日本全国にある大人も子どもも楽しめるサイエンスミュージアムを、実際にいろいろな博物館や展示会を巡っている筆者が紹介するこの企画。今回は東京ガスが運営する企業博物館「がすてなーに ガスの科学館」を訪れました。そこではガスの歴史から、最近とくに重要視されているSDGs関連の展示などがありました。

豊洲駅から約徒歩10分

東京都の湾岸エリアである豊洲は、関東大震災(1923年/大正2年)の瓦礫(がれき)処理から始まる埋め立てによって生まれた土地です。

1980年代後半(昭和末期)までは工業地域だったものが、1992年(平成4年)に本格化した区画整理により住宅地・商業地へ転換されました。2018年(平成30年)には、東京都中央卸売市場が築地から移転してきたことでも話題になりました。

このような比較的新しい場所だからこそ、地域一帯で利用する冷暖房の熱源と電気を効率的に供給する、コジェネレーションシステム(東京ガス豊洲スマートエネルギーセンターなど)を擁しています。

その豊洲地区の真ん中、豊洲駅(有楽町線/ゆりかもめ)から徒歩10分ほどのところに、東京ガスが運営する企業博物館「がすてなーに・ガスの科学館」はあります。

天然ガスの歴史

画像: 壁掛式草花飾付下向ガスランプ

壁掛式草花飾付下向ガスランプ

天然ガスが世界で初めて利用されるようになったのは1792年(寛政4年)のことで、イギリスでガス灯として用いられました。当時の日本は鎖国していたこともあり、国内では明治維新(1868年/明治元年)の4年後の1872年(明治5年)に横浜にガス灯が設置されたのが始まりです。

その2年後の1874年(明治7年)には東京の銀座にガス灯が設置されました。銀座には今でも当時のデザインを模した街灯(電気)が設置されています。

画像: ハンフレー65号ストーブ(1925年製)

ハンフレー65号ストーブ(1925年製)

当初はガスは主に灯りを得るために使われていましたが、1889年(明治22年)にはドイツからガスを燃料とするエンジンが輸入され、1902年(明治35年)にはガス式のかまど(加熱調理器)が登場するなど用途が広がっていきます。

これらは改良と発展が続き、現在でもガスエンジン発電機やガスコンロなど、日常生活や工業用を問わずさまざまな形で利用されています。

天然ガスの採掘方法

画像: 天然ガス採掘ピット

天然ガス採掘ピット

一般的には「天然ガス」もしくは「ガス」と呼ばれますが、「ガス(gas)」という言葉には、本来「気体」という意味しかありません。正しくは「炭化水素ガス」と呼び、炭素(原子)と水素(原子)が結合した化合物で、標準的な温度(常温)で気体の状態のもののことです。

天然ガス、石油、石炭は、3億年ほど前に生えていた植物が、長い年月をかけて地球内部の熱や圧力によって変化して生成されたものなので、化石燃料とも呼ばれています。天然ガスを採掘するには、500メートルから2000メートルもの穴(ガス井戸)をドリルピットで掘る必要があります。

画像: 芝生が敷き詰められた屋上

芝生が敷き詰められた屋上

現代の生活では、化石燃料が作られる時間を遥かに上回る早さで消費していることから、いつかはなくなる(枯渇)といわれており、従来採掘が難しかった堆積岩の地層(頁岩=シェール)から天然ガスを採掘する方法などが開発されています(通称:シェールガス)。

それにも増して大切なのは、持続的に社会が発展していくことなので、最近とくに重要視されている「SDGs(持続可能な開発目標)」についても注力して展示されています。

また、太陽光発電、屋上を緑化することで高温化を抑止、雨水をトイレの洗浄水に利用するなど、館自体がエネルギーの高効率利用を実証しています。

燃料電池とは

画像: 100kW燃料電池

100kW燃料電池

ところで、最近はガスから発電する燃料電池(東京ガスでの商品名エネファーム)が利用されるようになり、燃料電池(電気)自動車も登場しています。この館にも100kWという大出力のものが設置されており、発電される電気や発生する熱を空調などに利用しています。

燃料電池と呼ぶものの、火力発電のように燃焼させてタービンを回すわけではありません。天然ガスから化学反応により水素を分離した上で、水素と空気中の酸素から水を生成する化学反応を起こします。この化学反応で発生する電気(電子)と熱を利用するので、変換効率が高く、環境負荷が低いと考えられています。

画像: ユニバーサルデザインの体験展示

ユニバーサルデザインの体験展示

現在、多くの科学館では感染予防のために体験型展示をほとんど休止せざるを得ない状況です。その中でもこの館では、体験展示を重視されているとのことで、休止展示を最小限にするために体験ごとに素早くアルコール清掃をされていました。また、サイエンスコミュニケーター(科学専門学芸員)がとても気軽に話しかけてくれるので、ささいな質問も遠慮なくできます。

画像: 屋上からの晴海方面の風景

屋上からの晴海方面の風景

ガスミュージアムは東京都小平市に

ところで、ガスについて扱う博物館としては、同じく東京ガスが運営する「ガスミュージアム(がす資料館)」が東京都小平市にあります。こちらはまだ訪問できていないのですが、歴史に焦点を当てた展示になっているそうです。

今回は2020年(令和2年)11月26日午後に訪問しました。予約などは不要でしたが、変更になる可能性もあります。また、重ねてのお願いですが、COVID-19についてはもちろん、博物館の開館状況・入場制限等についても常に最新の情報を確認の上、適切な予防手段をとった上で、訪問いただくようお願いします。

基本情報

  • 名称:がすてなーに ガスの科学館
  • 住所:東京都江東区豊洲6-1-1
  • 公式サイト:https://www.gas-kagakukan.com/
  • 開館時間:10:30〜17:00(月曜日休館)
  • 目安見学時間:1時間程度
  • 入場料:無料

※開館時間などについては変更になる可能性があります。必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください。

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