「ケンブリッジ英語検定」をご存知でしょうか。変革の最中にある大学入学共通テストへの活用が検討されている英語4技能検定試験のひとつでもあり、100年以上の歴史をもつ国際資格です。

「新・学習指導要領」の目指す「読む」「書く」「話す」「聞く」の4技能を、総合的に評価する仕組みや制度があります。英語教育の低年齢化が進む昨今、保護者が子どもにできるサポートとは何か? ケンブリッジ大学英語検定機構の青山智恵さんにお話をうかがいました。

子どもたちの英語教育のあり方とは

平成29年・30年版として改訂された「新・学習指導要領」。小学校では2020年から、中学校では2021年度から、高校では2022年度から実施されていきます。今回の改訂で注目されたポイントのひとつが英語を中心とする「外国語教育」についてでした。

新たに文部科学省ではCEFR(国際基準)を参考に、これまでの「高等学校卒業段階でCEFR のA2 レベル相当(英検準2級 等)以上を達成した中高生の割合を50%以上にする」から達成目標をB1レベルに言及するなど、改善・充実する、抜本的強化を掲げています。

さらに大学入学共通テストへの「英語4技能検定試験」導入と子どもたちと英語教育をとりまく状況は変革の最中にあるといえるでしょう。「読む」「書く」「話す」「聞く」をどのように学ぶべきか。

今回は2020年6月、遠隔試験監督システム導入で自宅でも受検できる「リンガスキル」を開発した「ケンブリッジ大学英語検定機構」試験開発部門 日本統括、青山智恵さんにインタビューを行いました。

画像: 子どもたちの英語教育のあり方とは

幼少期から英語は独学、夫の赴任に同行し英国へ

――「ケンブリッジ英語検定」と英語教育に携わる青山さん、これまでのキャリアについてお聞かせください。

筑波大学を卒業前、米国に留職経験を経て、航空会社に就職しました。当時は競合他社を追い越そうと国際線にも大きな勢いがありましたから、自然と英語を使う機会も多かったですね。

1番長く経験した仕事はカスタマーサービスです。海外とのやりとりにテレックスで、お礼状やお詫び状を英語で書いたり、お客様へのフォローアップを行ったりしていました。

――もともと英語に関心があったのでしょうか。

そうですね。福岡・北九州出身なのですが…中学生のとき、ネイティブの英語に接する場として思い浮かんだのが、教会だったんです。宣教師と挨拶や簡単な会話とはいえ、日本語以外で言葉をつないだこと、まったく出自の違う方々とお話ができたこと、非常に楽しかった思い出です。英語も勉強するほど上達する感覚がわかりました。

「もっと勉強したい」と、大学では英語学を専攻したことも、今は役に立っています。回り回って、今の仕事につくとは考えもしませんでしたが(笑)

――大学3年生時には、留職のビジネスインターンシップを経験されたとのこと。きっかけや印象に残ったことを教えてください。

研究者の道に進むことはないと感じて、ビジネスマインドを持とうと思ったことがきっかけです。アイオワ州の旅行会社で約8カ月の間、Dubuqueという小さな町で、ビジネスインターンシップ&ホームステイを経験しました。

はじめての海外生活で、ホームステイ先はドイツにバックグラウンドがあるご家族で、夏になると同世代のドイツ人留学生がやってきました。

そのとき、「なぜ英語を学ぶのにアメリカを選んだの?」とその子に尋ねられました。「英語ならイギリスだ」と言うんです。それまでの「英語=アメリカ」の価値観で生きていたので、まさに目から鱗です。

画像: 幼少期から英語は独学、夫の赴任に同行し英国へ

――英語と言えばアメリカ、と日本に住んでいると自然と思い込みがちですね。

その後、夫の駐在で英国生活をスタートしたときに、非常にリンクした言葉です。ロンドンでは、英国以外の国の方と接する機会が多かったんです。「世界はなんて広かったんだ」と衝撃を受けました。

