文字の読み書きができないと言われる障害「ディスレクシア」。その詳細はいったいどういったものなのでしょうか。鳥取大学名誉教授の小枝達也先生に聞いてみました。

文字を文字として認識できない「ディスレクシア」

画像: Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com
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「文字が読めない障害がある」ということを、有名なハリウッドスターであるトム・クルーズさんなどが、「ディスレクシア」とカミングアウトしていたりするので、耳にしたことがある人も少なくないと思います。

「文字が読めない」と言っても、事情や背景はさまざまです。たとえば、江戸時代以前の日本人の多くは、文字の読み書きを習っていなかったので、文字が読めませんでした。

しかし、ディスレクシアと呼ばれる障害は、それとは少し事情が異なります。最前線でディスレクシアの治療に取り組む、国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長・こころの診療部統括部長・鳥取大学名誉教授の小枝先生に、リモート取材でお話をうかがいました。

小枝達也先生プロフィール

1984年鳥取大学医学部医学科卒業。1993年オランダ政府奨学生としてフライ大学小児科へ留学。1996年鳥取大学医学部脳神経小児科助教授。1998年鳥取大学教育学部教授。2004年鳥取大学地域学部教授(改組に伴う名称変更)。2009年鳥取大学附属小学校校長併任(2012年度まで)。2014年鳥取大学地域学部附属子どもの発達・学習研究センター長併任。2015年国立研究開発法人国立成育医療研究センターこころの診療部長、鳥取大学名誉教授。2017年国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長(併任)。2018年国立成育医療研究センターこころの診療部統括部長(名称変更)。専門は小児神経学 発達障害医学。

資格:医学博士、小児科専門医、小児科指導医、小児神経専門医、子どもの心専門医など。

画像: 小一の100人に2人も 親も気づきにくい文字を認識できない学習障害「ディスレクシア」

小枝先生に聞く「ディスレクシア」とはなにか

画像1: 小枝先生に聞く「ディスレクシア」とはなにか

ーーディスレクシアというのは、どういった症状か教えてください。

ディスレクシアの方は、知的発達に遅れがなくても「あ」という文字を「あ」という音に変えることに時間を必要としたり「ねこ」という文字の固まりを「猫」という意味の固まりとして認識しづらい、また「いぬ」という「音」を「い」と「ぬ」という字に変換しづらいといった症状などがあります。文字を習っていないから読めないというものとはまったく異なります。

ーーどのようにしたら、親や周囲は気づけるでしょうか。

たとえばですが、5歳ほどになると文字で書かれた自分の名前などに好奇心をもつ子が多いのですが、そういったことに興味を示さなかったり、お手紙ごっこのような文字を使った遊びなどをやりたがらない、絵本を声に出して読みたがらないといったようなサインがあります。

ーー発覚しないケースもありますか?

知的な発達には遅れがありませんので、症状が軽いお子さんなどは、苦手なことを気づかれないようカムフラージュしてしまうこともあるかと思います。

ーー多くは、どの時点で親が子どものディスレクシアの可能性を確認できるのでしょうか。

小学校に入学する前の就学時検診でわかる場合も多いと思います。たとえば鳥取市や米子市などでは、すべての小学校で1年生に3回、音読の確認を行い、指導しています。東京都でも平成29年3月に読みの苦手さを評価し、指導するパンフレットを東京都教育委員会が作成しています。

画像2: 小枝先生に聞く「ディスレクシア」とはなにか

ーー小1の時点では、何%くらいがディスレクシアの可能性があるのでしょうか。

読み書きに困る子が2%弱くらい。しかし軽い症状の子どもは、実生活に問題ないほど、かなりよくなる子もいます。

ーー子どもがディスレクシアとわかったら、どうすればよいですか。

文字の読み書きに障害があると、テストや板書の文字を読むのにも通常の何倍も時間がかかってしまうため、学習についていけなくなってしまうといった問題があります。「人の何倍もやればできるのでは?」と思い、何度も書き取りをさせたりするのは、子どもにとっては苦痛なだけで、効果はありません。

世の中に知られていないのが、一番の問題

これだけ多くの子どもが抱える問題でありながら、問題として取り沙汰されていないのは一重に「ディスレクシア」という障害が、あまりにも知られていないということがあります。

本シリーズでは、引き続き「ディスレクシアは治るのか?」「どのように対処していけばいいのか」といったテーマについて、さまざまな専門家のお話を聞いていきます。「もしかしたら?」「専門家の意見を知りたい」といったご要望があれば、ここからお知らせください。できるだけ機会をつくって記事で紹介していこうと考えています。

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