日本全国にある大人も子どもも楽しめるサイエンスミュージアムを、実際にいろいろな博物館や展示会を巡っている筆者が紹介するこの企画。今回はお正月らしく、箱根のジオミュージアムを訪れました。そこでは箱根山の火山のしくみについての展示などがありました。

地球学的な価値をもつ地域として認定された「箱根ジオパーク」

富士山の東南にあたる、神奈川県西部の箱根周辺は、地球学的な価値をもつ地域として、「箱根ジオパーク」に認定されています。新宿から小田急ロマンスカーに乗ると、1時間半ほどで有名な温泉地でもある箱根湯本に到着します。

画像: 地球学的な価値をもつ地域として認定された「箱根ジオパーク」

箱根湯本からは箱根登山鉄道に乗り換え、最大傾斜80パーミル(1,000メートル進むごとに80m登る=約4.6度)という鉄道にとっては急角度で登っていきます。鉄の車輪とレールの摩擦で走行する一般的な鉄道(粘着式鉄道)では、傾斜が大きすぎると力の分解(分力)によって摩擦力(粘着力)が減ってしまい車輪が空転(空回り、スリップ)してしまいます。

80パーミルは国内最大ですが、それでも強羅まで登るには角度が足りないので、ある程度登っては、逆向きに上るのを繰り返す、スイッチバックと呼ばれる方式で登っていきます。

画像: 箱根登山鉄道車内から見た箱根湯本方面

箱根登山鉄道車内から見た箱根湯本方面

箱根登山ケーブルカーとロープウェイ

箱根登山鉄道終点の強羅(ごうら)からは、さらに箱根登山ケーブルカーに乗り換えて、早雲山を目指します。ケーブルカーの車体には動力(モーターなど)がなく、1編成2両の2編成を長い鋼鉄製ケーブルで結び、早雲山駅にある巻上機でケーブルを巻いて動かしています。

最大傾斜200パーミル(1,000メートル進むごとに200m登る=約11.2度)となりますが、同じ重さの2編成をケーブルの両端につないで交互に上げ下げして、動かすのに必要なエネルギー(電力)を最小化しています。この方式は、昔の井戸で使われた「つるべ」に似ているので、つるべ式とも呼ばれています。

ケーブルカーの終点である早雲山からは、さらにロープウェイに乗り換えて、大涌谷を目指します。ロープウェイもゴンドラには動力がなく、1本の長い鋼鉄製ケーブルを輪になるように接合してあり駅にある巻上機でケーブルを巻いて動かしています。ゴンドラの上の握索機という部分でこのケーブルを掴んだり離したりすることで動きを制御できるので、乗り降りが容易になっています。ケーブル全体にゴンドラが分散させて全体の重量バランスを取って動かすのに必要なエネルギーを最小化しているのは、ケーブルカーと同じ考え方です。

画像: 早雲山駅ロープウェイ乗り場

早雲山駅ロープウェイ乗り場

ロープウェイの大涌谷駅手前の谷が箱根の温泉供給源となっている大涌谷で、たくさんの蒸気があがっているのが見えてきます。ここでは仙石原で汲み上げた水を水道管によって導いて、地中から吹き出している高温の蒸気と混ぜ合わせて、温泉水としています。この蒸気は火山(性)ガスで、硫黄成分を含んでいるので、ゴンドラの中でも、いわゆる卵の腐ったような匂いを感じます。

画像: 大涌谷(右奥に見えるのは富士山)

大涌谷(右奥に見えるのは富士山)

箱根ジオミュージアム

終点の大涌谷駅を降りて、温泉卵やお土産物店がある建物に向かうと、「箱根ジオミュージアム」に到着です。この建物は人が沢山いるのが2階で、手前側の1階に若干こぢんまりとした入り口があります。

画像1: 箱根ジオミュージアム

箱根ジオミュージアムは2014年(平成26年)4月17日に開館したのですが、実は2015年(平成27年)5月6日から2016年(平成28年)7月25日までの450日間にわたって臨時休館していました。

これは火山活動が活発化して、2015年5月6日に噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)に引き上げられたのが原因です。その後、2015年6月29日には観測史上初めて小規模噴火が起こり、警戒レベル3(入山規制)に引き上げられました。

画像: 地層のはぎとり標本

地層のはぎとり標本

地球では常にプレートが動き(プレートテクトニクス)、プレート同士がぶつかる部分では、どちらかが沈み込んでいます。この際に発生する高温が火山のマグマの熱供給源となるほか、造山運動(地面の隆起により山ができる・高くなる)の原因だと考えられています。

地球誕生46億年からすればごく短い期間である1万年以内に噴火した火山や、現在噴火などしている火山は「活火山」と呼びます。活火山にあるミュージアムだけあって、展示されている標本も新しいものでは2020年6月に更新されていました。

画像: 硫黄標本(2020年6月8日展示更新)

硫黄標本(2020年6月8日展示更新)

箱根関所

ところで、関所(検問所)の中で、最も有名なものの一つが箱根関所です。山と湖に挟まれていて道になる場所が限られたこの場所は、関所の設置場所として理想的です。ところで、この芦ノ湖も、元々あった火山が水蒸気爆発と火砕流を起こして崩壊して出来た窪地(カルデラ)に水が溜まって出来た、カルデラ湖です。

画像: 箱根関所

箱根関所

このように風光明媚な観光地で温泉地でもある箱根は、火山をはじめとした地球の活動によって形成された場所で、科学的な興味が尽きない場所となっています。

今回は2020年(令和2年)12月7日に訪問しました。予約等は不要でしたが火山活動の状況によっては休館になる可能性もあります。また、重ねてのお願いですが、COVID-19についてはもちろん、博物館の開館状況・入場制限などについても常に最新の情報を確認の上、適切な予防手段を採ったうえで、訪問いただくようお願いします。

基本情報

  • 名称:箱根ジオミュージアム
  • 住所:神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251
  • 公式サイト:http://www.hakone-geomuseum.jp/
  • 開館時間:午前9時〜午後4時 (年中無休)
  • 目安見学時間:30分
  • 入場料:100円
  • 名称:箱根関所
  • 住所:神奈川県足柄下郡箱根町箱根1番地
  • 公式サイト:https://www.hakonesekisyo.jp/
  • 開館時間:3月1日~11月30日 午前9時〜午後5時 / 12月1日~2月末日 午前9時〜午後4時半(年中無休)
  • 目安見学時間:45分
  • 入場料:大人500円 / 小人(小学生) 250円

※開館時間などについては変更になる可能性があります。必ず公式サイトで最新の情報をご確認ください

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