英語を共通語としてコミュニケーションがとれる国は、アメリカだけでなく、ヨーロッパ、イギリスもある。アジアですとシンガポールはもちろんですが、今だったら(アジアの)かなりの国で英語で交流できます。

これからを生きるうえで、英語がないとどうなってしまうのか。自分自身を含めても、不便には違いありません。自分の子どもにも、いろいろな世界を知ったほうがいいよ、と伝えています。

そして人と人とのつながりが生まれると、英語学習へのモチベーションも上がります。ですので、教員向けの英語教育のサポートを含め、「ケンブリッジ英語検定」を知ってもらうためにがんばっているという状況です。

100年以上の歴史

――英語の資格試験といえば、実用英語技能検定(英検)やTOEICの勉強が中心で、「ケンブリッジ英語検定」は初めて聞いた資格でした。

なかなか、イギリスに縁がないとご存知ないかもしれないですね。イギリスの名門、ケンブリッジ大学の一部門であるケンブリッジ大学英語検定機構が提供する英語検定で、世界をリードするエキスパートが研究・開発しています。

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私はバース大学の日英通翻訳修士号コースに入学する前に、IELTS(※)を受け英語力の証明として提出しました。入学後は、留学生は全員英語力を維持・向上させる目的で、「ケンブリッジ英語検定の対策授業」に毎週参加することが義務付けられていて、そのスピーキングの授業を受けていました。

※ IELTSは、ケンブリッジ大学英語検定機構が作問するテスト。ブリティッシュ・カウンシル、IDP: IELTS Australia とのパートナーシップにより共同運営されている

――100年以上の歴史をもつ資格検定だとうかがいました。

ケンブリッジ英語検定は1913年にはじまりました。最初の 4 技能英語試験を提供したわけですが、背景としては、欧州評議会(Council of Europe)が人、金、物が自由な交易、経済を支えるための人材を雇用するために、どれほどの言語の運用能力があるか「共通のものさし」が自然と必要とされたためです。

歴史的にもCEFRとともに開発されて、そのCEFRにマッピングされていると主張できる唯一の英語4技能試験です。人の成長のスパンに合わせて、レベル別にデザインされています。高校生のうちに、C1、最高クラスのC2レベルに到達すると、海外留学にストレートに入れる、かなり英語が使える人だと判断できます。

この枠組みの捉え方は、今や40カ国語以上に翻訳され、それぞれの国や地域において、その英語教育政策、カリキュラムに考え方が取り入れられています。受験者は、世界130ヵ国以上で年間およそ550万人に上ります。

――日本の新学習指導要領もそのひとつですね。現場ではどのような変化が起きていますか。

英語4技能を身につけさせるために、教室内外で先生ががんばっているわけですが、とくに話す力に、「発表」だけでなく「やり取り」が加わりました。

これまでの授業の中で、スピーキングというとイコール発表、英文を暗記して読む、覚えてアウトプットすることでした。これも表現力を育てる大切な領域ではありますが、相手が言ったことに瞬時に返すやり取り、これもスピーキングの要素の1つですよね。CEFRでは、最初からスピーキングは「発表」と「やり取り」に分かれています。

IELTSの試験時間は約2時間45分ですが、ケンブリッジ英語検定のB2レベルの場合は3時間30分かかります。(マルチレベルテストとレベル別テスト間の違いがあるので)すこし語弊はあるのですが、「in-depth」と言いまして、徹底的にレベルを計り、調べ上げることになります。そうすると「リーディングはできるのにスピーキングは芳しくない」ということが浮き彫りになってくるんです。

――なるほど、付け焼き刃的に英会話を身に着けてきたので、受験すると自分のレベルにかなりのショックを受けてしまいそうです(笑)

私自身も受験したときは、本当に「4方向死角なし」で、すべて丸裸にされた気分でした。もし思わしくない結果が出たとしても、自分の実力だと納得できる、非常に精度の高い試験です。またケンブリッジ英語検定は、生涯有効ですから、その分よい結果が取れれば、とてもよろこばしいことです。

――日本だと英語資格や受験勉強だけで英語学習をやめてしまう方も多いですよね。期間限定の資格もある中で、なぜ生涯有効なのでしょうか?

