文字を読んだり音にするのに極端に時間がかかる学習障害「発達性ディスレクシア」について、国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長・こころの診療部統括部長・鳥取大学名誉教授の小枝達也先生と発達性ディスレクシア研究会理事長の宇野彰先生にうかがいました。

その他の【子どもが文字を読めない「ディスレクシア」だと気づいたら】はこちら

文字の読み書き障害「ディスレクシア」は治るの?ディスレクシア

文字を読んだり音にするのに極端に時間がかかる。「い」「ぬ」といった文字の集合を「犬」と把握するのが苦手などの症状がある「発達性ディスレクシア」。まずは前回から引き続き、国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長・こころの診療部統括部長・鳥取大学名誉教授の小枝先生に、リモート取材でうかがいました。

小枝達也先生プロフィール

1984年鳥取大学医学部医学科卒業。1993年オランダ政府奨学生としてフライ大学小児科へ留学。1996年鳥取大学医学部脳神経小児科助教授。1998年鳥取大学教育学部教授。2004年鳥取大学地域学部教授(改組に伴う名称変更)。2009年鳥取大学附属小学校校長併任(2012年度まで)。2014年鳥取大学地域学部附属子どもの発達・学習研究センター長併任。2015年国立研究開発法人国立成育医療研究センターこころの診療部長、鳥取大学名誉教授。2017年国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長(併任)。2018年国立成育医療研究センターこころの診療部統括部長(名称変更)。専門は小児神経学、発達障害医学。

資格:医学博士、小児科専門医、小児科指導医、小児神経専門医、子どもの心専門医など。

ーー発達性ディスレクシアは治るのでしょうか。

度合いにもよりますが、軽度〜中度の人ならかなりよくなり、実生活に大きな問題がない人も多くいます。

ーーディスレクシアは子育ての中で予防をすることなどは可能なのでしょうか。

ディスレクシアは育てられ方などとは関係ありません。ですので、育て方によって症状が出てしまったのではないか?といったことでは悩まないでいただければと思います。家族内発症がありますから、家族や親族などに読み書き障害、ディスレクシアの方がいる場合、早めに対応しておくといいかもしれません。

ーーありがとうございました。

小学2年生以上では、発達性ディスレクシアは40人学級に2〜3人

発達性ディスレクシアについての書籍『「うちの子は字がかけないかも」と思ったら』(ポプラ社刊)を執筆された宇野彰先生にも、克服や子育てで気をつける点などについてうかがいました。

宇野彰先生プロフィール

NPO法人LD・Dyslexiaセンター理事長、発達性ディスレクシア研究会理事長、ARWA(Association of Reading and Writing in Asia)日本代表。元筑波大学教授、元筑波大学附属桐ヶ丘特別支援学校長(併任)。医学博士・言語聴覚士。元国立精神・神経センター精神保健研究所治療研究室長。

ーー宇野先生の著書によると、日本の小学生全体のディスレクシアの割合は7〜8%とありましたが、ディスレクシアは克服できるのでしょうか。

「克服」を目標とすることで、苦しくなってしまうことがあると思います。親御さんが「大学に入れるでしょうか」と相談に来られることも少なくはありません。しかし、大学に入ることが人生の目標ではありませんよね。たとえば地図が読めなかったり、道を覚えられなかったとしても、目的地には、ゆっくりとでもたどり着けます。「地図を読めるように克服しなければ!」ということ以上に、どの道に向かって歩いていくかということを家族など話し合っていくことが大切だと思います。

​​※前回の記事の「100人に2人」の表記は、小学1年生における数値。7〜8%という数値は小学生対象となり、分母が異なります。

ーーディスレクシアの子どもを子育てする際に気をつけたほうがいいことなどあるでしょうか。

まずは、努力不足ではないので、読み書きに関して十分できないとしても叱らないでやってほしいと思います。それだけで、子どもたちは辛さからだいぶ解放されると思います。苦手なことについて期待や目標を高めにせず、がんばったことを誉めてあげてもらったほうがいいかと思います。

ーーディスレクシアとわかった場合学校や教育現場、行政には、どのような支援がありますか。

障害者差別解消法に基づき、要望があれば、試験時間の延長や、試験問題の漢字にルビを振ってもらったり、漢字テスト以外のテストで漢字で答えを書かなくとも減点しないというような支援が実施されます。通常の授業においても、法律に基づき支援をしなければいけないことになっています。しかし、まだ地域により温度差があるのが正直なところです。

ーー「もしかしたら発達性ディスレクシアかも?」というとき、どこで検査などをしてもらえるのでしょうか。

学校に”読み書きの習得度をテストしてほしい“と、まずは相談してみてください。

世の中に知られていないのが、一番の問題

これだけ多くの子どもが抱える問題でありながら、問題として取り沙汰されていないのは一重に「ディスレクシア」という障害が、「発達性ディスレクシア」として、あまりにも知られていないということがあります。

本シリーズでは、引き続き「ディスレクシアのトレーニング」「ディスレクシアと混同しやすい症状」といったテーマについて、さまざまな専門家のお話を聞いていきます。「もしかしたら?」「専門家の意見を知りたい」といったご要望があれば、ここからお知らせください。できるだけ機会をつくって記事で紹介していこうと考えています。

この記事が気に入ったら「フォロー」&「いいね!」をクリック!バレッドプレス(VALED PRESS)の最新情報をお届けします!

毎週最新情報が届くメールマガジンの登録はこちらから!

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.