文字の読み書きができないと言われる障害「ディスレクシア」。そのディスレクシアの子どもたちの読む速度が20%改善されたという論文が発表されました。医学博士である平岩幹男氏に話をうかがいました。

「読むトレGO!」での論文を発表

文字の読み書きに極端に時間がかかるなどの症状をもつ「発達性ディスレクシア」。小学生の40人クラスの2〜3人が直面する問題ながら、あまり知られていないのが実情です。

家庭でも子どもがトレーニングできるように、医学博士の平岩幹男氏が監修した「読むトレGO!」というプロジェクトで、読む速度が20%改善されたという論文が発表されました。平岩幹男先生にリモートにて取材し、詳しくお話をうかがいました。

平岩幹男

医学博士。Editorial board: Austin Journal of Autism and Related Disorder。

1976年東京大学医学部医学科卒業。三井記念病院小児科、東京大学医学部研究生を経て帝京大学医学部小児科助手から講師に。1992年戸田市立健康管理センター母子保健課長から参事・健康推進室長。2009年Rabbit Developmental Research開設(代表)。2012年-2019年国立成育医療研究センター理事。

専門領域:発達障害(自閉症)、乳幼児健診、思春期医学など。著作多数。

画像: 子どもの読む速度が20%改善! ディスレクシアに効く 「読むトレGO!」とは

世界ではじめて「音声認識」でジャッジできるトレーニング

ーー発達障害の外来で「読みの障害」をもつ子どもを診療してきた経験から、「読むトレGO!」というプロジェクトをはじめたとうかがいました。

私はディスレクシア専門ではなく、自閉症を中心とした発達障害に関わってきました。その中で、読みが苦手だったり、ディスレクシアとされる子どもたちにも出会ってきました。そこでよいトレーニング方法はないか?という声があり、出版社からトレーニングブックの企画が立ち上がって、「自分がやるしかない……」といった感じでスタートしました。

おかげさまで、合同出版から発売された「ディスレクシア発達性読み書き障害トレーニングブック」は7000部以上の売れ行きとなりました。

画像1: 世界ではじめて「音声認識」でジャッジできるトレーニング

ーー出版不況の中、7000部というのはかなりの数字ですね。

それだけ多くの子どもたちが悩みを抱えているのだと思います。今年は書籍「読むトレGO!」が発売となりました。

ーーNintendo Switchのゲーム版のプロジェクトでは、読みの速度が20%改善されたそうですね。

ディスレクシアのトレーニングで、ITを活用したものはいくつかあるのですが、おそらく世界ではじめて「音声認識」で正しいか正しくないかをジャッジできるトレーニングをつくりました。

文字の読みの苦手な子どもは、記憶などで読めない文字でもなんとなく、ごまかしてしまうことなどもあります。たとえば「東の空」という文字をみて、「東」という図形は方角のどれかだったなと記憶していたりするため、「みなみのそら」と読むような事象もあります。

音声認識エンジンを搭載したことで、正しく読めているか読めていないかをジャッジできるようになりました。また、論文発表でつかった音声エンジンと、最終商品のエンジンが異なるのですが、商品化されたエンジンでは、子どもの発音などのデータも収集し、さらに改良が加えられています。

画像2: 世界ではじめて「音声認識」でジャッジできるトレーニング

ディスレクシアは改善する

ーー20%の改善というのは、どのくらい画期的なことなのでしょうか?

残念ながらディスレクシアが改善すると思っている方は、ほとんどいないような状況です。ディスレクシアは障害であり、トレーニングする価値があると思っている人さえ少ない状況です。トレーニングの価値がないので、振り落としてしまってもよいというような傾向さえあります。そんな子どもたちが「読めるようになった」ということです。

画像: ディスレクシアは改善する

ーースマホやパソコンではなくNintendo Switchにされた理由は何でしょうか?

なぜ文字が読めないのかが世間に理解されないため、「文字を見るだけで怖い」という状況に追い込まれているような子どもが多いんですね。その中で少しでも「勉強っぽくない」環境をつくる必要がありました。できるだけ、ゲームのように見える工夫もしてあります。音声認識、ゲームの開発などで2年近くのプロジェクトとなりました。

ーー現在も外来の受診をされているということですが、そのうちディスレクシアの悩みで来られる方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?

年間約100名の初診を受けているのですが、2割はディスレシアに関連する相談です。この記事を見られた読者にも了解していただきたいのですが、紹介は受けておらず、予約のみとさせてもらっているため、なかなか予約がとれない状況となっていることをご理解ください。

ーーありがとうございました。

専門家に聞きたいことを募集中

これだけ多くの子どもが抱える問題でありながら、問題として取り沙汰されていないのは一重に「ディスレクシア」という障害が、あまりにも知られていないということがあります。

本シリーズでは、引き続き「ディスレクシアは治るのか?」「どのように対処していけばいいのか」といったテーマについて、さまざまな専門家のお話を聞いていきます。「もしかしたら?」「専門家の意見を知りたい」といったご要望があれば、ここからお知らせください。できるだけ機会をつくって記事で紹介していこうと考えています。

画像: 専門家に聞きたいことを募集中

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