すべての生活が日本で完結してしまうため、英語学習が続かないことが今までもあったと思うんですよね。言語というのは、使わなくなれば廃るばかりです。

ケンブリッジからすると、語学教育は「生涯教育」が基本なんです。集中力のアップ&ダウンはあると思いますが、大前提となるのは日々の研鑽はもちろんで、継続してくださいね、というのが根底にあります。

大学入試が終わったからといって閉ざしてしまうよりも、学び続けることで、日本語以外とつながるチャンネルも増えると思います。今の時代、ネット環境も充実し、ボーダーレスじゃないですか。世界の新しいニュースにも、タイムリーにアクセスできるので、インフォメーションギャップをなくすこともできるでしょう。

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――学校を卒業して、終わりではなく「生涯かけて学ぶ」。そんな考え方を前提としている英語検定が存在していること、日本ででも広く知られてほしいなと思います。

日本人の弱いスピーキングテスト

――日本人は文法ばかりで、英語を話すのは苦手だと言われますよね。

英国バース大学でも、「ケンブリッジ英語検定」対策の授業がありました。覚える分は自主学習で、主な授業活動はスピーキングでした。私の世代でも、おっしゃるように文法中心に勉強していましたので、スピーキングの練習をほぼしておらず、とても大変だった記憶があります。

――「ケンブリッジ英語検定」は、どのようにつくられているのでしょうか。

ケンブリッジがつくっている試験だからこそ、すべてエビデンスベースです。人の成長に合わせて、言語学者、心理学者などの専門家が作成しています。たとえばヤングラーナーズ向けの試験では、児童心理に基づいてつくっています。

単語の暗記ではなく「英語って楽しいよね」という気持ちを大切にできるよう、テスト用紙は、とにかく彩りがあり、評価も数字ではありません。お子さんが見てもわかるように、レベルクリアごとに成績証明書にはケンブリッジ大学の紋章が濃く示され、その数で達成度がわかる仕組みです。

なので、保護者に向けるメッセージというより、お子さん自身が「これだけできた。次もがんばろう」と思えるよう、そんな子ども目線を大切にしています。

――試験の内容を具体的に教えてください。ケンブリッジ英語検定のヤングラーナーズ対象の試験は、受験者と試験官が1対1で行いますが、A2 Key以上のレベルのスピーキングテストでは受験者2名が同時に試験を受ける「ペア型」を採用されていますね。

ケンブリッジの専門家が、本来のスピーキング力を自然な形ではかる方法が「対面ペア型スピーキングテスト(以下、ペア型面接)」であると考えた結果です。受験者二人のペアの場合は対等な力関係で話せますが、受験者と試験官が1対1でスピーキングのテストをすると、どうしても試験官が上になって「測ってもらう」という力関係で話をしてしまいます。

それに、準備していたトピックだった場合、ある程度記憶しておいて、それを流暢につなげてアプトプットすれば、英語力を上に見せることができてしまう。しかし相手がいる場合、効率よく返す方法を見るので、その場の「瞬発力」がわかり、英語を話せるかどうかが非常に明確になります。

ランダムな「ペア型面接」ですが、受験者同士のスキルの差が影響するのでは、と質問を受けることがあります。

結論から言うと、レベルの差が不利に働くことはまったくありません。というのも試験官は相対評価ではなく「絶対評価」で行っています。会話のキャッチボールができているか。互いにコミュニケーションをとれているか。レベルにもよりますが、試験官の支援なく、2~3分の会話で結論に達した場合は、どちらの受験者にも満点をつけることもあります。

進む英語の低年齢化、英語教育の現状

――保護者が子どもの英語教育で注意するべきことはなんですか?

