象的です。

私が「フィンランドの母親」と慕っている女性は先日、息子や孫たちと母の日のお祝いをしたそうです。「屋外で、距離を保って!」というルールをしっかり守り、森の中にあるお家の庭でパーティをしたそうです。「家の中には絶対入らない」という約束を皆が守り、「家に入ればきれいなお手洗いがあるのに、全員が庭にある“簡易トイレ(水洗ではない)”を使い、サウナのシャワーで手を洗った」と楽しい1日をおもしろく共有してくれました。

外部の人が誰も見てなくても、しっかりとルールを守り、その範囲内で最大限に楽しむところは尊敬に値します。

さて、フィンランドの教育に内容の焦点を戻します。前回までに、フィンランドのカリキュラムにおいて、教科横断型の大切なスキル「Transversal Competences(横断的能力)」について書いてきましたが、今日はその最後の項目について共有します。

【TC7】持続可能な社会の一員としての自覚とスキル(Participation, involvement and building a sustainable future)

人間は誰でも利己的な部分があり、「社会の一員である」という自覚やその自覚に基づいた行動をとるには、「practice(練習)」が必要なのです。学校は、その練習をする場所であると定義づけられています。学校生活の中で、子どもの発達段階に合わせて計画・実行・評価をするチャンスがあるので、子どもたちは社会の一員であるという感覚を掴んでいきます。

「練習」の領域は多岐に渡ります。「政治(学校でいうと、クラス運営や生徒会のようなもの)」「自然環境」「メディア」など、子どもたちの周囲にあるものに「自分が参加してコミットする」という経験を、フィンランドでは重視しています。

“They also learn to understand the significance of rules, agreements and trust.”
学内外の経験を通して、子どもたちは社会の一員として他と信頼を結び、互い納得して事を進めること、ルールを守ることの大切さを学びます。

人同士が関わる際に必ず発生するネガティブな状況も、大切な練習の機会です。交渉や対立の解決、批判への対応、喧嘩の仲裁……そこから「何がフェアで、sustainable(持続可能)なのか?」を学び取っていきます。

小学校1,2年生の間は、現在・過去・未来のつながりを学ぶ中で、地域の自然環境や社会がどのように運営されているのか、それはフェアで持続可能な方法か、もっといいチョイスはないか……などを考える機会をもちます。

ちなみに、フィンランドにも道徳(ethics)という教科があり、何度か授業を見学したり教科書を読んだりしていますが、日本の“道徳”の授業とは一味違います。

日本だったら:「友達をいじめるのは、よくないことです」

フィンランドなら:「自分がいじめられたら、どう思う?」「自分が友達をいじめたら、その後どんな気持ち?」

Transversal Competencesをどのようにカリキュラムに採り入れているか

次回から、実際に小学校1〜2年生のカリキュラムがどのように編成されていて、これまで共有してきた7つの「Transversal Competences(横断的能力)」とどう関わっているのかについて、実際の教科(国語・算数など)を例に書いていきたいと考えています。

その前にフィンランドのカリキュラムの基本構造についてお伝えします。以前の記事で述べたように、フィンランドの教育では地域や学校ごとのアレンジを推奨しており、国で定めたカリキュラムに具体的なことはあまり書かれていません。その分「なぜ、その教科が大切なのか」「どんなことを子どもが学べばいいのか」というコンセプトが、しっかりと伝わるようになっている点が私は優れていると考えています。

画像: カリキュラム基本構造

カリキュラム基本構造

どの教科も、基本的には上記の構造となっています。

まずは「教科ごとの基本コンセプト」:なぜその教科を学ぶのかなどについて書かれてます。その次に「この学齢における該当教科のタスク」:より具体的に、こんなことができるようにわかるようになっていること、という内容に触れています。

次に「個別対応などのガイドライン(Guidance, differentiation, and support)」:その教科において教師や学校がどのようなことにケアすべきか、また子どもの個人差にどう対応するかについて書かれています。そして、「評価(Assessment)」の方法が示されています。

図の下段部分(黄色・赤・青緑)が、フィンランドのカリキュラムにおいての“学びの相互関連性”や深さを味わえると私が感じている部分です。「学びの狙い(Objectives of instruction)」「学ぶ内容(Contents areas related to the objectives)」「横断型スキル(Transversal Competences)」が相互に、関連していることが明示されています。

フィンランドの大学院でPedagogy(教育学)という授業があり、現地の教員養成のコースでも必須科目となっているのですがその時に教授が言っていた、「学びは、概念や事象を“編み物”のように編んでいくのです」ということをとてもよく覚えています。

次回からは、それぞれの教科においての「学び」について、記事にしていきたいと考えています。

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