世界にはインフラ整備の不十分な国がまだまだたくさんあります。目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」では、インフラ整備と産業の発展がテーマ。日本はどんな支援をしているのでしょうか。

「インフラ」の遅れは開発途上国だけの問題ではない

目標9のテーマは「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」です。「インフラ」「産業の発展」「イノベーション」の3つをキーワードに構成されていることがわかりますね。

インフラとは日本独自の略語で、英語ではインフラストラクチャですが、これは「下支えするもの」「基盤」という意味になります。

インフラと聞いて思い浮かべるのは、水道、電力、ガスといったライフライン、あるいは、通勤や買い物に欠かせない道路や鉄道のような交通インフラ設備でしょうか。すでにインフラが整った環境に身を置く私たちは、どちらかというと生活のための基盤という印象を抱くかもしれません。しかし、目標9では、インフラ整備は産業の発展に不可欠である、とはっきり示しているところがポイントです。

開発途上国では、きれいな水が出る水道はもちろん、電力や衛生施設、道路や情報通信施設などの基礎的なインフラが、いまだ整備されていないのが現実です。インフラが整うことで地域の製造業が発展すれば、そこに雇用が生まれる……のは当然なのですが、もし製造業で1件の雇用が生まれると、別の部門で2.2件の雇用を生み出す雇用乗数効果(※)があるとされています。

国際連合広報センター

裾野産業と呼ばれる、膨大な数の生産者を抱える自動車産業などを、イメージするといいのかもしれませんね。

画像1: 「インフラ」の遅れは開発途上国だけの問題ではない

インフラ整備の遅れは開発途上国だけの問題でしょ? と見て見ぬフリをしてはいないでしょうか。そうした途上地域が立ち遅れているそもそもの原因は、貧困や紛争。誰かが手を差し伸べることが必要です。日本も戦後、外国からの援助を受け今に至っているということを、再認識しておくべきかもしれません。開発途上国の人々は今なお、先進国からの支援を必要としているのです。

では、日本はどのようなやり方で支援をしているのでしょうか?。たとえば、スリランカにおけるLNG(液化天然ガス)導入実現プロジェクトがあります。日本、インド、スリランカの3カ国で行っているインフラ建設で、スリランカにおいては初の試み。天然ガスは石油や石炭のような化石燃料とくらべて、燃やした時に発生する二酸化炭素(CO2)の排出量が少ないことが特徴です。クリーンで環境に優しいエネルギーは、スリランカの経済発展に寄与すると期待されています。

画像2: 「インフラ」の遅れは開発途上国だけの問題ではない

また、日本のJICA(国際協力機構)と複数の日本企業は、東アフリカのケニアで地熱発電の開発に絶大な貢献をしているそうですが、こうしたことはあまり知られていないようです。日本の地熱発電の技術は世界の中でもトップクラスとされ、ケニアは今や、国内のすべての発電量のうち85%を地熱発電と水力発電でまかなうほどの、再生可能エネルギー大国となっています。

他にもアジア地域での水処理技術の展開を行ったり、新興国の金融インフラを援助したりなど、具体的な支援例は増え続けています。

「産業の発展」はどこにつながるか

画像1: 「産業の発展」はどこにつながるか

生産したり、加工したりといった製造から、産業化は始まります。製造業従事者の数がどんどん増える過程を通った国は、その後目覚ましい発展を遂げるとされ、これは日本の近代史を振り返ってみれば大きくうなずけるものがありますよね。SDGsでは、雇用が増えて経済が潤ってくれば、貧困の解消にもつながる、という認識を元に目標が設定されています。

産業と聞くと国や企業のための目標で、個人には関係ないのかな? と思いがちです。しかし目標9の産業の発展は、SDGsの目標のうち目標8「働きがいも経済成長も」や、目標2「飢餓をゼロに」、それに目標1「貧困をなくそう」、あるいは目標11「住み続けられるまちづくりを」など、他のゴールとも密接にリンクしているのです。

画像2: 「産業の発展」はどこにつながるか

SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の5つのターゲット

1. すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靭(レジリエンス)なインフラを開発する。
2. 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。
後発開発途上国については同割合を倍増させる。
3. 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
4. 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。
全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
5. 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとする全ての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。
a.アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。
b. 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
c. 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネットアクセスを提供できるよう図る。

目標9のテーマの中にある「レジリエントなインフラ」とは、もし損なわれても速やかに復旧できるインフラ整備、という意味だとか。先進国におけるインフラ設備の老朽化も進んでおり、日本も例外ではありません。インフラの改良、産業改善は私たちにとっても大きなテーマですね。

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