
子ども向けのプログラミング本が多数出ていますが、中でも、子どもに読ませたい本を実際の親の立場から紹介します。第1回は「ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング」です。
タイトル | ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング |
原作 | リンダ・リウカス |
翻訳 | 鳥井雪 |
出版社 | 翔泳社 |
価格 | 1994円 |
今回選んだ本「ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング」
2020年度から小学校で必修化される「プログラミング教育」。このニュースを知ったとき、「え、うちの子どもも、学校でゲーム作ったりするの!!??」と、驚かれたお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。
これを書いている私も、プログラミングというと、パソコンの黒い画面にアルファベットや記号などを打ちつけている…というイメージがあり、「これが小学校の必修科目に新しく加わるのか??」と驚いた記憶があります。
でも、よくよく調べてみると、この度のプログラミング教育必修化で重視しているのは、「“プログラミング的思考”を身につけること」なんですよね。
そもそもコンピューターは、何を、どの順番でやるのかを、明確に指示しなければ、思うように動いてはくれません。この“コンピューターを正しく動かすために論理的に考えていく力”こそが「プログラミング的思考」であり、これを養うことが小学校のプログラミング教育で重視されること。
そして、今回取り上げる『ルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング』は、まさにこの「プログラミング的思考」を身につけるのに効果的な知育絵本なのです。
女の子でも親しみやすい絵と世界観
主人公は「ルビィ」という名の女の子。留守中のお父さんが残した手紙をきっかけに、“宝石探し”の冒険に出かることに。でも、手紙には「宝石を探す」という目的は書いてあっても、どこにあるのか、どうやって探したらいいのかは書いてありません。ルビィは、自分で考えながら、宝石探しの冒険をスタートさせます。
この絵本は、こんなちょっとワクワクしてきそうな設定の中、ルビィの「考え方」や「行動」を通して、「プログラミング的思考」が養えるように物語が作り込まれています。子どもたちは、ルビィと一緒に冒険しながら、プログラミング的思考を養っていくことができるようになっているのです。
プログラミングの知識がゼロだと、ちょっとわかりにくい!?
ただ、正直物語自体は、感動するわけでも、笑えるわけでもありません。これは、私自身がはじめて読んだ時がそうだったのですが、どうも話がストンと落ちてこないというか、何を言わんとしているのかがピンとこないのです。
でも、この本のいいところは、前半の物語に対比させる形で、後半に10のアクティビティ(練習問題)が盛り込まれているところ。練習問題を解いた上でまた物語に戻ることで、ぐっと理解度が増すのです。
また後半の各アクティビティには、「おどうぐ箱」という大人向けの解説文もあり、親にとってはこれが非常にわかりやすい!大人がまずそこを読み、「ああ、そういうことだったのね、そこが大事なのね!」と理解した上で、子どもをサポートしてあげると、子どもの理解度もぐっと深まるのではないでしょうか。
繰り返し読むことで理解を深めていける本
フィンランドの女性プログラマーが原作を書き、すでに世界15カ国以上で大反響を巻き起こしているというこちらの知育絵本。正直、まったくプログラミングについて知識のない親子であれば、最初は読むのが苦痛かもしれません…(私がそうでした、笑)。
でも、物語を読み、アクティビティをやり、また物語に戻る。これを何度も繰り返していくことで、プログラミング的思考が養われる、そんな絵本であるように感じました。
それから、この絵本の強みのひとつに、カラフルでかわいらしいイラストがあると思います。
公式サイトにも、「とくに5歳くらいからの子どもにオススメです!」とありますが、子どもは絵に注目しますから、物語自体は理解できなくても、何かしら印象に残るものがあるはずです(ちなみに我が家の4歳児の感想は「宝石がキレイだった!」でした、笑)。
小学校入学前のお子さんでも、ひとつでもお子さんの興味を引くものがあれば、繰り返し読んであげるのがよいかもしれません。
読み聞かせるうちに、成長とともに興味の範囲が広がり、理解度が増し、気がついたらプログラミング的思考が身についていた!なんて素敵なことが、起こるかもしれませんよ。