南あわじ市が高齢者に向けたスマートフォン普及を推進する施策について

南あわじ市が高齢者に向けたスマートフォン普及を推進する施策について

その推進業務を請け負う株式会社グローバルキャストと事業主体の南あわじ市役所様にインタビューさせて頂きました。

個人・法人向けに最適なサービスを提供する株式会社グローバルキャスト。2021年6月1日(木)より、「高齢者デジタル化推進事業支援業務」を受託し、高齢者に向けデジタル機器活用の推進を行っています。

これまで培ってきたマーケティングソリューションのノウハウを活かし、スマートフォンの基礎講座を高齢者に向けて開催。現在でも説明会などの取り組みを行い、高齢者にインターネットを身近に感じてもらうための活動を行っています。

今回は支援業務を請け負った背景や苦労したエピソードなどを伺ってみました。

まず貴社の事業内容についてお伺いできますでしょうか。

阿部様:当社は、コンシューマー営業部と法人営業部に分かれ、それぞれ役立つサービスをお客様に提供している企業です。コンシューマー営業部では、個人のお客様向けにインターネット回線をはじめ、家庭に必要なインフラサービス「電気」「ウォーターサーバー」など、の提供をトータルサポートしています。コンシェルジュとしての役割を担い、生活を豊かにするご協力をさせて頂いています。

法人営業部に関しては、店舗向けに困っていることを相談頂き、問題解決に向け様々な提案をさせて頂くサービスを展開。主にインターネット回線などの通信インフラを整えたり、電気代を安くしたいというお客様の要望に応えたりさせて頂いております。

なるほど。お客様に寄り添う形で、幅広くサービス展開されているのですね。

阿部様:そうですね。訪問販売で培った経験としては、お客様に信用して頂くのが第一だと考えています。

他にも集客のお手伝いをさせて頂いたり、トラブルが発生した際には弁護士のご紹介などの提案をさせて頂いたりするのが、わが社のサービス内容です。

ありがとうございます。様々な事業を行われていると思いますが、サービスを提供する上で大切にしている部分があれば教えて頂けないでしょうか。

阿部様:良い商品を提供するという心構えは当然持っていますが、事業のはじまりが訪問販売ということもあり、一軒一軒丁寧に訪問させて頂き、お客様ひとり一人にサービスの魅力を伝えることが大切だと考えています。

営業員ひとり一人がお客様に信頼してもらった上で、納得頂けるサービスを提供するのが重要なのです。

お客様を大切にされていることがよくわかりますね。今回、南あわじ市の高齢者向けデジタル活用推進事業を請け負われたということですが、請け負った背景などを教えて頂けないでしょうか。

阿部様:大阪オフィスのメイン事業として株式会社オプテージ様のインターネット回線「eo光」の訪問販売を6年前から営業させて頂いており、その繋がりから南あわじ市で運営しているケーブルテレビの民間化にかかるお手伝いの話を頂いたのがきっかけでした。

テレビの難視聴地域が多い南あわじ市では、アンテナで地デジ放送を直接受信できないエリアが大多数を占めており、多くのご家庭では、市が運営するケーブルテレビを通してテレビをご覧になっていました。
しかしながら、建設後20年を超える設備もあるなど老朽化が進んでおり、近い将来必要になる設備更新に莫大な費用が掛かってしまう。


このような背景の中、南あわじ市では民間のeo光サービスを活用する方向へ舵を切り、利用者をeoサービスへ移行させることとなりました。その加入者を移行させる手続きのお手伝いをすることになり、南あわじ市様と一緒に事業を進めさせていただいたことがきっかけです。

なるほど。その時のご縁から支援業務のお話がグローバルキャスト様に来られたわけですね。

阿部様:そうですね。3年間南あわじ市役所の方に常駐させて頂いた経緯もあり、高齢者向けのデジタル支援という形で、南あわじ市から入札に参加しないか。とお声がけ頂き、今回の支援業務を受託したという背景となっています。

そういった背景があったんですね。支援業務の中にはスマートフォンの基礎講座を開催されているということですが、どのような形式で開催されているのでしょうか。

阿部様:主に3つの支援業務を担当させて頂いたのですが、その中の1つがスマートフォンの個別相談窓口です。スマートフォンの個別相談窓口は令和3年6月から令和4年3月末まで実施させて頂く予定をしています。

内容としては南あわじ市役所内に特設ブースを設け、住民に向けてスマートフォンの詳しい操作方法などについて解説していますね。

特設ブースには営業員が常駐しているので、市役所が開いている時間帯に訪問予約して頂ければ、どなたでも相談可能です。

2つ目の支援業務としては、南あわじ市内にある公民館で説明会を定期的に開催しています。公民館21ヶ所を令和3年の7月~12月までまわり、説明会は全30回実施する予定です。説明会ではまず講師がスマートフォンについて解説し、後から個別で相談に乗って欲しいという方のために窓口も用意しています。

3つ目は市が運営しているケーブルテレビ局で、自作しているコミュニティチャンネルの番組制作支援を行いました。1回30分くらいの放送枠を利用して、簡単なスマートフォン講座を流しています。放送は全10回で、実際に当社の営業員が出演し、構成も企画しました。

幅広く支援業務を行っているのですね。その中でも特に苦労した業務のエピソードなどはありますか?

