緊急事態宣言も明け、学校も6月から再開されることとなりました。しかし、秋には第2波が来ると言われ、同じような事態が今後も起きうる可能性が高いです。そんなときに備えて、オンラインでの学びを今一度見直してみましょう。

これまでの【プログラミング教育のホントのところ】はこちら

休校中のプログラミング学習を考える

画像: 休校中のプログラミング学習を考える

3月中旬から続いた学校の休校措置。2020年度は小学校で新しい学習指導要領に基づいた新しい学びがはじまるはずでした。しかしその出鼻は完全にくじかれ、日々の学びを続けていいくことすら危うい状況になってしまいました。

新学習指導要領の大きなポイントは、「主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)」の実現、道徳・外国語(英語)の教科化、そして本連載で取り扱っているプログラミング教育の導入でしたが、オンライン上で完全実施するには、まだまだ課題が山積していると言わざるを得ない状況です。

子どもたちが、自宅にいながらもプログラミングを学ぶ環境を整えるにはどうすればいいでしょうか。今回は、プログラミング教育を推進しているみんなのコードと、筆者が代表を務めるInnovation Powerが協力して取り組んでいる、休校中の子どもたちがプログラミングを学べる環境を届けるプロジェクトについて紹介します。

オンライン×反転学習×創造的な学び

画像: オンライン×反転学習×創造的な学び

オンライン授業では、これまでオフラインでやっていたような授業をそのまま成立させるのは、大変難しいと言えます。先生が一方的に話すような授業では、子どもたちはすぐに飽きてしまいますし、かといってグループワークをたくさん取り入れる形の授業は教師のオンラインスキルがないと成立しません。

ましてや、プログラミングをオンライン授業のスタイルで進めるのはとても大変です。子どもたちのできない、動かないという声をすべて聞いて解決するだけで、あっという間に授業時間は終わってしまいます。

今回のプロジェクトでは、オンライン×反転学習×創造的な学びをキーワードとして、子どもたちが自分たちでどんどん学んでいくためにどうすればよいか、埼玉県のとある小学校の子どもたちと一緒に取り組みました。

本プロジェクトは、月曜日から金曜日までを1週として、3週間続けて取り組みます。毎週月曜日の朝にその週のお題とつくり方動画が子どもたちに送られます。自分でつくれる子は1週間かけてどんどん自由に取り組んでもらい、そうでない子も筆者が収録したつくり方動画を見て、まずは自分でつくってもらいます。

火曜日には、オンライン質問会が開かれます。ここでは、動画を見てわからなかったことや新しい機能のつくり方など、実際に動画をつくったメンターになんでも質問できます。オンラインではありますが、対面でフォローすることで、まずは基礎的な部分をつくり終えることが可能になります。

水曜日と木曜日は自由制作時間です。金曜日の発表会に向けて、自分の作品をブラッシュアップさせていきます。つくった作品はScratchのスタジオに追加してもらい、仲間同士で見たりできます。

金曜日のオンライン発表会では、1週間取り組んだ成果を発表します。工夫したことや苦労したこと、時間があればしたかったことなどを自分の言葉で発表していきます。この発表会は任意参加ですが、毎回25人前後の子どもたちが参加してくれています。

このルーティーンを3週連続繰り返しやることで、子どもたちはScratchの使い方をある程度マスターできました。

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日
お題発表・動画公開質問会(オンライン)制作日制作日発表会(オンライン)
1週間のスケジュール

お題は3週間かけて、徐々にレベルアップできるようなものを設定しました。第一週目は、ネコを歩かせるだけのかんたんなプログラムをつくり、改造することを主目的にしています。第二週目では、座標の概念を知ってほしかったので、画面の右から左に流れてくる障害物をジャンプしてよけるゲームをつくりました。そして3週目では、変数の使い方を紹介するために、上から下に落ちてくるりんごをキャッチするゲームをつくりました。内容は、一部Scratchコーディングカードを参考にしています。

タイトルテーマ
第1週ネコを歩かせようScratchの基本的な使い方
第2週ジャンピングゲームをつくろう座標, ループ
第3週キャッチゲームをつくろう変数, 条件分岐
各週のテーマ

オンラインでの学びの場

今回は Scratch の教師用アカウントを利用して、子どもたちにアカウントをつくってもらいました。最終的に90人以上の子どもたちがアカウントをつくり、プログラミングに挑戦してくれて、クラススタジオにはユニークな作品がたくさん並びました。

画像: クラススタジオの様子

クラススタジオの様子

自分がつくったプロジェクトをクラススタジオに追加することで、子どもたちはお互いにコメントできます。これは、Creative Learning Spiral でいうところのShare(共有する)とReflect(反映する)に当たる活動です。

画像: Creative Learning Spiral web.media.mit.edu

Creative Learning Spiral
web.media.mit.edu

Reflect(反映する)は次の Imagine(考える)につなげるために非常に大切なプロセスです。対面の授業なら感想を直接伝えられますが、オンラインだとなかなかそうはいきません。そんなときに、Scratch のコメント機能を使うと、作品に感想やアドバイスを書けます。

画像: クラススタジオでのコメントの様子

クラススタジオでのコメントの様子

《ポイント》もちろん、このようなインターネットでのコミュニケーションでは、情報モラルの理解が必要不可欠です。今回子どもたちには、Scratch のコミュニティ・ガイドラインについて解説した動画を事前オリエンテーションのときに見てもらっています。ユーザー名に本名を使ってはいけないこと、相手を思いやる姿勢や誠実さが大切であるということなどを、質問会や発表会のときに繰り返し伝えることで、意識してもらいやすいようにしています。

また、質問会でメンターからもらったフィードバックをもとに発表会に向けて作品をつくり込んでくれている子もたくさんいました。解説動画を見ただけで終わるのではなく、自分なりにアレンジしていく過程で、子どもたちは創造性を発揮していきます。Creative Learning Spiralを文字通り“スパイラル”として回していくことが大切だと改めて感じました。

私は、反転学習の意義がここにあるように思います。解説動画をつくって子どもたちが見るという図式は、時間と空間の制約から解かれた最強の一斉授業と言えます。しかし、それだけでは見っぱなしになってしまい、子どもたちは何を学んでいるのかわからなくなってしまうでしょう。

1週間を通してカリキュラム設計し、途中で実際に顔を合わせる機会をつくることで、オンラインであろうと最後まで子どもたちの様子を見れます。オンライン授業のコツは、オンデマンド型とビデオ会議型のいいところをうまく活用していくことだと思います。

自宅にいても意味のある学びができるように

画像: 自宅にいても意味のある学びができるように

今回は学校が休校期間中に自宅でできるプログラミング学習の取り組みについて紹介しました。オンラインの学びでは、どうしても子どもたちがひとりになってしまいます。しかし、適切なツールを使えば、疑似的に対話的で協同的な学びをつくることも可能です。オンライン×反転学習×創造的な学びの3要素をうまく取り入れることで、自宅にいても子どもたちにとって意味のある学びができるようになると、私は考えています。

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