再び影響力を増してきた新型コロナウイルスを巡って、学校や自治体の対応に注目が集まっていますが、教育現場は現状どのような事態になっているのでしょうか。実際にそこで働いている何人かにインタビューしてみました。

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自治体ごとや学校ごとによって方針が異なる

「今年の小学校の夏休みは、例年の半分以下」

「相次ぐ修学旅行中止の決定」

このようなニュースを、ここ1、2ヶ月で耳にされた方は多いのではないでしょうか?再び影響力を増してきた新型コロナウイルスを巡って、教育現場の対応に注目が集まっています。しかし、ネット上に流れる記事のタイトルは、情報が誇張されていたり、逆に省略されていたりするものです。

家族や親戚など身近な人が生徒や先生でもない限り、今の日本の教育現場の動きはなかなか掴みづらいものがあります。実はコロナウイルスの対応は、自治体ごとや学校ごとによって大きく方針が異なっています。

たとえば、小学校の夏休みの期間に関しても、9日〜40日と地区によって差が4倍以上のケースもあります。行政が公開している情報に、筆者の繋がりのある全国の現役の先生たちにヒアリングした現場情報を加えて、8月中旬最新の日本の教育現場の対応をお届けします。

夏休みの期間はどれくらい?

同じ公立小学校でも、自治体によって大きく違いがあります。文科省の資料によると、今年の公立小学校の夏休みは最短で9日間、最長で40日間。最も多い回答は16日間でした。

画像: 文科省の資料 より

文科省の資料より

夏休みが短い地域と、長い地域として、当てはまる地域例がこちらです。

  • 短い地域:北海道 札幌市の小学校
  • 夏休み期間:9日間(6年生) (1〜5年生は11日間)
  • 長い地域:鹿児島県 沖之永良部島の小学校
  • 夏休み期間:40日間

夏休みが短い地域としての代表例は北海道です。実は北海道はそもそも冬の積雪を考慮して、本州に比べると冬休みが長く、夏休みが短いです。それに加えてコロナウイルスの影響による休校期間が2ヶ月以上に及んだため、学習進度を取り戻すためにも、さらに夏休みの短縮が求められました。

画像: 沖永良部島の小学校 (地下さん撮影)

沖永良部島の小学校 (地下さん撮影)

一方、鹿児島県の離島である沖之永良部島では、夏休みは例年と同じく40日です。学校の全校生徒が少ないため、三密回避の対策もしやすく、1学期の休校期間はわずか1週間程度だったのです。

沖永良部島の小学校の先生、地下智隆さんにヒアリングしたところ「コロナウイルスの影響による授業進度の遅れは、現在ほとんど出ていません。今後、再び登校停止になった時に備えて、オンラインを活用した授業練習を行なっています」という回答でした。

授業進度の遅れはどの程度?

全国で小学校の登校再開が多く見られた6月ごろ、一例ですが、鹿児島市教育委員会が、休校に伴う授業の遅れは小学校で平均19時間、中学校で21時間というデータを発表しました。

8月中旬現在、上記のような遅れを取り戻すために、多くの学校が夏休みを短縮して、授業時間の補填を進めています。「夏休み短縮によって授業の遅れが取り戻せるかどうか?」に関する公の資料は見当たらないため、複数名の現場の先生に現場情報をヒアリングしました。

ある北海道の公立小学校の先生は、このように話していました。

「自分が勤めている地区では、通常45分の授業を35分に短縮してコマ数を増やすことで、例年の進度に追いつけるように取り組んでいます。2学期が始まるころには、なんとか追いつくことができそうです」

一方で千葉県の公立小学校で働くある先生は、このように回答されました。

「分散登校によって三密を避けながら授業をしたり、学校独自でYouTubeアカウントを開設して、教育用の動画配信を行ったりもしました。夏休みも例年の半分ほどに短縮しましたが、それでも2ヶ月以上の休校による学習の遅れを取り戻すには、今年度いっぱいかけて、ようやく追いつくかどうかぐらいです」

もちろん自治体による違いだけでなく、学校による違いや学級による学習進度の違いもあるでしょう。

文部科学省は、新型コロナウイルス感染症での休校長期化で生じた学習の遅れについて、複数年度で解消することを認めるという方針を採っています。萩生田光一文科相は5月の記者会見で、「できる限り年度内で終わらせていただきたいが、2倍速、3倍速で授業を進めたり、夏休みをなくしたり土曜日をフルで使ったりして数字の積み上げだけを目指すべきではない」と述べています。

修学旅行はどうなる?

7月22日からはじまったGo Toトラベル キャンペーン。あまり知られていませんが、実は修学旅行も割引対象に含まれます。しかしGo Toトラベルは、直前に東京都発着の旅行が除外されたように、あやふやな点が多いキャンペーンです。旅行は推奨なのか、自粛なのかどちらなのでしょうか。

通常の観光旅行でも難しい判断であり、教育要素も備えた修学旅行では判断がよりいっそう難しくなります。Go Toキャンペーンの対象にはなるもの、具体的な対応策は現場に委ねられる修学旅行は、教育現場においても判断が難しい存在のようです。

千葉県市原市の教育委員会は、8月11日に市立小中学校の修学旅行と宿泊学習をすべて中止すると発表しました。

一方で、このように教育委員会が方針を決定していない自治体もたくさんあるようです。全国の現場の先生にヒアリングをしても、「管理職がまさに対応を検討している途中」という回答が複数見受けられました。

今年度の教育実習の対応は

教員免許を取得する人にとっては一大イベントである教育実習。文部科学省は8月11日、新型コロナウイルスへの対応で学校現場が多忙化していることを踏まえ、大学での座学でも教育実習の単位を取得できる特例を設けたと発表しました。

発表から間もないため、現在は受け入れ先の学校側も、大学側も、明確な対応を打ち出していないところが多いようです。

このニュースを受けて、今年教育実習に行く予定だった日本体育大学4年生の水野光さんにインタビューすると、このように話していました。

「私の学校では、例年4年生の5月下旬ごろから教育実習がはじまりますが、新型コロナウイルスの影響で10月中旬に延期になりました。今も確実に実習が行えるという保証はない状況です。もしも現場での実習ができないまま、来年度から先生になるのは不安があります。今後もこのような事態は起こり得るかもしれないので、教育実習は、(大学)4年生だけでまとめて行うのではなく、1、2年生のころからもっと学校現場に携わる機会を増やしてほしいです」

最新情報を自力で調べることは大変

以上、新型コロナウイルスに対応する日本の教育現場の8月中旬現在の最新情報をまとめました。地域ごとに大きな違いがあり、刻一刻と状況が変わる、新型コロナウイルス関連の情報については常に最新情報を自力で調べることは大変です。

日々、教育関連の情報を1次情報としても2次情報としても集めている中から厳選しましたので、参考にしてください。

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