「ラーゴム(ちょうどいい)」な生活を送るための北欧のライフスタイルをご紹介する本連載。今回はスウェーデンやデンマークの事例をもとに、子どもの教養に焦点を当てます。0歳からティーンまで、子どもたちの好奇心を刺激するPodcastやYouTubeなどのデジタルコンテンツを紹介します。

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リアルな体験で子どもたちの好奇心をくすぐる

おうち時間の過ごし方として、家族でデジタルコンテンツを視聴する機会も増えていますよね。音楽をかけたり、映画やアニメでリフレッシュ、また教材を用いての学習など、楽しみ方のバリエーションは広がりつつあります。

それでは、日本以外ではどんなコンテンツが視聴されているのでしょうか。今回はスウェーデンを中心に、子ども向けのデジタルコンテンツ事情について紹介します。

着目したのは教養コンテンツ。対象年齢に応じてさまざまな工夫がみられました。大きな傾向としては、子どもだけでなく大人の好奇心も刺激するものになっているということ。一つのコンテンツで親子がそれぞれの立場で楽しめます。

その軸となるのは、リアルな体験です。子ども向けだからと丸めたりせず、大人にとっても知っておくべき内容やクオリティで提供しているところが特徴と言えます。

ではさっそく、具体的なコンテンツの中身を見てみましょう。

0歳から楽しめるPodcast番組

2017年10月にスタートした「Bebispodden(ベビスポデン)」は、0歳から2歳までの赤ちゃんを対象に作られた番組です(注)。スウェーデンの公共ラジオ局の子ども向けチャンネル内で提供されています。

(注)“Swedish radio release podcast for babies (and their parents))”
2017年10月9日,RadioAssistant
*リンク先は英語です

全部で20種類のエピソードが含まれており、動物の鳴き声、睡眠や食べることといった生活シーンなどをテーマにしています。内容はテーマに沿った音と単語を復唱する形で構成。簡単な単語が用いた解説もあり、言葉を理解しはじめた年齢の子どもや親も一緒に楽しめます。

画像: 「Bebispodden」公式ページ。右側にエピソードが並ぶ

「Bebispodden」公式ページ。右側にエピソードが並ぶ

タイトルにも擬音語や幼児語が並びます。赤ちゃん自身がこのリストから選ぶことはないかもしれませんが、親子で「モーモー聞こうか」と会話しているシーンが想像できますね。

ぜひ聴いていただきたいのですがスウェーデン語なので、いくつかエピソードを抜粋して紹介します。いずれも番組を音として聴くだけでなく、体を使ってリアクションすることがポイントになっています。

Gottegott gröt (おいしいおかゆ)

スウェーデンの子どもが大好きな、ミルク粥をテーマにしたものです。「口を開ける、舌でペチャペチャする、飲み込む。牛乳をかけて、砂糖をかけて」と食べ方の説明をしたり、食べることについて解説しています。

実際に食事するときにこのエピソードを聴いて、一緒に咀嚼したり飲み込むなどを体験してもらうことがオススメされています。

Brum tutut(ブルンブルン、プップー)

自動車や電車、バイクなどのいろいろな乗り物を題材に、運転のリズムやスピードについて知ります。踏切や警察などの交通ルールも登場。ここでも番組を聴きながら自分のおもちゃで遊びながら、音に合わせて動きを真似することを推奨しています。

2020年6月には、少し上の3歳から5歳を対象とした新番組「Trotspodden(トロッスポデン)」がスタート。Bebispoddenと比べると物語感が増し、単語数もアップ。テーマも「Jag vill inte(したくないもん)」など、子どもの習慣やよく口にするフレーズが中心となり、会話のテンポも速くなっています。

画像: 2020年6月にスタートした3歳から5歳向けの「Trotspodden」公式ページ

2020年6月にスタートした3歳から5歳向けの「Trotspodden」公式ページ

もはや新人研修並み。リアルな現場を知るコンテンツ

次に紹介するのは、小学生向けの教養コンテンツです。ここでは2つ取り上げます。いずれも専門的な職業に関わるもの。大人が見ても楽しめたり、参考になる内容になっています。

一つ目は、スウェーデンの公共テレビ局が提供する、本格的な職業体験シリーズ「Lilla Brandstyrkan(小さな消防隊)」です。登場する6名の子どもたちがインストラクターにより与えられた課外をこなしながら、シリーズ最後に適性テストをクリアすることを目指します。

画像: STV内の「Lilla Brandstyrkan」ページ

STV内の「Lilla Brandstyrkan」ページ

着火した物体に布をかけて手のひらで抑えながら消化したり、梯子車の重機操作してみるなど、課題は本物の消防士の新人研修並み。大人が付き添っているとはいえ、危険も伴います。子どもたちも真剣そのものです。途中で参加している子どもへのインタビューや休憩タイムを兼ねた雑談をはさむことで、視聴する子どもたちにもリアルな体験が伝わりやすくなっています。

もう一つ、YouTubeで配信されている「Barnens Blåljuskanal(子どもの技術職チャンネル)」のシリーズでは、専門性の高い技術職に関するスキルや機材にフィーチャー。警察官、消防官、沿岸警備隊や税関検査官などの専門家が、自らが日頃の業務や機材の使い方を解説します。

子どもにわかりやすく解説しているとはいえ、使われている言葉は普通に大人が会話で用いるレベルのもの。リアリティのある職業図鑑といった感じです。

新型コロナウイルス感染症に関するトピックスも2回取り上げられています。3月は新型ウイルス検査や防護服の使い方を紹介。また7月はパンデミック収束に向けて何に注意すべきか、専門家自身の言葉で視聴者である子どもたちにメッセージを送っています。

画像1: Coronaspecial www.youtube.com

Coronaspecial

www.youtube.com

新型コロナウイルス感染症の状況を正しく理解することは、子どもにとっても重要なことです。その認識は政治の世界でも同様。フィンランドやノルウェーと同様、スウェーデンでも子ども向けの記者会見を行いました。4月20日のオーサ・リンドハーゲン男女平等・差別問題対策大臣との会見の様子は、子ども新聞でも取り上げられています。

教養が自分で考える力や個性を育てる

今回紹介したのは、いずれも教養を身につけるためのデジタルコンテンツ。その中には、対象年齢となる子どもたちにとっては少し早いかなと思うようなものも含まれます。ここで以前の記事で紹介した、デンマーク・コペンハーゲンの「エクスペリメンタリウム」の子ども向けコーナーでの救命救急のワークショップのことを思い出しました。

画像: エクスペリメンタリウムで行われていた、幼児向けの人命救助講習

エクスペリメンタリウムで行われていた、幼児向けの人命救助講習

そこでは、3歳から5歳くらいの子どもたちが、「目の前にもし呼吸をしていない人を見つけたらどう対処すればいいか」というシチュエーションを想定し、応急処置の方法を学んでいました。心臓マッサージや人工呼吸、AED(自動体外式除細動器)の操作などを含む本格的なもの。講師は正しく理解しアクションできているかどうかを確認しながら、子どもと目線を合わせながら教えていました。

年齢的にはまだ早いかもしれないですよね。最初は真似事かもしれません。しかし、次第に子どもたちもその意味合いを理解し、自分の知識や経験へと変えていきます。それはPodcastやYouTubeなどによる教養コンテンツも同じです。自分で考える力や個性を育てていくためにも、教養や知識をよりリアルな体験につなげて理解するプロセスが重要であると感じました。

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