新型コロナウイルスの影響により、世界中でオンライン教育への関心が高まってきています。そのような中、「カーンアカデミー」というオンライン学習プラットフォームが世界中で再注目されているという記事を見て、実際に私も活用してみました。

これまでの【世界を旅しながらその土地の教室に飛び込んでみた】はこちら

カーンアカデミーとは?

画像: カーンアカデミーとは?

「カーンアカデミー」をご存知でしょうか? 2006年に、アメリカのサルマン・カーンさんが作った無料の動画教育のプラットフォームです。私が初めてカーンアカデミーの存在を知ったのは、書店で見つけたこちらの本からです。

元々はヘッジファンドのアナリストだったサルマン・カーンさん。離れた街に住む従姉妹の家庭教師を引き受けて、オンラインで授業を始めたことからカーンアカデミーを思いつたという、創業ストーリーが描かれています。

現在では、カーンアカデミーの動画は、累計16億回以上も再生されています。教育格差を解消する期待も寄せられており、ビルゲイツ氏やGoogle社も100万ドル以上寄付しています。

実際に私が2014年から1年間、世界中の学校を回っていた際にも、カーンアカデミーを使って学習している人によく会いました。以前紹介したグリーンスクールでも、自習の時間や宿題の教材として活用していたのを覚えています。

しばらくメディア上では見かけることの少なかったカーンアカデミーですが、新型コロナウイルスの影響により、再注目されています。学校が休校している期間でも学びを続けられるようにと、有志のボランティアメンバーが、カーンアカデミーの動画教材の日本語訳を進めているようです。

実際にカーンアカデミーを使ってみた

画像: 実際にカーンアカデミーを使ってみた

実際に、日本語バージョンのカーンアカデミーを利用してみました。登録は、英語を一切使わずに2~3分程度で可能です。

掛け算の基礎の授業を受けてみます。「毎日3つのドングリを集めるリスが5日で集めるドングリは全部で何個?」という、シンプルな問題を元に授業が進められました。

画像: かけ算の入門 youtu.be

かけ算の入門

youtu.be

カーンアカデミーの特徴としては、先生の顔や体は一切見えません。黒板に板書されるような形で、文字や図・写真などが書かれます。

実際に受けてみて感じたことがあります。それは「文化や教育制度の違いが、障壁になる可能性」があるということです。「論理は英語よりも、世界共通な言語である」などと言われますが、日本でもアメリカでもボリビアでも「1+1=2」です。国語や社会はともかく、算数や理科は翻訳さえすれば、コンテンツとして問題はないと思っていました。

しかし、動画を見て興味深い発見がありました。

「毎日3つのドングリを集めるリスが5日で集めるドングリは全部で何個?」

このような問題を見たら、どのような式を立てますか? 世界標準の数学では、「3×5」でも「5×3」でもどちらもよしとされています。しかし、一般的に日本の小学校の算数では「3×5」と教えることのほうが多いのではないでしょうか?日本では「掛けられる数」と「答え」の単位を揃える傾向にあるからです。一方でアメリカの小学校では、一般的に「5×3」と教えるようです。(実際にカーンアカデミーでも、この順番です。)

数学的には意味が同じなので、大人から見ると大した問題ではありません。中学数学を習得した人が見れば「へぇ、国によって違うんだ」と、少し興味深いという程度かもしれません。しかし、掛け算に初めて触れる小学生からすると、話は変わります。カーンアカデミーで習った順番と、学校の教科書に書かれている順番が異なることは、混乱を招くことになりかねません。

また、そもそも算数や数学で学んでいく単元の順番も、国によって違いがあります。たとえば、フィリピンの算数では、小学生のうちからπを使って円の面積を求めます。このように、教育制度や文化による違いは、意外な障壁となることがあります。

オンライン教育プラットフォームの今後

画像: オンライン教育プラットフォームの今後

カーンアカデミーに限らず、今後は世界規模で注目されていくオンライン教育プラットフォーム。日本に導入する場合は、言語の翻訳だけでなく、日本の教科書や教育指導要領に沿ったコンテンツに修正していくことも、新たに必要な観点になるかもしれません。

しかし、実際そこまで配慮してしまうと、単なる翻訳よりも作業量が激増してしまいます。今後もオンライン教育のプラットフォームの重要性が上がっていくようであれば、日本製のプラットフォームを作っていくことも重要でしょう。

一方で、カーンアカデミーの最大の強みは、サービスが完全に無料で活用できることです。それこそビルゲイツも寄付しているように、大掛かりな寄付によって成り立つ無料サービスは、日本よりも欧米のほうが進んでいます。経済的に月額有料サービスが活用できない場合でも、利用できるということは大きなメリットです。

また日本国内には、日本語指導が必要な外国人の児童生徒は3万人以上います。カーンアカデミーは、日本語以外にもさまざまな言語に翻訳されているので、日本語が堪能ではない子どもたちの学習を助けるということも期待できます。

不測の事態であらゆるリソースが足りていないコロナ時代、先生も保護者もすべてのコンテンツを自分で作るのには無理があります。カーンアカデミーはあくまでも一例ですが、ぜひ状況に合わせて活用できるリソースは活用してもらいたいと思います。

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