長年現代国語で教鞭を執ってきた出口汪先生は、自身が経営する学習教室で子どもを直接指導するうちに、子どもが抱えているある問題に気づきます。そして、それを解決するためにミュージカル教育を取り入れることにしました。いったいどういうことでしょうか。

多くの子どもたちは他者意識が芽生えていない

2019年に、西新宿に「出口式みらい学習教室」を開校しました。そこで私は2歳から12歳までの子どもを直接指導するという貴重な経験をしたのですが、これからのよう児童教育に関して思わず考え込むことが多々ありました。

比較的優秀な子どもたちが集まっているのですが、多くの子どもたちは、やはり他者意識が芽生えていません。せっかくプリントで論理を学習しても、うつむいて、小声でぼそぼそと答える子どもたちがほとんどなのです。耳を澄まして聞くと、正解を答えているのですが、相手に伝えるという意識が欠けているのです。文字を書くときも同じで、中には小さくて、読みにくい字を書く子どもがいます。

これでは何のために論理を学習しているのかわかりません。単に試験問題で高得点を取るためだけのためではなく、他者を意識し、論理的に考え、論理的に話し、論理的に書くことができることが本来の目的なので、やはり机上の学習だけでは不十分であることを痛感しています。

もう一つ気になることがあります。コロナ後、子どもたちはマスクをすることが習慣となってしまい、顔のほとんどを隠したまま授業を受けるようになりました。私も表情が見えにくく、そのために子どもたちの心がつかみにくいのです。おそらく、このような状態が長期にわたって続くと思われるので、子どもたちの顔の筋肉が衰えていくのではないかと危惧しています。

ミュージカル教育の副産物

画像: ミュージカル教育の副産物

そこで、この度ミュージカル教育を導入することにしました。

このミュージカル教育は当面ズームで行うことにしました。なぜなら、自宅で気軽に参加できること、全国の子どもたちが一緒に学べることなど、多くのメリットがあるからです。

さらには思わぬ副産物が生じました。子どもたちがマスクを外して、画面越しに生き生きとした表情を見せ始めたのです。授業では、子どもたちに嬉しい表情、悲しい表情、怒った表情、笑った表情などを作らせます。自宅で参加しているので、他の子どもたちの視線を気にすることなく、思いっ切り顔の筋肉を動かすことができます。プロの先生が指導するので、表情の作り方も学ぶことができるのです。

さらには嬉しい声、悲しい声、怒った声、笑った声など、これも他人を意識することなく、子どもたちは画面に向かって、思いっ切り声を出すことができるのです。ストレス発散にも効果的です。

正直子どもたちがこんなにも生き生きとレッスンの取り組むことができるとは、新鮮な驚きでした。表情を自在に作ることや、感情を込めて声を出すこと、そのために顔の筋肉や声帯を使うことは子どもたちのコミュニケーション能力を飛躍的に高めます。

また演劇には視点を変えて世界を捉えたり、想像力を豊かにしたりすることもできます。子どもたちはどうしても自分の主観で物事を一面的に捉えがちです。しかし、同じ場面でもあるときはいじめっ子の立場から、またあるときはいじめられっ子の立場から状況を捉えたりするのです。あるいは、動物の役になると、動物の視点から物事を想像しなければなりません。

さらには観客の視点から自分がどう見えるのか、自分の演技がどのように映るのかも考えなければならないのです。同時に俯瞰的視点も獲得することになります。もちろん幼児童には未だ高度な訓練は困難ですが、その第一歩を踏み出すことがとても大切なのです。

最も大事なのは「伝える力」

画像: 最も大事なのは「伝える力」

幼児期に音感や、リズム感、運動神経を鍛えることも大切です。これらは中・高校生になってからでは遅すぎるのです。ミュージカル教育はこうしたことも楽しみながら鍛えることができる、総合的な教育と言えるでしょう。さらには脚本を読むための読解力や、それを創作するための創造力、文章力も養成することができます。

そして、何よりもみんなで協力し合って一つの舞台を作り上げるときの喜び、達成感もこの時期に経験させておくべきです。

実は、私が最も重視するのは、伝える力なのです。他者を意識し、人前で堂々と歌ったり、踊ったり、演技をしたり、そうした経験を積んだ子どもたちは自分自身に自信を持ち、自分の考えや感情を人に堂々と伝えるための技術を習得します。当然クラスの人気者になるだろうし、表情が豊かで、自分の感情を表現できる子どもはとても魅力的です。

「出口式みらい学習教室」では、まず月に一回、ズームでレッスンを行います。実際に舞台を作るのではなく、ミュージカルを通して教育上の効果を期待するためのものです。その上で、さらに高度なレッスンを受けようとする子どもたちが、本格的な訓練を受けることになります。全国、どこでも受けることが可能なので、もしよろしければ、ぜひご参加ください。

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