西江様:苦労したのはテレビ番組の制作支援です。元々営業の仕事を主軸にしているので、携帯電話に関する個別相談は得意でした。

ただテレビ番組の支援では放送の枠が決められている中で、納期を守らないといけない。番組内で使っても良い内容を決めるための打ち合わせは常に行っていて、細かい確認作業を行うのが大変でした。

また出演者は営業員が担当するため、慣れない状況での番組支援ということもあり、話し方から矯正するのが大変でした。最初はNGテイクも多かったですよ(笑)

番組への出演となると緊張もあって慣れないと大変そうですね(笑)

西江様:毎回放送前にできあがった映像を確認するのですが、ガチガチで緊張しているスタッフの姿が映っていました(笑)

しかし10回目になると、スタッフも慣れてくるのでなかなか熱のこもった演技ができるように成長していました。10回で終わりなのがもったいないです。

確かに、新しい才能が開花しているとするとそれはもったいないですね!(笑)。番組の放送は毎回決まった時間に流れるのでしょうか。

西江様:番組は通常の放送とは違い、1日に同じ内容の放送を複数回流したり決まった期間毎日同じ時間帯に流したり、1度だけの放送というわけではなく、再放送も行っています。

ありがとうございます。支援業務では、組織で行動する大変さもあったと思いますが、どのようなことを大切にされてきたのでしょうか。

阿部様:南あわじ市の高齢者に向けて対応するケースがほとんどになるので、出来る限りわかりやすい伝え方で説明会を開くよう、意識して対応させて頂きました。

なるほど。ちなみに説明会には何名の方が支援業務として対応されていたのでしょうか。

阿部様:まず公民館の説明会では講師を1名配置し、使用するテキストに沿ってわかりやすく説明させて頂きます。その後で個別相談が出来るよう補助員を5名配置し、お客様個人がスマートフォンについて気になることを聞きやすい環境を整えるようにしました。

説明会の最後には、お客様から今後の要望などのアンケートを頂き、次回の説明会で高齢者の方がより良いと感じて頂ける説明会にアップデートできるよう努めました。

常にアップデートを意識した説明会は大変だったと思うのですが、高齢者の方の反応はどのようなものが多かったでしょうか?

阿部様:講座は当初全30回を予定しており、7月~9月末までの3ヶ月間で、21ヶ所の公民館を全て1回まわり、定員を超える場合、追加開催ができるようにスケジュール調整しました。新型コロナ禍の最中に実施したこともあり、21回とも定員内での実施となりました。そこで、残った9回はステップアップした内容で講座ができるよう、10月から11月にかけて南あわじ市と打ち合わせと準備を行い、12月に残り9回の講座を計画しました。

当初の基礎講座と12月のステップアップ講座をあわせて、より高齢者の方が納得頂ける内容になっているかと思います。

元々はガラケーからスマホにする方を想定して開催した説明会だったのですが、7月~9月に実施した際には、スマートフォンを持ってくる方が大半でした。

説明会で高齢者の方の反応で多かったのは、スマートフォンの使い方を知りたいという内容だったので、12月開催の説明会ではAndroidを所有している方のみの説明会、iPhoneを持っている方のみの説明会といったように、会場ごと・日にちごとに専用の説明会を開催しようと想定しています。

さらに説明会の内容をより深い形にするため、インストールした方が便利なアプリやスマホ決済の使い方などの話をしたいと考えています。

支援業務を行っている中で、もう少し教えて欲しいなどの要望の声を頂けるのは嬉しいですよね(笑)

阿部様:これだけスマートフォンが浸透していると思わなかったので嬉しかったですね。(笑)

南あわじ市では65歳以上が全体の35.39%、16,263人(令和3年10月末時点)いらっしゃるので、より多くの方にスマートフォン、インターネットを活用する利便性について知ってもらえればと思います。

支援事業を通じて、今後の展望などがあれば教えてください。

西江様:今回の南あわじ市の高齢者向けデジタル活用支援事業は国が行動する前に、率先して企画していたものでした。これから高齢者社会が進む中で、国もスマートフォン・インターネットの普及を推奨していきたいという考えがあると思うので、我々も速度を上げて協力していきたいと思っています。

日本のデジタル化が遅れていることもあり、これからより高齢者に寄り添った形で、社会に貢献したいと支援業務を通じて強く考えるようになりました。

社会貢献したいという強い気持ちに大変感銘を受けました。その精神が今回の支援業務に出ているのですね。

西江様:ありがとうございます。そうですね。今回の支援業務も高齢者の方に、スマートフォンやインターネットを身近なものに感じて欲しいという気持ちを込めて、説明会を開催させて頂きました。

