兼業”主夫”である私が、仕事と家事育児を両立する生活を送っていく中で、学んできたことを少しずつ紹介します。今回は「怠惰に家事育児をする」がテーマ。

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効率化って本当に効率的ですか?

私は本業では「テクニカルディレクター」という職業をしています。聞きなれない人も多いかもしれませんが、ざっくり言うと“テクノロジーの相談屋”のような仕事で、企業が「こんなシステムをつくりたいんだけど、どうやってつくればいいの?」といったときに相談に乗り、あの手この手を使って実現させるお仕事です。

そんな、ある意味“何でも屋さん”のようなフワッとした職業なものですから、それはもういろいろな相談がくるわけです。中でも傾きかけているプロジェクトの立て直しなど、いわゆる「プロジェクトマネジメント」をお願いされることもあります。

そして、そんなプロジェクトマネジメントの仕事をしているときによく聞く言葉が「効率化」。口にしただけで、何だか少し“デキるオトコ”に見えそうな言葉です。

画像1: 効率化って本当に効率的ですか?

皆さんも仕事をしていると、何度か耳にしたことがあるでしょう。たとえば、「DX(デジタルトランスフォーメーション、業務のデジタル化)を取り入れて業務効率化を図ろう!」とか、そんな感じですかね。うん、甘美な響き。聞くだけでなにやらよいことを目指しているような気になってしまいます。

でも、ちょっと待ってください。ただ単純に「効率化」を目指すことが、本当の意味で効率的なんでしょうか?本質的な部分を考えずに盲目的に効率化するのがいいかというと、必ずしもそうでない場合があると思います。

一番簡単に物事を効率化する方法は「作業をまとめて一度にこなす」ことでしょう。たとえば、食器などの洗い物をまとめておいて一気に片づける。そうすると、シンクに行く回数が1回で済んだり、余分な洗剤も使わないので、一見すると効率的な作業のようにも見えます。

でも、ですよ。じゃあ効率化しようと思って洗い物を極限まで溜めたとします。実際問題として、その溜まった洗い物を目にしたら、どう思いますか?やる気は起きないですよね(笑)。

画像2: 効率化って本当に効率的ですか?

結局、単純な効率化は、そのままだと人間がやるのに向いていない場合が多いです。そのような効率化は、ロボットのように感情もない、休まなくても大丈夫、という理想的な働き手がいて、初めて成り立つんです。同じことを人間がやろうと思っても、面倒くさくなったり、疲弊してしまったり、結局最終的には逆効果になってしまうことが多いのです。

「効率化」よりも「低ハードル化」

私が本業でプロジェクトマネジメントをする際に大事にしていることがあります。それは、「効率化」よりも「低ハードル化」を目指すということです。

ここまでに書いたように、過度に効率化しようと思っても、人間がついてこられないような方法では意味がありません。人間はロボットではありませんから、少し疲れていたり、面倒だなって思ったり、何か悲しい出来事が起こったり…、そういう些細なことでパフォーマンスが落ちてしまいます。

では、そんな人間が効率化するにはどうすればいいのか。それはそれぞれの作業を「ちょーカンタン!」と思えるように変えてあげればいいんです。

「ちょーカンタン!」な作業だったら、少しくらい疲れていても「まあこれくらいならできるかな」って思えますし、やる気がそがれるようなことがないわけです。

いやいや、仕事なんだから何でもかんでも「ちょーカンタン!」にできるわけないでしょ、と思われたかもしれませんが、実はその通りで、世の中そんなに都合よくはできていません。やはり難しいことを簡単にするのは難しいです。

でも、実は「ちょーカンタン!」にしなくても「ちょーカンタン!」と思わせればいいんです。要は乗り気になれるかどうかの問題ですから、実際にそれほど簡単じゃなくても、「あれ、もしかしてこれ簡単かもしれない」と思わせるだけでいいんです。

なにか作業に取り組むときの「心理的なハードル」を下げて低くしてあげる。つまり作業を「低ハードル化」してあげることでプロジェクトをスムーズに進行できるんです。

画像: 「効率化」よりも「低ハードル化」

そして、この考え方って家事や育児にも応用できそうだと思いませんか?私はプロジェクトマネジメントで学んだこの考え方を、日常の家事・育児に取り入れたりしています。

「低ハードル化」のススメ

作業を「低ハードル化」するためにはいくつかの方法があります。

  • 小さなストレスを減らす
  • 細かくわけて流れで片づける
  • 仕組み化する

それぞれ順に紹介していきましょう。

小さなストレスを減らす

人間って面倒くさがりな生き物です。ほんの少しでも「面倒だな」と思うと、急にやる気がそがれてしまいます。しかも厄介なことに、自分でも気づかないくらいの本当に小さなストレスでも、ものすごくパフォーマンスに影響するんです。

たとえば、ウチの台所は狭く食洗器が導入できないので、洗い物は手洗いなんですが、ワレモノのお皿やコップなどを洗っていると、どんどん洗い物が億劫になってしまうことを発見したんです。

