最近、子どもが朝起きてこない……そんな心配をしている親御さんもいるかもしれません。ただそれは、もしかしたら単なる夜更かしではなく、心と体の成長過程で、登校や生活に支障が出る「起立性調節障害」かもしれません。専門家の先生に聞いてみました。

思春期全体の1割。約100万人(*1)が起立性調節障害

「夕方になると元気なのに、登校できないほど朝起きられない」という悩みをもつ保護者は少なくないかと思います。「うちの子は怠けているから」「夜遅くまでスマホやゲームをしているから」という理由だけでは片づけられない子どもたちも。それは、心と体の成長過程にある小学生高学年〜高校生にかけて、登校や生活に支障が出る「起立性調節障害」かもしれません。

*1 改定・起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応(田中英高・中央法規出版/2017/3/15 はじめに〜より)

朝起きられないのが病気?

画像: 朝起きられないのが病気?

起立性調節障害が広く知られはじめられたのは2000年代ごろから。ですので、それ以前の常識では「朝起きられないのが病気なんて……」と思われる方もいるかもしれません。

学校でも保健室の先生は知っていても、教師の認知率は40%ほど(*2)とも言われています。登校もできないような状態となる子からそれほどでもない子もいて、症状の重さはさまざまです。

そこで今回、起立性調整障害について、専門医師で成育医療研究センター総合診療科診療部長の永井章先生を取材しました。

永井章医師プロフィール

1989年 大阪医科大学卒業後、成育医療研究センター総合診療科診療部長

専門分野:小児科一般、小児、思春期心身症

*2 起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック(田中英高・中央法規出版/2017//3/15 P24より)

「怠け」や「頑張りが足りない」といった精神論とはまったく異なるもの

画像: 「怠け」や「頑張りが足りない」といった精神論とはまったく異なるもの

——不登校の中学生の3〜4割が起立性障害(*3)ということですが、それほどメディアなどで騒がれていない・知られていないのはなぜでしょうか?

小児科や学校の保健室の先生などでの認知率はかなり高いと思います。しかしながら、保護者の認知度は、まだまだ低いかもしれません。ただ診察に来られる方は、「朝起きられないから」といった症状で相談に来られる方もいますが、多くは「起立性調節障害かも?」と来られる方が多いので、認知率は上がっているのかもしれません。

*3 心身症の子どもたち (田中英高・合同出版・2014/12/25 P64より)

——小学生のうちから予防などはできるのでしょうか?

二次成長期に伴って起こることがほとんどのため、事前に予防などは難しいかもしれません。ただ「睡眠衛生」を整えておく習慣をもっておくことは、長い目で見ていいかと思います。

——朝起きられないのは「怠けているからでは?」と思う大人も多いのではないでしょうか?

起立性調節障害とは、体の呼吸、循環、発汗などを調節している自律神経機能のうち、体の姿勢変化による、血圧、心拍数などを調整メカニズムが破綻した障害であり、「怠け」や「頑張りが足りない」といった精神論とはまったく異なるものです。軽症であれば治療しなくても問題ない場合が多いですが、日常生活に支障が出るような子どもの場合は、適切な治療を受けないと悪化してしまい、長期の不登校などにつながることも少なくありません。

画像: 起立性調節障害のメカニズム( https://www.od-support.com/起立性調節障害-od-とは/odの病態-身体的メカニズム/ より)

起立性調節障害のメカニズム(https://www.od-support.com/起立性調節障害-od-とは/odの病態-身体的メカニズム/より)

起立性調節障害への対応

——まずは何科を受診するのがいいのでしょうか?

高校生になるまでは、小児科を受診することを推奨します。高校生の場合、循環器系の内科がいいかもしれません。

——起立性調節障害だとわかったとき、学校側はどうような配慮をしているのでしょうか?

実際の配慮として、「遅刻」「休み」「体育の内容」などを配慮しているケースはあるようです。

——学校の授業は午前中に集中していますが、起立性調節障害で朝学校に来れなかった場合、補修などのフォローはされているでしょうか?

個別に宿題を出すなどの個別の学習サポートにはなっているとは思いますが、それが起立性調節障害に沿っているかまでは、把握できていません。

——フリースクールを進めるというようなこともあるのでしょうか?

症状は一人ひとり違うので、フリースクールが向いているか向いていないかも、その子どもによります。症状が重い子どもにとっては、フリースクールを行く目標をもてない子どももいるかと思います。

——塩分を多めにとるとよいという情報がありますが、カップ麺などのジャンクフードでもいいのでしょうか?

たしかに子どもは、カップ麺やポテトチップスなどのジャンクフードが好きだと思いますが、やはり栄養バランスを考えた食生活を推奨します。

——大人だと朝に目が醒めないときは「熱いシャワーを浴びる」といったようなことがよく話題に出ますが、起立性調整障害の子どもに対してはどうなのでしょうか?

大人と子ども、とくに二次成長期、思春期の子どもでは、さまざまなことが異なります。また、シャワーにさえ行く気力がない子も多いかと思います。診察を受けて適切な対処をすることをオススメします。

——スマホなどを寝る前に見ないほうがいいでしょうか?

スマホをやめたからといって治るとは限りません。ただ、睡眠衛生を整える習慣づけをしておけば、たとえば、起立性調整障害が治ったころの習慣としても役立つかと思います。

大人になれば治ることが多い

——大人になれば、ほとんどの人が治るんですか?

はい。ほとんどのケースでは治るのですが、中には20代になっても朝起きが苦手さやフラフラするなどの症状が残る方も散見されるかと思います。

——同じ悩みをもつ保護者に向けてメッセージをいただけますか?

あれをしたらダメ、といった批判や批評をするよりも、お子さんに寄り添うのが大切かと思います。フラフラして起きられないといったことで、通学や生活に支障がありそうだと思ったら、怠けと決めつけずに医療機関で診察を受けさせて、お子さんをサポートしてもらえればと思います。

——ありがとうございました。

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