約2年にわたり、フィンランドの教育、とくに小学校の低学年にフォーカスを当てて記事を書きましたが、今回が最終回となります。最終回は、フィンランドの小学校の“音楽”“アート”、そして“クラフト”について共有します。

フィンランドのコロナ禍の現状

フィンランドでは、最近になってウイルス感染状況が悪化し3月8日から“ニュータイプ”のロックダウンがスタートしました。3週間の間は、レストランなどは完全閉鎖を命じられています。

(そのため、フィンランドでは“ビジネスをする権利”に関する一部の法律を改正したそうです。)

そして、中学校以上は完全にオンライン、小学校まではこれまで通りのオフラインの学びとしました。実はフィンランドは昨年の同時期にもロックダウンを実施しており、その際は小学校もオンラインになっていました。特に小学校のオンライン授業では、PCの有無・ネットワーク環境・保護者のサポートによる学びのバラ付きが目立ちました。

その経験を踏まえ“小学生までは、オンラインにすると教育を受ける権利の平等性が保たれない”と判断し政府は今回のロックダウンでは、小学校のオンライン化を見送ったとのことです。

Music 音楽

The task of the subject of music is to create opportunities for versatile musical activities and active cultural participation.

「音楽」を学ぶ目的は、歌を歌う・楽器を演奏するといったことに加え音楽を通した文化活動への参加にあります。

また多様な文化を背景とする音楽に触れ、音楽に込められた多層的な意味を解釈することは子どもの感受性や知性を育むうえで重要だとされています。

特に小学校1、2年生の段階では、(数学や他の教科と同じく)音楽に対する自分のポジティブなイメージを育むために、「音楽に触れて楽しい」「お友だちと一体感が得られる」といった感情をもてるようなアクティビティを通して音楽を「表現手段の一つ」として捉えることが重視されています。

音楽は感情や個性との繋がりが強く、歌うことや演奏することを強制されると子どもはネガティブな気持ちになってしまいます。フィンランドのある小学校の5年生(思春期の入り口に立っている子どもたち)の音楽の授業ではこんな光景に出会いました。

2016年当時、日本で流行っていたピコ太郎さんの”PPAP”の動画を先生が何回もループして流していました。最初は“聴いているだけ“”観ているだけ”の子どもたちが、次第に歌詞を口ずさみ、最後は身体を動かして音楽を楽しんでいました。もちろん、”PPAP”は音楽の教科書に載っている楽曲ではありませんが、子どもの興味やトレンドに“合わせて”、まずは“触れて”、子どもの気持ちがノッてくるまで“待って”、「音楽を楽しむ」という目的を達成するフィンランドらしい授業をみることができました。

Visual Arts & Craft(アートとクラフト)

フィンランドでは、小学校1年生から“Visual Arts(視覚的アート)”と”Craft(工作)”と分かれた科目があります。もちろん、相互に関連性が強いため、1つの作品が両方の科目の目的を有していることが多々あります。

Visual Artsでは、絵を描く技術を磨くことだけではなく プロの作品やお友達の作品から多様な文化背景を感じとり感受性を磨くことや、アートを通じて自己表現をすることで自己肯定感を育むといった学びの狙いが掲げられています。

また、フィンランドでは実際の生活の中でも自分で家具を作ったり自分の住む家まで作ってしまう人も珍しくないほど自分で使うモノを自分で作り、直しながら大切にしていくことが文化の中に根強くあると感じています。

そんなフィンランドでは1年生の頃から簡単な木工に取り組んだり、縫い物(ある場所では、保育園でも縫い物することがあると聞きました)に挑戦したりと早くからモノ作りの学びを通して、(用途や使う人の好みに配慮した)デザイン、そして(材料や道具を使いこなす)スキルを身につけ、自分が使うものを自分で作ることができる、という自信を育んでいきます。

ここで、フィンランドの小学校で見たアート・クラフトに関連する作品を紹介します。

一歩を踏み出すために

これまで、フィンランドの教育や価値観についての記事を読んでいただき、ありがとうございました。日本には「フィンランドの教育はすばらしい!」と憧れをもつ方も多くいらっしゃると思いますが、カリキュラムを読み、現場の子どもと触れたり先生と話をする中で見えてきたのは、決して“フィンランドの教育メソッド”的なものは存在しないということです。

教育の目的、各科目の“学びの狙い”を読んでも、とくに珍しいことは書いておらず、子どもが将来に向かって自信をもってスキルを身につけていくために何が必要か、がていねいに編み込まれているものだと個人的に解釈しています。

今の日本の教育システムや教育を取り巻く価値観に不満を抱いている方もいらっしゃるでしょうし、「海外ではどんな教育をしているのだろう?」と外に目を向けることはとてもいいことだと感じるのですが、まず目の前にいる子ども(たち)が何を感じて何を必要としているのかをみて、いま一緒にできることをしてみるということ。この一歩踏み出すために、これまでの記事が貢献できたらうれしく思います。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.