大きな特徴として、英語の低年齢化が進んでいることが挙げられます。日本のお子さんが英語4技能を身に着けるとすごい、と言われることもありますが、世界ではもっともっとすごいことになっています。

教育重視の保護者が東アジアにはたくさんいます。やはり現実問題として、雇用の機会が減ってくると、おなじパイを東アジアの人たちと大学卒業後とりあうわけですよね。

本人が海外へ進学したい、進出したいと希望を出したとき、今のままではレベルにギャップが生まれてしまいます。今までと同じように、日本にいてすべて完結する世の中であれば、心配し過ぎる必要はないでしょうが、ここ数年でも何が起るかわからない、不測の事態が続いています。

いま保護者がしっかりした目で見極めること

――保護者がどこまで子どもの将来をサポートできるのかは、英語がカギになりそうです。子どもたちが英語を勉強するのによい方法がありますか?・

1番簡単なのは小さいうちから、徐々に英語に慣れ親しんでいただくことです。中国では早い子は小学1年生から英語教育をスタートしていますが……やはり学校教育だけで質を担保するのは難しいとも感じます。

お子さんの性格にもよると思いますが、コツコツと積み上げて、いつまでに資格を取るといったふうに、自分で目標を立ててもらう方法がいいのではないでしょうか。

画像: いま保護者がしっかりした目で見極めること

昔は暗記の単語リストばかりでしたが、今はさまざまな種類の教材を無償で用意しています。AIがスピーキングテストをしたり、無償のアプリ「Quiz Your English」で実際に世界の人たちと文法問題で競い合うこともできます。

――他にも無料で英語を学ぶ方法はありますか?

もちろん中高生から一般の大人向けにも、模擬試験やスピーキングテストに役立つ模擬面接動画はホームページやYouTubeにもアップしています。日本人の傾向としては、筆記テストは出来るけど、スピーキングのレベルが合致していないことが多くあります。

保護者もYouTubeの模擬面接動画を参考に、お子さまのスピーキングのレベルをチェックしてみてください。なお、レベル別テストでどれを受けたらよいかわからないという場合は、「Test Your English(レベルチェックテスト)」がありますので、保護者も一度試していただくのもおもしろいと思いますよ。ホームページで無料で受けられます。

――最後に、英語教育に悩みをもつ保護者に、メッセージをお願いします。

「読む」「書く」「話す」「聞く」の4技能をバランスよく育成する英語教育の動きは、誰も止められないものです。保護者の皆さまがしっかりした目をもって、質のいい外部試験を早い段階で選んでいただければ、間違いはないかと思います。

我々の強みは、エビデンスベースであること。専門家、研究者とともにつくり上げた検定です。ご縁があれば、ぜひお試しください。どうぞよろしくお願いいたします。

ケンブリッジ大学英語検定機構

【参考】

ケンブリッジ英語検定機構では、日本国内において無料のオンライン学習ツールを提供しています。詳しくは下記を参考にしてください。

  • レベルチェックテスト:短時間でレベルチェックができるオンラインテスト
  • Write & Improve(ライト&インプルーヴ):英文を入力すると文法や単語のスペルが正確か、トピックにちゃんと関連した英文を書いているか等をたった数秒で判定できる最新ツール
  • Speak&Improve(スピーク&インプルーヴ):音声ロボットの「サンディ」に話かけ、自動フィードバックがもらえる無料のオンラインサービス
  • 無料アクティビテ:所要時間は5分以内から10分以上のものまで175種類以上のアクテビティからサンプル問題にトライできるオンラインツール
  • 学習アプリ(ゲーム):Cambridge Assessment Englishが開発に携わる学習アプリ
  • その他・LINEスタディアカウント:「ケンブリッジ英語検定」を「友だち追加」することで、LINEアプリで気軽にケンブリッジ英語検定の情報にアクセスが可能
画像: 「外国語教育」はどう変わる? 「ケンブリッジ大学英語検定機構」青山智恵さんに聞く、英語との付き合い方

【参考文献】

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