なんでだろうと考えたんですが、ワレモノって自分でも気づかないうちに「割れないように気をつけて扱わなきゃ」という気持ちになって、慎重になってしまっていたんです。一枚くらいなら大したことないかもしれませんが、毎日何枚も慎重に扱っていたことで、自分でも知らず知らずのうちに負担に感じてしまっていたようなのです。

なので今、私の家では普段使いの食器はすべてプラスチック製に統一しています。プラスチック製であれば雑に扱っても割れにくいですし、ガシガシ洗ってボンボン水切りカゴに入れられるので、心理的な負担がものすごく減ったんです。

何をどこまでストレスに感じるかは人それぞれなので、ここまで神経質になるのは私くらいかもしれませんが、それでも、日常の中で小さなストレスを感じている部分はないか探して、それを緩和することで、少しだけ気持ちがラクになるかもしれません。

細かくわけて流れで片付ける

作業を細かく切り分けることで、1回1回の作業が簡単になるので、心理的なハードルが下がります。またその細かく分けた作業を、勢いにまかせて流れで片づけてしまえれば、それぞれの作業を意識しないでラクにこなせるようになります。

たとえば私の場合、子どもにご飯をあげている最中に、実は3回くらい洗い物をするんです。

  • 調理をして、盛り付けて冷ましている間に調理器具をサッと洗う
  • ご飯を食べさせ終わって、子どもがデザートを食べている間に、ご飯の食器をサッと洗う(デザートタイムが唯一おとなしくしてくれているタイミングなので)
  • 子どもがデザートを食べ終わったら、デザートの食器とシリコン製エプロンをサッと洗う

さすがに3回も洗い物をするのは、私以外の人からしたら「えっ、めんどくさ!」って思うかもしれませんが、それでも私としてはこれくらいに分けてしまったほうがラクなんです。それに、子どもにご飯を食べさせるという流れの中にうまく組み込むことで、それぞれを意識せずにこなせています。

それぞれ人によって、どれくらい細かくすればいいかは違うので、それぞれラクだなと思えるくらいまで分けて、日常の流れの中に組み込んでしまうといいと思います。

画像: 細かくわけて流れで片付ける

仕組み化する

面倒なことや苦手な作業は心理的なハードルが高く、なかなか億劫に感じてしまいます。なので、そういうことは仕組み化して簡単にしたり、自分以外にやらせてしまったりするのがいいです。

たとえば私は記憶力がものすごく低いので、食材の買い出しが苦手なんです。「牛乳が切れてたな」って思っても、3秒くらいで忘れてしまうので、スーパーに行っても思い出せずに買い忘れてしまったり。

こればっかりは自分の力ではどうしようもないので、スマートスピーカーの力を借りて解決しています。Googleのスマートスピーカーにメモを取れる仕組みをつくっていて、思いついたときすぐに「OK Google, 買い物メモ、牛乳」と話しかけると、家族で使っているチャットサービスに「買い物メモ:牛乳」と記録されるようにしてあります。

また、子どもの朝ごはんや夕飯を毎日いちからすべてつくるのも大変なので、週末にまとめて半調理品をつくり置きしています。野菜を和だしで煮詰めたものを氷冷皿にいれて、冷凍だしキューブとして保存しておいて、お味噌を入れて味噌汁にしたり、卵を溶いてレンジでチンして和風たまごチムにしたり。ごはんをつくるのが億劫にならないように仕組み化しています。

怠惰に家事育児をしよう

こんな形で私は普段仕事で使っている考え方を応用しながら、なるべく気楽に家事・育児ができるように工夫して過ごしています。

まじめに仕事と家事育児を両立しようと頑張っているパパママの中には、「効率的にやらなきゃ」「うまくやらなきゃ」と肩ひじを張りすぎてしまっている方も多そうで、心配になることがあります。

誰しもずっと頑張り続けるのは無理なわけですから、今日紹介した考え方で、どんどん低ハードル化をして、ラクに怠惰に家事育児をできるようになるのがいいんじゃないかと私は思っています。

【コラム】プログラマーの三大美徳

Perlというプログラミング言語を開発した Larry Wall という人は、その著書「Programming Perl」の中で「プログラマーの三大美徳」のひとつは「Laziness(怠惰)」である、と言っています。

Laziness: The quality that makes you go to great effort to reduce overall energy expenditure. It makes you write labor-saving programs that other people will find useful and document what you wrote so you don't have to answer so many questions about it.
--Larry Wall『Programming Perl』, O'Reilly Media

日本語に訳してみるとこんな感じでしょうか。

怠惰: 全体の労力を減らすために多くの努力を支払う資質。この資質はあなたに、他の人の役に立つ省力化プログラムを書いたり、いろいろな質問にいちいち答えなくていいように資料をつくったりさせるでしょう。

「怠惰」という言葉はあまりいい印象の言葉ではないかもしれません。ただこの場合の「怠惰」は、要はラクをするために労力を惜しみなく使うという意味なんですね。それほどラクをしたいなんてプログラマーは怠惰だね、っていうふうに使われるんです。なので、プログラマーにとって「怠惰」という言葉は褒め言葉なのです。

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