インターネットは使わなくても生きていけるものですが、利用できれば快適な生活が送れるようになります。

本当は操作が難しくないものでも、相談できる相手がいないから難易度が高くなる。そんな状況を改善し、インターネットが身近なものになるよう、これからも支援活動を通じて協力していきたいと考えています。

ありがとうございます。最後にインタビューを通して伝えたいメッセージがあればお願いします。

阿部様:高齢者の方や小さなお子様など、誰一人取り残されないように、ボランティア精神を心に抱きながら、皆さまの悩みを解決できる取り組みをさせて頂きたいと考えています。

西江様:自分たちだけで出来ないことはたくさんあります。自治体の方で我々の取り組みに対してご賛同頂けることがあれば、ぜひお声がけください。協力関係を築き上げながら、問題解決に尽力させて頂きます。

阿部様:ノウハウを活かして、企業様・お客様に喜んでもらえる懸け橋になりたいと思っておりますので、ぜひ株式会社グローバルキャストまでご相談頂ければ幸いです。

大変貴重なお話を聞かせて頂き、ありがとうございます。社会貢献の気持ちを持って、対応させる貴社の取り組みに大変感銘を受けました。本日はインタビューを受けて頂き、本当にありがとうございました。

-続いて、推進施策を行う、南あわじ市様にも取り組みについて、お話をお伺い致しました。

今回のデジタル活用支援推進事業実施のきっかけについて教えてください。

赤井様:本事業は、南あわじ市の新型コロナウイルス感染症に係る緊急総合対策事業(第4次)の一環として実施しております。スマホを使った非接触手続きやアプリによる感染者との接触通知など、新型コロナウイルス禍において求められる新しい生活様式への対応について、特にスマホの所持率が低かったり、利活用力が低い傾向にある高齢者に対し、リテラシーの向上を目的としております。

事業の実施にあたり、工夫した点などを教えてください。

赤井様:事業実施にあたっては、地元の携帯電話ショップさんに大まかなスマホの所有率や、高齢者が実際、何に困っているのかといったことを教えていただき事業内容を決定いたしました。

事業内容としては、

①高齢者向けスマホ講座・②ケーブルテレビのコミュニティ放送用番組の制作・③個別相談窓口という3本柱で構成し、スマホの機種などに左右されない一般的な内容を①と②で、個人ごとの細かなサポートを③で行い、柔軟に対応できるよう工夫しました。

当市では、スマホをまったく所持する気のない方に無理にもってもらうより、少しでも興味をお持ちの人にスマホの便利さや楽しさを伝え、不安を解消した上で利用者拡大を図れればと考え、その目的に沿うようグルーバルキャストさんに講座や番組内容を構成していただきました。

今回の事業を通じて気づいた点などがあれば、を教えてください。

今回の事業におけるスマホ講座のアンケート結果や、相談窓口での相談内容を確認する中で、「スマホへの理解が深まった」という回答が65%、スマホを持っていない人のうち93%が「使ってみたい」との回答をいただいており、一定の事業効果が上がっているものと考えております。

しかし、参加者の反応からスマホを一定基準まで使えるようになるまでにさまざまな障壁があることが分かりました。パソコンに比べて扱いやすくなっているはいえ、小さな画面を指で操作するインターフェースは高齢者にはかえって使い勝手が悪かったり、OSやアプリの定期的なアップデートは、Wi-Fi環境の無いご家庭では難しかったりなど、今後の課題が色々と見えてきた点は収穫であったと思います。

今回の事業の中で、実際に講習を受けられた、高齢者の方からのお声を教えてください。

スマホ講座に参加された方のうちスマホを実際に所持している方が約8割いらっしゃいました。スマホをお持ちの方からは、便利ではあると思うが良くわからないまま使っており、アカウントやパスワードの管理、詐欺や情報漏洩などのセキュリティに関して不安があるといったお声を多く聞きました。

持っていない方からは、自身の生活様式に不要。利用料金が高くなりそうで不安。というお声が多かったです。

スマホは不要と考える方は別として、スマホを正しく知っていただくための継続的な取り組みの必要性を感じました。

今回の事業を通じた、次年度以降の展開構想などがあれば、教えてください。

スマホをはじめとしたデジタルデバイスは日々進化しており、永続的に市役所がサポートしていくことは困難です。

当市では「高齢者等元気活躍推進事業」という、定年退職などで一旦仕事を退いた人が、様々な分野でその能力を生かして、再び活躍できる場を提供する事業を行っております。

こういった制度と協調して、スマホに詳しい高齢者がそうでない高齢者をサポートするような仕組みを作っていけたらと考えています。

また、当市では来年度以降、各種行政手続き等のオンライン化率を順次高めていく予定です。

こういった背景の中、出来るだけ多くの市民の皆さまが、デジタル化の恩恵を受けて、いつでも、どこでも、手軽にお手続きを済ませていただけるよう、環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。

大変貴重なお話をありがとうございました。日々技術革新がされ、便利な世の中になっていますが、その中で取り残されてしまう方や、情報弱者を生んでしまわない社会作りの大切さと、その取り組みの重要性を感じました。本日はありがとうございました。

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